M1村田宏彰公認会計士事務所
TEL 03 - 5367 - 6101
info@cpa-murata.com
今年はコロナに始まり、コロナで終わった1年でした。
その中で、Go ToトラベルもGo Toイートも停止となると、もう後は、ふるさと納税くらいしか残っていません。
コロナ禍の影響が、ふるさと納税にも表れています。
その影響は次の2点。
1点目は、食材余りを背景にした、増量化・格安化していること。
「ワケあり」になると、さらにオトク感が増します。
2点目は、地産の日用品が使われ始めていること。
食材だけではないため、使い勝手が増しています。
ポイント還元もお忘れなく。
ポイ活でファーストクラス世界一周を成し遂げたツワモノもいるとか。
返礼品とは別なので、自分に合った「ポイ活」をしてくださいね。
そんなふるさと納税の注意点は、返礼品が一時所得として課税されること。
(上限はあるものの)すればするほど節税になる一方で、脱税リスクも高まってしまうのです。
Go Toトラベル・Go Toイートも一時所得課税扱いなので、合計で年間50万円を超えたら課税ですよ!
ご留意あれ。
→ 目次へ戻る
まずは、いままで耳にタコができるくらい、繰り返し言われてきたことを復習しましょう。
すべての方法を組合せて初めてコロナ感染予防確率が上がるので、これらができていないと、底が抜けているバケツに水を汲むようなものです。
(1)消毒
手洗いに代表されます。
今では常識ですが、人類が理解するようになったのは僅か40年前というのは驚きです(M One News 20-38「非常事態が続くことで何が変わるのか?」内)。
米疾病対策センター(CDC)が手洗いのガイドラインを制定し、公式に健康管理の一環としたようになったのは、1980年代になってからのことでした。
そのガイドラインがこちら。
(2)3密防止
今年の流行語大賞をとった「3密」。
言わずと知れた、密閉・密集・密接ですね。
小池都知事が掲げたフリップは非常に印象的でした。
発案は厚労省でも、広めた小池都知事が受賞するのは、当然と言えましょう。
出かけない・集まらない・社会的距離を保つのも、こちらに分類できます。
(3)マスク着用
マスクが、当初考えられていたように、コロナウイルスをまき散らすのを防止するだけでなく、吸い込むのをブロックするのにもかなりの効果があるのがわかったのは、朗報でした。
政府は2020/12/07、マスク着用の効果をまとめたビデオを作成しました。
https://www.youtube.com/watch?v=jgsDZboag9s
ご覧のとおり、マスクを着用することにより、
・コロナウイルス吸入量:5割減
・コロナウイルス排出量:7割減
となっています。
M One News 20-48「コロナ感染拡大防止にはマスクが最も有効」で触れた米テキサスA&M大学などの研究チームの研究結果が、東京大学医科学研究所のデータで裏付けられた形です。
政府は12月の正念場に向けて、上記の感染防止の3大原則に加え、クラスターが発生しやすい5つの場面の周知徹底を始めています。
Go Toトラベルの対象除外や高齢者等自粛・Go Toイート券発行停止、さらに東京では、飲食店への営業時間短縮要請まで行い、感染拡大を阻もうとしています。
2020/12/02には特設サイトまでオープンさせました。
https://corona.go.jp/proposal/
その5つの場面とは以下のとおり。
いずれも気が緩むシーンですね。
気をつけたいものです。
さて、ここからが本題です。
まず冬コロナから身を守る1つ目は、かかりつけ医。
現在、コロナ相談・検査は、インフルエンザ流行期到来・保健所キャパシティ限界のため、かかりつけ医経由に原則変更になっています。
発熱時の診療・検査フローはこちら。
上記は保健所への負担集中を防ぐために考えられたフローですが、専門家の知見を得られるのが、最も重要な点です。
デマなどに惑わされるのが最も怖いので、正確な情報を得て一緒に考えてくれる「かかりつけ医」は、大事な司令塔というワケです。
勤務医でも開業医でも、専門家であればかまわないそうです。
インフルエンザワクチン接種の目的は、免疫の活性化です。
2020/06/04、米コーネル大学はインフルワクチン接種率とコロナ感染死亡率の関係を調べました。
それによれば、インフルワクチン接種率40%の地域ではコロナ感染死亡率は約15%でしたが、接種率70%地域では6%まで低下したのです。
また、メキシコの医師たちも2020/09/07、MMRワクチン(麻疹・風疹・おたふく風邪)接種後、コロナに感染した36例は、いずれも軽症だったと報告しました。
オランダとギリシャの研究チームは、BCGワクチンが高齢者の感染症防御に役立つかどうかの試験を2年前から開始していました。
コロナパンデミック以前からスタートしていたものですが、COVID-19におけるBCGワクチンの重要性をいち早く伝えるため、中間分析結果を2020/08/31、学術誌『CELL』に公表したのです。
https://www.cell.com/cell/fulltext/S0092-8674(20)31139-9
それによれば、198人の高齢者を対象とした臨床試験のうち、150名の中間分析で既に明確な差が認められました。
具体的には、BCGワクチンを接種した高齢者は、プラセボ群に比べ、呼吸器系の感染が75%も減少したのです。
まとめると、BCGワクチン接種は、特定のウイルスに特化した攻撃性は無いものの、自然免疫の訓練に寄与するという点で、特にウイルス性呼吸器感染症の予防に最も効果があることがわかったのです。
「自然免疫の訓練に寄与する」というのは平たく言えば、備わっている免疫を活性化させるということ。
2020/春にBCGワクチンが有効ではないかと噂されましたが、BCGワクチンそのものがコロナに有効なのではなく、人体が本来持つ免疫をワクチンが活性化させるということだったのですね。
そして、ある医者によれば、ワクチンは、インフルエンザであれ、はしかであれ、帯状疱疹であれ、どんな種類でも、人体の免疫活性化には有効だそうです。
したがって、ワクチンは何にせよ、接種しておきたいものです。
冬コロナから身を守る3つ目の方法は、換気・暖房・加湿の同時実施です。
(1)換気
密な空間を避けるのは、3密防止の1つ。
そのために、換気が必要となります。
そのポイントは、「空気の流れをつくる」こと。
空調専門の新日本空調㈱(東証1部)が実験したところによると、1ヶ所しか空気の出入り口がない部屋の換気に45分かかったのに対し、2ヶ所空気の出入り口がある部屋は7分で済んだそうです。
1ヶ所しか空気の出入り口がない部屋で扇風機を使用して換気を試みると、21分。
さらにサーキュレーターも追加すると、14分。
それでも、2ヶ所の倍!
