M1村田宏彰公認会計士事務所
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先日、M One News 18-04「仮想通貨高騰と税金」でお伝えしたとおり、「儲けたと公言している億り人は大丈夫か?」と思っていたら、新年早々、国税庁がビットコイン長者のリストアップに着手したとのニュースが流れてきた。
時価総額1位のビットコインは1年間で20倍、2位のリップルは200倍となれば、売却益の申告漏れについて国税庁が放っておくはずがない。
東京と大阪の国税局ネット商取引専門チームが分析し、重点管理富裕層プロジェクトチーム(富裕層PT)にデータを提供、データベース化を進め、追跡管理体制を取ることになると思われる。
富裕層PTは、富裕層による過度な節税や課税回避への監視を強めるため、2014/07に東京・大阪・名古屋の3国税局に設置された約50人のチーム。
資産家本人はもちろん、親族や関連企業・団体の国内外での資産の動きを組織的に監視・追跡し、資産の把握と申告の適正性をチェックするもの。
数年かけてノウハウの蓄積を図ることができたことから、2017/07には増員して全国12国税局に展開・設置された。
2017/07以降、既に一部の取引業者からデータを入手し始めているという。
仮想通貨取引はインターネットで完結するから税逃れができそうだ、と勘違いした人は多かったのではないだろうか。
従来の情報収集手段では、確かに難しかったろう。
だが、ブロックチェーンは、改ざんができにくい信頼性の高い技術。国税庁はそれを逆手に使えるというワケだ。
特に、資金決済法で仮想通貨を「通貨」と認め、取り扱い業者を許可制とし、本人確認を義務化したから、なおさらのこと。
したがって、取引所さえ押さえれば、首根っこをおさえることができることになる。
法定調書の面ではまだ義務化されていないが、取引所に協力を求めれば、データを入手することができる。
正当な税務調査手続を行えば、それも可能だ。
財産債務調書も、その趣旨上、当然ながら記載が必要。
以上の情報を、2018/02~03申告の確定申告書と照合。
不審な点があれば、調査に入り、追徴課税や脱税容疑での立件が検討されることになるだろう。
ただ、海外では「通貨」と認めていない国も多く(日本は仮想通貨先進国なのだ!)、100ヶ国以上との情報交換制度の本格運用が始まらないと、抜け穴になってしまう。
懸念されるところだ。