いかに空気の流れをつくる点がポイントなのか、わかります。
そして、空気の流れを対角線に設定するのが最も効果的なのは、言うまでもありません。
開ける窓も高いほうがいいそうですよ。
(2)暖房
しかし、ただ換気するだけでは寒いだけ。
同時に、暖房も必須です。
そして暖房は、寒さ防止というだけでなく、コロナ感染防止にも有効です。
なぜなら寒いと、最もウイルスに触れる鼻の免疫力が低下するだけでなく、コロナウイルスの感染力は高止まりするからです。
日本リスク学会は2020/04/09、「環境表面の除去ガイダンス」を公表しました。
https://www.sra-japan.jp/2019-ncov/index.php?module=blog&eid=10528&aid=10539#
モノの表面に付着したコロナウイルスの生存期間とその除去方法をまとめたものですが、その中で興味深いのは、ウイルスの感染力保持期間と温度の関係。
ご覧のとおり、37℃の場合は2日でほぼ感染力を失うのに対し、5℃では2週間たっても感染力がほとんど衰えていません。
まあ37℃は実現不可能として、では何℃がいいのか。
厚労省が推奨するのは18℃以上。
ただ、実際に18℃では、手がかじかみます。
最低でも20℃はないと。
そのためには、暖房が必須ですが、エアコンには概ね、外気取り込み機能がありませんから、実際には、エアコンを動かしつつ換気も行うことになるでしょう。
そして、換気して入ってきた冷たい空気は下に、エアコンから吹き出す暖かい空気は上にいきますから、足元が寒いのに頭はぼーっとする「頭熱足寒」状態に、えてしてなりがち。
望ましい「頭寒足熱」状態を作り出すには、エアコンをつけるのは控えめにし、足元のヒーターが欲しいところです。
(3)加湿
3点目が加湿。
湿度が低いと、
・飛沫の飛ぶ距離が長くなるうえ、マイクロ飛沫が漂う時間も長くなる
・人間のバリア機能が衰える(鼻やのどの線毛の動きが緩慢となり、異物排出能力が落ちる)
ためです。
コロナウイルス感染力と湿度の関係を報告した研究論文があります。
見にくいので、端的にまとめた図がこちら。
つまり、湿度が下がると、コロナウイルスの感染期間は長くなるのです。
結局、湿度が低いとコロナ感染リスクが高まり、湿度が高すぎるとカビが生える。
したがって、望ましい湿度は40~60%と言われています。
悩ましいのは、低温で乾燥しているのに、暖房をつけるとさらに乾燥してしまうことです。
そもそも、暖房をつけるとなぜ湿度が下がるのか。
その理由は2つ。
(ア)空気はあたたまると膨張する
膨張するのに、水分はそのままのため、水分保有率(つまり湿度)は下がるというわけです。
(イ)窓で結露する
温まった空気が外気に触れる窓で冷えると、空気中に含まれる水分が水滴となると(結露)、空気中から水分が無くなってしまうのです。
効果をお互いに打ち消しあう「換気」・「暖房」・「加湿」を同時に実施するという、難しい問題をできるだけ効率的に行うには、いくつかの工夫が必要です。
(1)扇風機やサーキュレーターの位置に留意
空気を循環させるために使用するサーキュレーター等は、暖房の吹き出し方向に注意しなければなりません。
空気の流れを阻まないよう、意識して設置することが必要です。
また、サーキュレーターは床に直置きすることが多いと思いますが、カーペットならまだしも、フローリングの場合は、床に落ちた飛沫を舞い上げることになってしまうため、台の上に置いて使用した方がよさそうです。
(2)加湿器の窓側設置は避ける
窓に結露しやすくなり、加湿効果が減殺されるためです。
結露防止窓や、断熱シートが貼ってある窓なら、問題ないでしょう。
(3)二段階換気
廊下や使わない部屋に外気を入れ、建物全体の温度で暖めてから、換気したい部屋に空気を入れる方法です。
完全ではないにしても、冷感は和らぎます。
これらをいろいろ試してみた結果、当事務所では結局、
・空気清浄機1台・・・コロナ死滅効果のあるプラズマクラスター機能付・加湿機能付
・加湿器2台
を常時稼働させ、1人1台足元ヒーターを設置したうえで、上のエアコンをたまにオン、換気は1時間に5分×2回を目安として現在、運用しています。
ご参考までに。
皆さんもぜひ、続けられる範囲で、最も効果の高い方法を見つけてくださいね。
→ 目次へ戻る
日本では医療崩壊にギリギリに至っていませんが(地域によっては発生しているかも)、海外では既に医療崩壊が起きています。
フランスでは、コロナ実地研修として、医学校生を「学生動員」。
人が次々に亡くなっていく過酷な現場にいきなり放り込まれ、あまりの理想と現実の差に燃え尽きてしまう学生も多いとか。
しかも、僅か時給€1(約120円)の人も!
過酷な労働環境と雀の涙ほどの薄給・・・。
これでは、デモも多発するわけです。
こうした事態を防ぐには、医療に負担が大きい重症者を出さないこと。
軽症者はホテルなどの施設療養が可能でも、重症者には8~10人のマンパワー(医師・看護士チーム)が必要であるためです。
そして、この重症率は年齢別に大きく異なります。
現在、家庭内感染が増えていますが、60歳代の親と30歳代の子の同居を想定すると親の重症化率は25倍、50歳代の親と20歳代の子の同居を想定すると親の重症化率は33倍!にも上ります。
概ね自覚度合いは子供の方が低いでしょうから、子供への注意喚起は(子供の感染防止というだけでなく)親の自衛行動とも言えましょう。
因みに、高齢者の重症化率が高いのは、免疫力が加齢とともに低下する以外にも、高齢者本人の自覚率が下がることも理由だそうです。
自覚症状に対する気づきが遅れること(ex. 食事の量が少量化するのは肺炎の症状)で、重症化を招いてしまうのだそう。
怖いものです。
高齢者以外に重症化リスクの高い基礎疾患はこちら。
持病を持つ人だけでなく、高血圧や肥満の傾向の人はより注意すべきでしょう。
喫煙者もまた然り。
電子タバコ使用者は感染リスク5倍という研究結果もあります。
https://www.jahonline.org/article/S1054-139X(20)30399-2/fulltext
コロナ重症化は、高齢者や基礎疾患以外に、遺伝的な要因も関係すると考えられています。
沖縄科学技術大学院大学のヒト進化ゲノミクスユニット研究チームは2020/09/30、コロナ重症化に、ネアンデルタール人から受け継いだ遺伝子が関連している可能性があるという研究結果を、英ネイチャー誌に発表しました。
研究チームは、コロナ入院患者3,000人と未感染者90万人との遺伝子比較差異分析で、約5万年前のネアンデルタール人にも同様の差異があることを発見したのです。
そして、ネアンデルタール人のこの遺伝子を持つ人がコロナに感染した場合、人工呼吸が必要になる可能性が最大3倍に増えると結論づけました。
現在の欧州人の約16%、南アジア人の約50%がこの遺伝子を持つそうです。
幸い、日本人には当遺伝子を持つ人はほとんどいないとか。
とはいえ、油断はできません。
コロナ発症中は「肺にガラスを吸い込むような感じ」など、かなり悲惨な症状と聞きますが、治った後も、着替えるだけで疲労困憊するほどの疲労が残ったり、10歩歩いただけで呼吸困難になったり、脱毛したりなど、後遺症が続くケースが海外から報告されています。
イタリアからは、87%の人が発症2ヶ月経った後でも後遺症が残っている、との報告がありました。
また、英国の国立衛生研究所(NIHR)は、コロナ後遺症を“Long COVID”と呼んで解明にあたっています。
NIHRによれば、
・肺・心臓への恒久的障害 | 軽症でも報告例あり |
・集中治療後症候群 | 集中治療室(ICU)退室後に見られる身体・精神・認知機能障害 |
・ウイルス後疲労症候群 | 記憶障害、睡眠障害、集中力低下など (フランスで実施された、コロナ回復者120人へのフTELヒアリングより) |
・持続するCOVID-19症候群 | 呼吸困難、疲労感、嗅覚障害、結膜充血、痰、頭痛、めまいなどのコロナ発症中の症状 |
の4つが複合的に見られるのだそうです。
日本でも2020/10/21に、国立国際料研究センターがコロナ元入院患者へのインタビュー結果を公表しました。
https://academic.oup.com/ofid/article/7/11/ofaa507/5934695
日本における後遺症の初めての報告で、最終的に回答を得られた63人(9割が日本人)の結果です。
要約すると上図のとおり。
結構、長く続く印象です。
コロナ発症中は全く見られないものの、陰性になってから後遺症として出てくる脱毛。
その平均期間は76日間も!
→ 目次へ戻る
報道でご存じのとおり、世界の1日の新規感染者数は現在、70万人近くに達しています。
https://www.arcgis.com/apps/opsdashboard/index.html#/bda7594740fd40299423467b48e9ecf6
WHO(世界保健機構)が「北半球はこれからが正念場だ」と繰り返し警告を発していたとおり、欧州では第2波が到来しました。
医療従事者は感染しても療養が許されず、そのまま勤務せざるを得ない状態にまで追い込まれているとか。
まさに、医療崩壊と言ってもいいでしょう。
日本でも負けじと、第3波が到来しています。
とはいえ、欧米に比べれば、まだまだかわいい方です。
そんな中、Googleは感染症の数理モデルとAIを組み合わせたコロナ感染予測を2020/11/17に公表しました。
https://cloud.google.com/blog/ja/products/ai-machine-learning/google-and-harvard-improve-covid-19-forecasts
既にGoogleは、Harvard Global Health Institute(ハーバード・グローバル・ヘルス研究所)と協力し、コロナ感染のAI予測モデル(COVID-19 Public Forecasts)を、2020/08から米国で公開していました。
それを慶大の宮田裕章教授が日本のデータで検証を繰り返し、十分な精度を確保できるようになったことから、日本でも公開に至ったものです。
そこでは、今後4週間にわたる新規感染者数・死亡者数などの予測値が、都道府県別に掲載され、毎日更新されます。
https://datastudio.google.com/reporting/8224d512-a76e-4d38-91c1-935ba119eb8f/page/4KwoB?s=nXbF2P6La2M
具体的に新規感染者数を見ると、4週間後の全国の新規感染者数は2,319人と、2020/11/17の1,699人の4割増しとなっています(2020/11/18時点)。
ところが、2020/11/28の実際の新規感染者数は2,683人。
それをGoogleのAI予測数に重ね合わせてみました。
ご覧のとおり、AIの予測数を大きく超えています。
AIよりもコロナウイルスの方が1枚上手ということなのでしょうか・・・。
こうなってくると、的確な手を優先順位付けして打っていく必要があるのは、もちろんです。
絶対に行うべき政策は以下の3つでしょう。
(1)自殺者数up防止
(2)エッセンシャルワーカーのPCR検査の徹底
(3)医療崩壊防止
危機のとき、社会の脆弱性は、脆弱なところにしわ寄せされる形で現れます。
体調の悪いとき、弱いところに症状が出るのと同じことです。
実際、自殺者数が大きく増えています。
特に女性。
2020/10は851人と、前年同月比で8割増となりました。
感染拡大阻止と経済稼働の両立は異論を待たないところ。
経済を止めると自殺者数が増えてしまうため、経済を止める緊急事態宣言はもう2度と出すべきではないでしょう。
そして感染拡大を防ぐために、次の2点目が重要になってきます。
エッセンシャルワーカーとは、社会的に不可欠な労働者のこと。
ライフラインを支える労働者に尊敬の念を込めた呼び名です。
具体的には、以下の7種類を指します。
・医療従事者
・介護・保育従事者
・スーパー・コンビニ店員(生活必需品を扱うため)
・市区町村の職員
・公共交通機関(電車・バス等)の運転士
・郵便配達員・トラック運転手(物流に携わるため)
・ゴミ収集員
日本では現在、あちこちでクラスターが発生しています。
クラスターは狭い場所の集団感染を言いますが、そのベースには広範な市中感染があります。
感染経路が追えず、市中感染が蔓延しているなら、感染はしているのに発症していない無症状者こそ最優先検査すべきでしょう。
何故なら、その無症状者がキャリアとなってあちこちに感染させているからです。
クラスター対策が有効なのは、感染の初期段階のみということです。
とはいえ、中国のように地域全員に行うのは、(増えてきたとはいえ)PCR検査が1日50万件程度にとどまる日本では、まだまだ不可能です。
とすれば、ライフラインを支える人たちを優先検査すべきでしょう。
現在、感染者と濃厚接触者のみPCR検査の対象としていますが、1,000万人と言われるエッセンシャルワーカーに月1~2回程度、PCR検査し、感染が拡大しても、ライフラインが止まらないようにするのです。
と同時に、私たちが行動変容を徹底実践するしかありません。
3点目は、医療崩壊防止です。
M One News 20-11「医療崩壊を防ぐために」でも触れたように、医療崩壊とは本来行えるべき治療が行えない状態のこと。
病床稼働率が6~7割と聞くと、まだ余裕があるように聞こえますが、この「病床」には将来確保予定分まで含んでいるのだとか。
いわば「架空」です。
医療チームというマンパワーが遊んでいるわけでもないので、実際には医療崩壊ギリギリ。
コロナ感染は、AIでも予測困難なくらい、爆発的に増えますからね。
全く予断を許さない状態のようです。
さらに言えば、コロナ関連死を防ぐためでもあります。
コロナ関連死とは、コロナに罹患して亡くなるのではなく、コロナ禍で持病を悪化させて亡くなったり、本来受けられるはずの他の手術や治療を受けられずに亡くなったりすることを言います。
つまり、コロナが直接の死因ではなく、コロナが間接的な死因に結果的になっている死亡のことです。
実際、欧米では、コロナ死よりもコロナ関連死の方が多くなっていることが、超過死亡という統計データから明らかになっています。
そして、70~80代の高齢者が家に閉じこもると、わずか数週間で心臓機能が悪化する、という研究も今年、発表されました。
しかも、心筋梗塞や脳卒中が増えるのは、これから来たるべき冬の時期なのです。
→ 目次へ戻る
2020/10から電子化がスタートしたと聞かれた方もいると思います。
電子化になれば、資料の面倒な回収やデータ入力、源泉徴収票等の支払調書等の送付も不要になりますからね。
ミスとも無縁となり、残業もしなくて済みます。
電子化前の現状は、どの会社でも、このような状態でしょう。
それが、電子化後は「以下のように変わります」(国税庁)。
「以下のように変わります」にカギ括弧をつけたのは、税務署の言う「電子化」には落とし穴がいろいろあるからです。
結論から言うと、国税庁の言う「年末調整の電子化」は、現時点では時期尚早です。
その理由は端的に言えば、マイナポータルを前提としている点にあります。
マイナポータルは、マイナンバーカードを取得して初めて利用できるようになるもの。
つまり、社員全員がマイナンバーカードを取得する必要があるのです。
一部の社員だけ電子化してもほとんどメリットはなく、紙と電子が入り混じるためにかえって面倒なことになるであろうというのは、容易に想像できます。
でも、会社担当者なら、誰しもなんとか合理化・効率化を進めたいと思うことでしょう。
そのためには、マイナポータル前提を外した方が無難です。
「マイナンバーカード全員取得」という一番のハードルを外す以外にも、
・会社による有給消化義務履行管理
・電子証明書取得
・カードリーダー準備
・マイナンバー管理
などの考慮すべき点がいくつかあります。
これらの考慮ポイントを踏まえたうえで、中小零細企業にとって最も効率が良く、当事務所で推奨している「電子化のあるべき姿」を以下に明示します。
この理想形では、社員全員がマイナンバーカードを取得することもなく、実質的な管理は会社で行いつつも、手間を極力減らせることができ、カードリーダーも用意する必要がありません。
この形を基に、人数が少ないなどの会社の固有事情があればそれを考慮し、より簡略化していくべきでしょう。
ポイントは、ソフトを統一すること。
当事務所ではTKCをベースにしているため、TKCソフトを前提としたフローになっています。
年末調整・法定調書は、手間の割に間違えてはいけない業務。
ITをうまく使ってスムーズに効率よく終わらせたいものですね。
→ 目次へ戻る
扶養控除等申告書は、1/1時点の情報を会社に申告するのに使用されます。
そしてその後、その情報に修正がある場合は、同じ用紙を使って再提出することで、会社に新しい情報を通知します。
年末調整は12/末時点の情報で行うため、上記修正を会社に未通知の社員がもしいれば、扶養控除申告書2020の修正を社員に依頼すると同時に、翌年からの給与計算のために、扶養控除等申告書2021を配布するわけです。
上記前半は、社員が修正項目を会社にきちんと通知しているのを前提として、行っていない会社も多いことでしょう。
あるいは、2021年分記載情報から推測したり、社員との雑談で状況を把握したりしているかもしれません。
ここまでは、例年どおり。
しかし、今年はひとり親控除が加わるため、ひとり親控除を適用する社員の扶養控除申告書2020も修正する必要があります。
なぜなら、ひとり親控除の改正は2020年源泉徴収事務では適用されず、2020年年末調整から適用とされているからです。
年末までは正しく行っている会社でも、年末調整時に処理しなければならないということです。
そのため、扶養控除等申告書2020も年末調整時に修正しなければなりません。
国税庁は2020/05/29に、「ひとり親控除及び寡婦控除に関するFAQ(源泉所得税関係)」を公表し、そのやり方を明示しました。
なんと手修正です。
まあ確かに、その方が早いですからね。
まとめると、会社として行わなければならない1点目は、2021年分の扶養控除等申告書を回収したときに、欄「ひとり親」にチェックがついていたら、2020年は ひとり親控除 を適用するのか、確認すること。
因みに、ひとり親控除適用判定における所得は 基・配・所控除申告書 で、扶養は 扶養控除等申告書 で、それぞれ確認できます。
2点目は、ひとり親控除を2020年にもし適用するのであれば、2020年分の扶養控除等申告書を修正すること。
Formの修正は会社が行ってもOKですが、 ✔ は本人にさせてください。
扶養控除申告書は、社員本人が会社に提出する書類になっていますからね。
修正を忘れてしまうと、(正しい扶養控除等申告書の保存義務を会社が負うために)会社の源泉税額納付過少とされ、修正しても ✔ を会社が行うと、公文書偽造になってしまうから、ご注意を。
基礎控除は他所得も合算して算定するのに対して、所得金額調整控除は会社の給与収入だけで算定します。
わかりにくいので、図解します。
A社からの給与以外に、もう1ヶ所からも少額の給与をもらっていて、マンション賃貸も行っている人がいるとします。
この場合、基礎控除はオレンジ色の部分で算定し、所得金額調整控除は赤色の部分で算定します。
収入と所得の違いはありますが、範囲が異なる点に注目してください。
なぜこのように範囲が異なっているのかと言うと、所得が多くなると基礎控除が減り、給与収入が少ないと所得金額調整控除が減る計算になっているからなのです。
つまり、税務署が多く税金を取る方に決められているということですね。
まあ今に始まったことではありませんが、なんともわかりにくいこと、この上なし!
本人の所得も家族の所得も、確定するのは、翌年1~3月です。
それなのに、早ければ12月にも見積額で年末調整還付額を確定しなければならないとされているのです。
もし見積額が確定額と異なっていれば、年末調整義務はあくまで会社にあるので、社員から要求されれば、年末調整やり直しに応じなければなりません。
したがって実務対応として、年末調整終了後は、できるだけ社員には自分で確定申告してもらうよう、誘導していった方がいいでしょう。
→ 目次へ戻る
いままでの改正点をまとめると、以下のとおり。
改正点 | 参考箇所 |
---|---|
基礎控除 | M One News 18-07「基礎控除引き上げ」 |
給与所得控除 | M One News 18-08「給与所得控除引き下げ」 |
所得金額調整控除 | M One News 18-10「所得控除調整による配慮」 M One News 20-63「所得控除調整による配慮②」 |
ひとり親控除 | M One News 20-62「ひとり親控除新設」 |
これら改正点のポイントは、人によって各控除金額が異なる点にあります。
そのため、各人ごとに各所得控除を計算しなくてはなりません。
そして、その計算は年末調整用紙上で行われます。
ここまで読んで、勘のいい方は、年末調整で社員から会社に提出してもらう用紙の種類が増えたり、計算方法が複雑になるのを連想したことでしょう。
そのとおりです!
非常に複雑になりました。
複雑になれば、ミスもまたつきもの。
今年の年末調整作業がかなり大変になるであろうことを最初から覚悟した方がいいいと思います。
給与支給日までできるだけ余裕を持ってください。
以下、用紙の改正点と種類をまとめました。
つまり、用紙は5種類になりましたが、まとめてなんとか3種類にとどめているカタチなのです。
まあ表面だけ変えても、内容が5種類なのには変わりないんですけどね・・・。
それにしても、「給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書兼 所得金額調整控除申告書」の書類名が長すぎ!
税務署員ですら正確に言える人はいないに違いありません。
因みに、新用紙の略称と呼び名は、
になると思われます。
→ 目次へ戻る
M One News 18-10「所得控除調整による配慮」で触れた給与年収850万円超の子育て世帯等への減税は、夫婦ともに適用可能です。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1411.htm
上記は、国税庁HP内のタックスアンサー。
その中に、次のような記述があります。
「(注)この控除は、扶養控除と異なり、同一生計内のいずれか一方のみの所得者に適用するという制限がありません。
したがって、例えば、夫婦ともに給与等の収入金額が850万円を超えており、夫婦の間に1人の年齢23歳未満の扶養親族である子がいるような場合には、その夫婦双方が、この控除の適用を受けることができます。」
控除は誰か1人のみという税務の原則から外れて重複適用が可能という、非常に珍しい減税要因です。
夫婦のいずれもが給与年収850万円超でないと重複適用は受けられないという制限は付きますが、もし2人ともクリアできるなら、ぜひ見落としが無いようにしたいものですね。
→ 目次へ戻る
そこで、増加する未婚のひとり親に税制面で援助するため、寡婦控除の一部を抜き取って、ひとり親控除として新設されました。
→ 目次へ戻る
M One News 20-59「コロナ第2波までに取り組むべき4つのこと③」では、テレワーク導入が必須だと述べました。
しかし、実際には多くの企業がテレワークを社会的責務として求められる一方で、テレワークによる生産性低下に苦しんでいます。
なぜなら、業務が出社前提になってしまっているため、テレワークにおいては、思うように業務が進まないからです。
当事務所でもテレワークを導入はしてみたものの、コロナ禍で仕事量は増える一方、テレワークにより生産性が低下し、その対応に今も試行錯誤中です。
きっと、ほとんどの日本企業は多かれ少なかれ、同様の状態でしょう。
生産性低下は当初、3割と言われていましたが、たぶんもっと下がるような気がします。
例えば、経理部。
中小零細企業(まれに中堅企業も)の伝票入力は、その根拠資料が紙のため、紙が無ければテレワークで入力できません。
では、家に持ち帰るかというと、重いとか軽いとか以前に、セキュリティ問題に直結します。
財務部が行う支払業務もそうです。
請求書などが紙のため、やはり同じ問題点に直面します。
そもそも、支払い業務に必要な電子証明書が会社PCにしかインストールできなかったりしますので。
ソフトですら出社が前提なのですね・・・。
したがって、テレワークを「会社で行う仕事を家で行うだけでしょ」と安易に考えると、その導入はほぼ確実に失敗します。
業務が出社前提になっているということは、ハンコ(=承認)以前に、それなりの理由があるからです。
1人で仕事しているフリーランスや、もともとPC1台あれば仕事できるプログラマーなどは全く問題ありませんが、大部分の企業では、データが会社にあり、組織で業務をこなしているためです。
以下、業務生産性をいかに落とさずにテレワークを行うかを、公認会計士としての視点から、中小零細企業向けにお伝えします。
既に問題なく移行できている企業には、あまり参考にならないかもしれません。
その点、ご承知おきください。
これから取りかかるような企業向けということです。
また、製造現場や対人業務においては、テレワークはそもそも困難です。
医療現場における遠隔治療や、保険屋のオンライン相談などの取り組みもありますが、あくまでも一部。
事務系業務向けの話とお考え下さい。
まず、テレワークツールはコミュニケーションツール、管理ツール、業務ツールの3つに分類して考えなければなりません。
なぜなら、それぞれの目的が異なるためです。
(1)コミュニケーションツール
チャットやWeb会議など、日常のやり取りを行うツール。
チャットはLINEが有名ですが、仕事ではSlack(スラック)やChatwork(チャットワーク)が使われます。
海外で開発されたSlackは自分で改良していけるので、IT系やエンジニアに人気があります。
一方、日本で開発されたChatworkはすぐ使い慣れるため、社員があまりPCに詳しくなかったり、年配の社員やパートが多い会社にはおススメです。
Chatworkには無料版と有料版がありますが、無料版は個人管理のため、退社後も業務のやり取りがその社員のアカウントに残ってしまいます。
そのため、組織なら有料版を使うようにしましょう。
SlackでもChatworkでも、1ユーザー毎月\1,000もしないので、せいぜい好みの問題と言えるでしょう。
Web会議では、Zoom(ズーム)とWebex(ウェブイーエックス)が有名です。
Zoomは、Webexを提供するシスコ社から独立した中国人エンジニアが創業・上場した会社で、コロナ禍の下、一気に会員数を伸ばしています。
一時期問題になっていたZoomセキュリティ問題は、ひとまず改善されました。
ZoomもWebexも、画面共有も含め、ほぼ機能は同じ。
異なる点としては、Zoomはバーチャル背景を使用できるのに対し、Webexはバーチャル背景を使用できない(iPadでは可)ので、自宅におけるテレワーク時の背景に気を遣うかどうかで検討すればいいでしょう。
他にも、マイクロソフト社のTeams(チームズ)や、Googleハングアウトも会員数を伸ばしているようです。
(2)管理ツール
現在、社員がどんな仕事を行っていて、進捗状況はどうなのかを「見える化」して管理するためのツール。
スケジュール管理、タスク管理、To Doリストなどがそれにあたります。
サイボウズなどのグループウェアをあえて使わなくても、Googleカレンダーなどの無料 or 安いアプリで充分でしょう。
使いこなす人間側が管理ポイントをわかっているかどうかが、キモであるためです。
(3)業務ツール
これは、各人の業務(本業)をこなすソフトを指します。
営業なら、顧客や案件を管理する専用のデータベースがそれにあたりますし、経理なら会計ソフト、人事なら給与ソフトとなります。
したがって、業種によってさまざまです。
また、本業ということは、顧客データも直結するということでもあります。
利益の源泉という意味でも、セキュリティ確保という意味でも、最も重要であると言えましょう。
テレワークツールは以上の3つに分けられますが、おカネをかけるべきなのは、利益の源泉になる業務ツールであるのは言うまでもありません。
そして、概ね価格が高くなりがちなのもまた、言うまでもないこと。
そのため、先行投資と位置付けて戦略的に投資対象とするか、テレワーク助成金活用などでカバーするようにしてください(ただ、助成金は手続きが面倒なので、それなりの手間がかかります)。
一方、他の2つはかなり安い価格で導入可能です。
これらの3つについて、経営への重要度・コスト・ポイントなどをまとめました。
参考までに、当事務所では(1)にZoom・Webex、(2)ではGoogleカレンダー・Nozbeを利用中、Slackは導入予定です。
社内コミュニケーションツールはE-mailでも足りるのですが、社外・社内は分けた方がいいですからね。
一番肝心な点は、形だけテレワークを真似しても、業務ツール導入やその活用まで踏み込まないと、生産性は下がる一方であること。
ぜひ業務ツールこそが生産性のカギということを認識してください。
もっと言えば、業務ツールに戦略投資できない企業には、未来はありません。
では、どのように業務ツールを導入すればいいのか。
それは、データがどこにあるかにかかっています。
例えば、フリーランスなら、データはノートPCにあるでしょう。
そのため、テレワーク実施には、ノートPCさえあれば足ります。
しかし、ある程度(数人以上)の人数がいる場合、LANを組んで、データ共有を図っていることでしょう。
例えば、Excel顧客名簿が会社PC内にあり、それに全員がアクセスしているような場合、いくらノートPCを持ち出しても、データをコピーするなどして持ち出さなければ、業務はできません。
ましてや、Excelファイル間でリンクを貼っていたり、Word-Excel間でデータリンクしていたりすると、両ファイルを持ち出しても、リンクが場所指定(パスと言います)している以上、リンクは更新されません。
このように、データの置き場所がポイントと言えるのです。
では、DropboxやOne Driveなどのクラウドにデータを置いている場合は?
データ自体はクラウドでどこから見ることができても、残念ながら、リンクは更新されません。
しかし、リンクを活かせるアプリもあります。
Sugarsyncというアプリは、会社PCと自宅PCとで同じデータを共有するソフト。
PC名を同一にすれば、リンクも活きるうえ、データも同期されるので、全く不自由なく利用できます。
ただ、これらのアプリはセキュリティ上、問題があります。
何故なら、操作性実現のため、PCなどのデバイス内にデータをコピー保管するからです。
そのため、情報流出リスクが増します。
利用するとしても、社外の人とデータを共有する場合など、利用が限定されるということです。
セキュリティを重視するなら、会社にデータを置いたうえで、外部から見に行くしかありません。
そこでVPN(Virtual Private Network)の出番です。
主に、中堅~大企業で使用されている方法です。
ただ、その設定には少々難しい点があります。
IPアドレスを固定アドレスに変更するのはまだしも、コストが高いうえに保守管理も必要になるなど、ある程度のIT知識がないと使いこなせません。
その割に動作が重ければ、コストパフォーマンスは悪いということになります。
ブラウザー「Firefox」を提供するMozilla(モジラ)社は今月、月5ドルのVPNを始めたようですが、安すぎてちょっと怖いです。
仕事で使用するのは避けた方が無難でしょう。
どちらにせよ、専任担当者がいるような中堅~大企業ならともかく、中小零細企業にはVPNはあまり向いていないと思われます。
それに比べ、リモートはもっとお手軽です。
VPNがIT知識を必要とするのに比べ、リモートソフトはIT知識を必要としません。
会社PCを外部から操作するのをイメージしてください。
業務ソフトは会社PCにインストールされているため、会社にいるのとほぼ同様の環境でどこからでも操作できます。
操作性も快適、情報流出リスクも低く、いま利用している業務ツールを利用でき、リンクもそのまま使え、さらにはコストも安いとくれば、もうこれは利用しない手はないでしょう。
実は、Windowsにもリモート機能(Remote Desktop Protocol)はあるのですが、VPNの併用が結局必要になるため、ここでは除外します。
このように中小零細企業に最適なリモートソフトには、
・Team Viewer(https://www.teamviewer.com/ja/)
・Splashtop(https://www.splashtop.co.jp/)
・LogMeIn(https://www.logmein.com/ja/pro)
などがあります。
機能はどれもほぼ同じです。
リモートソフトの唯一の欠点は、(当たり前ですが)PCの電源を入れなくてはならない点。
下手すると、PC電源をオンにする出社組が罰ゲームとなりかねません(笑)。
ただこれも、リモートでPC電源をオンにする方法もあります。
リモートソフトにログインしたまま、PCをシャットダウンしておけば、遠隔でPC電源をオンにすることができるのです。
PC設定を若干変更する必要はありますが、便利なこと、このうえなし!
便利ついでにおまけで言えば、会社PC内のファイルを自宅のプリンターから印刷するリモート印刷もできますよ。
→ 目次へ戻る
コロナ第2波までに取り組むべき4点目が、給与体系の見直しです。
M One News 20-59「コロナ第2波までに取り組むべき4つのこと③」では、人材不足に対応するには、何らかの形でテレワークを導入していかざるを得ないため、仕事を管理していくべきと述べました。
となると、仕事と連動して給与も変えていかないと、実効性を担保できないのは明らかです。
繰り返しますが、人材不足は長期的にもっと度合いを増します。
特に、コロナ終息後は、はっきりと顕在化するでしょう。
若者は地方に移住する一方で、ビジネスは東京に集中。
単にコラボレーションしやすいというだけでなく、そもそも人類の歴史をひも解くと、一極集中の傾向が見てとれるからです。
そのため、経営トップは東京にいざるを得ませんが、実際にビジネスを動かす人が東京にはいないためにビジネスが回せないということになりかねません。
安部首相は、アベノミクスで労働者数アップ(=人材不足解消)が実現できたと、昨年、胸を張っていましたが、単に高齢者と女性が参加しただけ。
参加余力がなくなってきた今後は、もう労働者数増加には期待できないため、生産性upにかかっていると言えます。
そして、生産性upは結果として利益水準に表れます。
その利益で先行投資を行えば、他社を突き放すことも可能になります。
まあ何にせよ、仕事をベースに変更できてのお話。
仕事と連動する給与体系にしていくのは、必須と言えましょう。
コロナ第2波までに取り組むべき3点目が、テレワーク体制の構築です。 名物経営者の松本晃社長のもとで業績を伸ばしてきたカルビーは、既にジョブ型に移行していたため、コロナ禍でもスムーズにテレワークに移行できたそうです。
業務に支障がないのであれば、単身赴任も無くすそうなので、単身赴任者は喜ぶことでしょう(悲しむ人もいるかもしれませんが)。
IT企業に至っては、お手のもの。
GMOは先頭を切って2020/01/27にテレワークへ全面移行、富士通も2020/07/06に原則移行と、ニュースにこと欠きません。
それもジョブ型に移行済みだからこそ、できる芸当です。
そして、その仕事が何かを明確にする文書を、一般的には「職務記述書」と言います。
移民の国である米国では、この職務記述書が古くから作成されていました。
なぜなら、職務記述書がないと、移民が仕事できないからです。
この職務記述書はあらゆる仕事にわたって過去から蓄積されてきており、評価に直結、ひいては給料も決まります。
したがって米国では、仮に社長が皿洗いをしていれば、皿洗いの時給しかもらえません。
社長なら社長の仕事をしなさい、皿洗いしているような社長は社長失格、というわけです。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/jinzaikaihatsu/ability_skill/syokunou/index.html
評価シートやマニュアルなどもこのHPにはあります。
より具体的に、56業種ごとの評価基準がこちら。
事務系も網羅されています。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_04653.html
さらに、助成金制度「キャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース)」でも後押しがなされています。
しかし、人事評価は各社によって異なるもの。
一律に導入するのは危険です。
表面をひたすらなぞっても、理念や企業風土に合っていなければ、何の意味もないどころか、崩壊の危険すらあるからです。
実際、かつてジャック・ウェルチ流成果主義が世界的に注目を集めた頃、富士通が同様に成果主義を導入したら内部崩壊しかかったとか。
その手の失敗談は、世界中でゴロゴロ存在します。
したがってまずは、社長自身が考えを掘り下げなければなりません。
人事評価が経営の根幹課題である点は、誰しも異論がないでしょう。
そして、難しく、時間がかかることも。
しかし、アフターコロナに向けて、もはや避けては通れません。
思念を深め、こうあるべきだという理念が固まってくれば、次のステップは、ジョブ型導入に向けた検討です。
そもそも、ジョブ型には問題点が2つあります。
(1)社員全員プロの会社なんて無い
まず、全員がプロと言えるほどには、スキルが高くないこと。
ジョブ型は、社員自らのスキルが一人前というのが大前提です。
そんな「プロ」なら、同僚や上司に相談することなく、自力で多くの仕事をこなせますし、仮にもし問題にぶつかったときも、自分で判断し、必要な人に知らせることもできるでしょう。
また、「プロ」なら、メンタル面も自分で管理できるはず。
上司がモチベーション管理などと言わなくてもいいはずです。
しかし、社員全員がプロなどという会社はほぼ存在しません。
確かに、部下が全員「プロ」なら苦労はしないよ、という声が、どの会社の上司からも聞こえてきそうです。
なぜなら、日本企業では、お互い助け合ってチームとして成果を出すことに長けているからです。
リアルなオフィスで机を並べ、一緒に仕事すれば、上司や同僚が陰になり日向になり、サポートしてくれます。
わからなければ「ちょっといいですか」「いいよ、何?」と助け合う。
今までそうやって成果を出してきたのです。
そんな日本企業でジョブ型を導入しようとなれば、プロ度合いがさまざまであるのを前提として、チームとして助け合って成果を出していける形で導入するしかないでしょう。
(2)教育困難
2つ目の問題点は、会社における教育の場が失われること。
このコロナ禍で入社した新卒者は、研修をオンラインでしか受けることができませんでした。
4月入社が、コロナ感染拡大とちょうど重なったためです。
その結果わかったことは、
・知識面は、オンラインでも伝えることができた
・その反面、スキルやメンタル面は、一部しか伝わっていない
の2点。
企業の担当者は、スキル面の話し方などの技能は新人が体で覚えるしかなく、メンタル面の心構えなどはオンラインでは伝えきれない、と感じたそうです。
テキストの講読の授業を、オンラインでも実際(リアル)の教室でも受けられるようにしたうえで、学生には好きな方を選ばせたのです。
結果、テキストの内容をよく記憶できていたのは、リアル組の方でした。
理由は、読み上げるときに感情を込めていたからだとか。
つまり、感情が記憶の土台となるのです。
考えてみると、面白いテーマです。
面白い授業とつまらない授業の差は、何なのか?
〇ン十年前に修学旅行で行った、奈良の薬師寺のお坊さんの講話が面白かったのをいまだに覚えているのは、なぜなのか。
うんこドリルが大ヒットしたのは、何が理由なのか?
それは、知識だけでなく感情をも伝える点にあるように感じます。
古い表現に、「面授(めんじゅ)」という言葉があります。
言葉には、人間の肉声で伝える言葉と文字で伝える言葉の、2種類ありますが、本当の情報は直接向きあってでないと伝わらない、という意味です。
人間と人間が向き合い、息づかいの聞こえるような距離で伝え伝えられることは、単なる言葉だけでなく、表情や気持ちというものまで含まれます。
ほとばしる情熱や、つつましやかな誠意、さらには魂のありようや志など、理屈ではない大事なものが、人間の顔や声に表れる。
理解するだけでなく感じ取る、それこそが大事だということを、「面授」という言葉が表しているのです。
吉田松陰の松下村塾。
幕末から明治にかけて日本を主導した人材を多く輩出したことで知られますが、その小さな塾の開塾期間は、僅か2年あまりに過ぎません。
その2年余りでその後の日本に与えた影響の大きさを考えると、直接向かい合う面授だからこそ、伝わったと言えるのではないでしょうか。
話がそれました。
テレワーク導入が避けられないなら、ジョブ型の欠点を何らかの形でカバーして導入するしかありません。
メンバーシップ型とジョブ型を組み合わせるとか、テレワーク下のコミュニケーションの活発を図るとか、会社によって異なるのは必須、いや異なって当然と言えるでしょう。
教育面でも、コロナ終息後にリアル研修を集中的に実施するなど、カバー策を何かしら考えるべきでしょう。
ただ、「鉄は熱いうちに打て」を実践できないのが、もどかしいですね。
→ 目次へ戻る
コロナ第2波までに取り組むべき3点目が、テレワーク体制の構築です。
人と接する業種だと難しいのですが、そうでなければ、毎日ではなくても、週数日くらいはできる体制にはするべきでしょう。
実際に実施するかどうかはともかくとして、いつでもできる体制にしておくという点に意義があるのです。
しかし、この実現にはかなりの困難が伴います。
日本が抱える本質的な問題点とリンクするからです。
具体的にどう取り組んでいけばいいかはおいおい後述しますが、経営の根幹にも大きくかかわってくるため、避けて通ることはできません。
まずは、以下の図を見てください。
・縦軸:テレワークなど柔軟な仕事スタイルを認める企業の割合
・横軸:テレワークなど柔軟な仕事スタイルがニューノーマルになると考える人の割合
を採り、国別にマッピングしたグラフです。
https://www.merchantsavvy.co.uk/remote-working-statistics/
ご覧のとおり、日本だけ、世界平均から異常なほどかけ離れています。
この英国での調査結果によれば、日本は労働者の8割が在宅勤務を望んでいるのに、会社は3割しか認めていないということです。
リモート先進国である米国では、国勢調査(センサス)で何百万人への調査結果が集計されています。
Visual Capitalistは、それを記事にして2020/06/01に公表しました。
https://www.visualcapitalist.com/how-people-and-companies-feel-about-working-remotely/
https://www5.cao.go.jp/keizai2/manzoku/pdf/shiryo2.pdf
それによれば、テレワーク経験者の64%が「仕事よりも生活を重視することになった」と回答し、8割超が継続を希望しているそうです。
また、若いほど地方移住への関心は高まり、東京の若者の3割が地方移住を考えているという結果には、誰しも驚くのではないでしょうか。
これらの調査結果から読み取れることは、
・テレワークを経験した2/3の人は、価値観が変わる
・テレワークを希望する社員の割合は8~9割
・一方で、企業側はテレワークにかなり消極的
の3点です。
かくいう私も、実際に行ってみて価値観が変わったのを感じます。
仕事一辺倒から、人生のあり方といった内面に目が向いていくのです。
ではなぜ、こんなにもテレワーク希望者が多いのに、日本では実際にテレワークが進まないのでしょうか?
それは、労働管理が時間管理のためです。
本来、働き手が受け取る給与は、仕事の対価のはず。
であれば、どのくらい仕事をしたかによって、対価が決まるべきでしょう。
ところが、日本の労働基準法は、時間管理がベースとなっています。
弱い立場の労働者は守られるべき存在だ、だから搾取されないよう守るべき、拘束された時間分はきっちり支払われるように時間管理しなければならない、というわけです。
そもそも、資本家と労働者の対立から、社会主義は生まれたのでしたよね。。
多くの日本企業で時間管理がメインになっている理由として、強行法規である労働基準法に従わなくてはならないという以外に、もう1つあります。
それは、部下が仕事しているかどうかを上司が評価するのに「仕事ぶり」で判断する点。
仕事への取り組み姿勢・目の輝き、そういったプロセス面は、結果をまず評価した後で評価すべきにもかかわらず、仕事結果よりも先に優先的に評価している企業が多いということです。
そのため、コロナ禍をきっかけにテレワークを始めた一部の企業では、部下が仕事しているかどうか、上司が不安でしかたがなくなり、しょっちゅうZoomミーティングしていたという笑い話もありました。
管理(manage)は、「うまく操って扱う」というのが本来の意味です。
「馬を手なずける」のが原義だそうですから、「(時に困難な状況でも)何とか対処する」ことを表します。
ところが日本では、「管理社会」という言葉でイメージできるように、主従がはっきりしているときに使われることが多いようです。
従の立場から出てきた「社畜」という言葉は、それを端的に表していますね。
経済協力開発機構(OECD)は毎年、労働生産性を公表しています。
日本生産性本部は、その2018年のデータを「労働生産性の国際比較2019」として取りまとめ、2019/12/18に発表しました。
https://www.jpc-net.jp/research/list/comparison.html
G7の国に黄色マーカーを引いておきました。
ご覧のとおり、最下位です。
しかも、24年連続不動の最下位!
労働生産性は、付加価値を労働投入量(労働者数×労働時間)で割ったもの。
付加価値を限界利益と仮定し、限界利益の約5割が人件費となる統計データもあるので(労働分配率)、人件費水準からチェックしても、おかしな点は無く、妥当でしょう。
日本の労働生産性が低いのは長時間労働のためだと、従来は言われてきました。
しかし、年間労働時間数は、実はもう米国の方が多いのです。
したがって、労働時間数が、労働生産性の低さの理由ではありません。
とすると、付加価値の方でしょう。
私は、日本の企業は時間管理に焦点を置いているから、付加価値がアップしないのではないかと思います。
どこを管理するかによって、選択時に優先順位が変わってくるからです。
付加価値を産み出すのは仕事であるのは、言うまでもありません。
それなら、管理は、時間ではなく、まず仕事に対してこそ行わなければならないはずです。
テレワークが進まないのは、労働管理が時間で行われているために出社が基本となっており、それに応じて業務も出社前提になってしまっているためでしょう。
「ハンコ文化」と揶揄されましたが、いくらハンコをWebに代えても、労働管理が時間をベースにしている以上、出社時間からPC前にいる時間に代わるだけで、意味がありません。
それでは、付加価値を産むのは置き去りとなってしまいます。
コロナ禍によるテレワークは、日本の抱える問題点を見事に浮き彫りにしたと言えるでしょう。
仕事こそが価値を産むなら、その進捗把握は非常に重要となります。
それを英語で「control」と言います。
その語源は「車輪をはめる」ことにあるそうですから、「運転する」「管制を行う」という意味になるわけです。
車の運転も、航空管制も、そのときどきで適切な判断が必要になるのは言うまでもありませんよね。
管理よりもコントロールの方が大事ということです。
現在、歯を食いしばって雇用を維持しつづけようとする中小~中堅企業には、「雇用維持」という求められる社会的責務以上に、ここ数年間、人手不足に悩まされてきた事情があります。
そのため、何とか雇用を維持しようとするのです。
ここで人材を手放してしまえば、アフターコロナ時には、人手不足にまた悩まされることになるからです。
しかし、先に触れたとおり、テレワーク希望は8~9割、気づいてしまった快適さを自ら手放す人はいないでしょう。
テレワークを会社が認めるかどうかを就労条件として考える人が、8割にも上るという調査結果すらあります。
コロナ終息がいつかは「神のみぞ知る」ですが、仮に数年かかるとすれば、数年後は日本の生産人口はもっと減っているでしょうから、人手不足にさらに悩まざるを得ないことは容易に想像できます。
となれば、打つ手はひとつ。
仕事に焦点を絞り、労働管理を時間ベースから仕事ベースに変え、働き手が望むテレワーク体制を構築するしかないでしょう。
成功裡に移行できた企業では、「ブラック企業」も「社畜」も死語となることでしょう。
非対人業務を行う企業だけでなく、対人業務を行う企業でも、コア社員以外は仕事管理を取り入れるというふうにアレンジ導入できるはず。
要は、テレワークにこだわることなく、ベースを時間から仕事に変えるのがポイントなのです。
→ 目次へ戻る
先進国では、コロナ禍の第1波が収束し、経済活動を再開したことに伴い、徐々に海外渡航が解除されつつあります。
日本からの渡航に対する入国制限等の情報はこちら。
https://www.anzen.mofa.go.jp/covid19/pdfhistory_world.html(外務省)
これでわかるとおり、入国制限 or 入国後の行動制限は、国によってまちまち。
そのため、渡航先の国にPCR検査による陰性証明書の事前提出を求められるケースもありそうです。
そこで、出国前にPCR検査を受けることができるトラベル・クリニックのリストが、経済産業省から2020/07/03に発表されました。
https://www.meti.go.jp/press/2020/07/20200703002/20200703002.html
リストはこちら。
https://www.meti.go.jp/press/2020/07/20200703002/20200703002-1.pdf
2020/07/02時点の情報ですが、東京都では13のクリニックが挙げられています。
予約制のクリニックが多いので、お早めに。
→ 目次へ戻る
報道されているとおり、持続化給付金の支給対象が拡大し、2020/06/29から既に申請が始まっています。
https://www.meti.go.jp/covid-19/pdf/kyufukin-kakudai.pdf
詳しくはこちら。
https://www.jizokuka-kyufu.jp/
(1)簡易的に申告しているフリーランスの救済
業務委託契約・委任契約・請負契約等のフリーランス(ex.音楽講師、インストラクター、SE)は、事業としてではなく、雑所得や給与所得として簡易的に申告しているケースがあります。
知ってか知らずか損していますが、実質事業者には違いなく、コロナ禍で収入が急減しているため、救済しようというものです。
(2)新規開業した法人・個人を救済
新規に開業した場合、そもそも比較する前年同月がありません。
そのため、コロナウイルスの経済への影響が本格化したAfterとBeforeを比べ、急減している場合、救済の対象となりました。
(注1)対象月とは、2020/04~12の任意の月
(注2)ケース2の開業月の月端数は切り上げ
(1)2020/04~12のどの月を選ぶかは任意
これは、既存の制度と同様です。
対象月を誤って申請してしまうとやり直しがきかないので、くれぐれも慎重に。
(2)サラリーマンの副業は支援対象外
本業で収入が急減している法人・個人を救済しようという目的なので、小遣い稼ぎで副業しているケースで申請すれば、不正とみなされ、名前を公表されたり、刑事告発も。
(3)ケース1:契約の存在とお金の流れの2点で、真実性を証明
ケース1のポイントは、契約の存在をおカネの流れで裏付けることにより、真実性を担保する点です。
そのため、必要書類もそれに応じたものとなっています。
(4)ケース2:税理士による確認が必要
新規設立 or 新規開業の場合、まだ公的書類が何もないため、専門家による確認で真実性を担保します。
そして、専門家は税理士と特定しています。
→ 目次へ戻る
第2波までに取り組み始めるべきことの第2点目は、事業収益構造の見直しです。
現在、コロナ禍でさまざまなことが変わりつつあり、人々の行動様式も変わりつつあります(ニューノーマル)。
したがって、いずれは嵐も過ぎ去って日常が戻ってくるでしょうが、その日常は現在ともはや同じではありません。
業種によりますが、コロナ終息後の売上がどの程度になるかによって、収益構造を見直す必要があるということです。
売上7~8割レベルで見通すのと、売上1.2~1.5倍レベルで見通すのとでは、次に打つ手がまるで変わってきます。
景気回復もV字回復からレ字回復となるでしょう。
ましてや、パンデミックが加速している現状では、終息に時間がかかり、ニューノーマル度も大きくなるはずです。
このコロナ禍で人々の行動様式の変わる点を、業界固有の事情に反映させ、そこを出発点としてください。
業界のことは、社長自身が最もよく知っているはず。
ぜひ、経営の最重要課題と位置づけてください。
貯金にあたる財政調整基金が9345億円から807億円まで、急減してしまったのです。
コロナ第1波で貯金のほとんどを使い切ってしまったことになります。
今後の支援は、借金に頼らざるを得ません。
国も例外ではありません。
既に借金まみれだったのに、国債増発によって、ますます首が回らなくなりつつあります。
しかもまだ第1波をようやくやり過ごしただけなのですからね・・・。
したがって、第2波では支援にトリアージが始まると予想できます。
第1波では誰も経験したことのない未曽有の事態だったため、全力でのスピード優先でしたが、今後はその内容について検討が始まるでしょう。
貯金を使い果たせば、支援も借金に頼らざるを得ないため、自己資金での支援と借金を使っての支援とでは、心理的ハードルの高さから、支援の積極さも異なってくる、ということです。
もちろん、本当に必要なところには支援するのは間違いありません。
でも、そうでないところに本当に支援する必要があるのか、という疑問が持ち上がってもおかしくはありません。
もっと具体的に言えば、「利益が出ていないところまで救済する必要があるのか?」ということです。
現在、日本では零細企業が多くを占めますが、税金を支払っていない零細法人・個人事業者が多く存在します。
あえて赤字にしている零細法人や個人事業主もいるくらいです。
利益を出して税金を納めるのは立派な社会貢献ですが、消費税免税で赤字なら、税金の支払いは本当にゼロで済んでしまうのです。
(住民税均等割の最低7万円は支払ったうちには入りません。何しろ、免税されている消費税の方がはるかに多額なのですからね)。
となると、社会貢献していない事業者に対して、他の社会貢献している事業者たちから徴収した税金を使っていいのだろうか、と思われてしまうことでしょう。
税金には公益性が求められるのです。
一方で、廃業する中小零細事業者は、年間8万社にも及びます。
赤字による廃業は自然淘汰ですが、黒字廃業はそのうち約半分にも達するのです。
理由は、人手不足や後継者不足ですが、こういう企業こそ救うべきだという議論が出てきそうです。
どちらが将来の日本にとって必要か、誰にとっても明らかでしょう。
結局、自治体独自の施策は(財源が無いために)もうあまり期待できないと思っておいた方がいいでしょう。
都債を発行しすぎると、夕張市のように財政再建団体に陥落しかねません。
残るは国しかありませんが、国の役割は国民を守ることにあるため、国債をさらに増発してでも、支援することでしょう。
ただし、「本当に必要なところには」という条件付きです。
したがって、国や自治体をあてにせず、自分にできる最大限のことを行ってください。
事業者にとってできる最大限のこととは、利益が出る事業を続けること。
赤字の事業を続けて自分が犠牲になる状態を、長くは続けられません。
赤字自体は恥ではありませんが、それを改善しようと思わず、今を安穏と過ごす考え方こそ、恥と思うべきでしょう。
特に、税金がゼロで済んだなどと喜んでいるのなら、到底、家族や社会のリスペクトは得られません。
「誰かが何とかしてくれる」のではなく「自分で何とかする」、そういう気概をまず持つべきです。
融資を受けるのはいいと思います。
ただ、返さなければいけません。
そのため、返済財源をつくるという苦労が伴います。
数年(数十年?)にわたって苦労を重ねるほど、借りることは今の事業に価値があることなのか?
借りた軍資金で、より利益の上がる事業を立ち上げていく方がいいのではないか?
あるいは、抜本的ないい方法がないだろうか?
そう自問自答してみてください。
「未知なる未来のために現在の資源を使うことが、本来の意味における企業家特有の機能である」(ピーター・ドラッカー)
M One News 20-40「コロナ感染の影響と経営者の取るべき行動は?⑦」で紹介した言葉です。
「いままでのやり方を何とか続ける」のも✕、「じっと耐え忍ぶ」のも✕。
今までの方法にしがみつくのは単に怖いからではない、と本当に言えるでしょうか。
第1波への対応では、手元資金を厚くするために借りれるだけ借りるべきと、M One News 20-15「コロナ感染の影響と経営者の取るべき行動は?」では述べました。
しかし、そろそろアフターコロナに向けて考え始めてもいい頃。
赤字の事業者も、まだ遅くはありません。
ぜひ検討を始めてください。
通常、その検討は以下のステップを踏みます。
(1)コロナ終息後にどうなるか、自分なりに考える
誰かがああ言ってるこう言ってるではなく、自分独自の着眼点でとらえるのがポイント。
独自性が強いほど、次の(2)につながるためです。
(2)もしその事業を行うなら、真のニーズは何か、同業者と比べて何が売りになるのかを考える
「売り」は差別優位性とも言いますが、独自性が強ければ強いほど、商品力・サービス力は高まります。
ここでのポイントは、ひとりよがりにならないこと。
そのため、第三者に説明して、うまく説明できない点を補強していってください。
繰り返せば繰り返すほど、洗練されていきます。
奥さんでもよし、飛び込みの営業マンでもよし、初めて聞いた第三者が「なるほど」と言うようになれば、しめたもの。
プレゼンの練習にもなるため、投資家にプレゼンするような大舞台にも、必ずや役に立つことでしょう。
(3)利益が出るかどうか検討
事業を維持するためには、正常利潤といって、一定の利益を上げていくことが必要。
いまさえ良ければいいという一発屋とは異なり、事業は継続が前提になるため、先行投資を常に行っていかなければならないためです。
この「正常利潤」という考え方は、非常に重要です。
行きづまって倒産する中小零細企業を見ると、公私混同が多くみられます。
オレの金はオレのもの。他人の金もオレのもの。
ジャイアンの理不尽な言葉「お前のものは俺のもの、俺のものも俺のもの」を思い出しますが、ジャイアンもそうだったように、当の本人には理不尽さの意識はまるで皆無です。
こうして公私混同してしまう人には、正常利潤の概念が理解できません。
だからこそ、事業を継続していく意識が減って、おカネにだらしなくなり、倒産するのです。
ぜひ、他山の石としてください。
正常利潤の概念を理解し、公私区別ができたうえで、会計知識として必須なのは、最低限、 ・粗利率
・固定費
の2点。
粗利率とは、売上アップに対して残る利益のアップ率。
固定費とは、売上アップにかかわらずかかる費用のこと。
最終利益率は業界の2倍くらいはみておかないと。
2倍見込んでも、不測の費用で下がってしまうのが常のためです。
(4)仕込み
上記ができたら、徐々に準備を始めてください。
ただ、第2波・第3波も想定した手元資金確保の観点から、大きく動くのはまだ避けた方がいいと思います。
あくまで、選択肢を多く持っておく段階にとどめておいた方がいいということですね。
→ 目次へ戻る
第2波までに取り組むべき第1点目は、事業継続計画(Business Continuity Plan)。
以前から紹介している「最悪を想定しつつ、楽観的に行動する」、ユダヤ人の賢人のこの言葉を具体化したものです。
計画と言うと分厚い書類を思い浮かべますが、事業を止めないよう、単にあらかじめ準備しておこうというお話。
中堅・中小企業なら、「事業を止めない」という観点から
・現在の業務方法が禁止されたら、どうするか
・売上先が無くなったら、どうするか
・仕入先が無くなったら、どうするか
などを考え、メモしておきましょう。
上記の「売上先が無くなったら」には、倒産も含みます。
つまり、売掛金の貸倒れを想定します。
そこでは、最大の売上先の倒産を想定するのがポイント。
そして、いったん準備できたら、それを社員に通知しておくことも必要です。
準備の内容もさることながら、「準備してあるよ」という事実を社員に知らしめるという行為が大事。
不安になっている社員の動揺をしずめるという点が、リーダーとしての務めでもあるからです。
事業を行っていない個人でも、「非常時に備えておく」考え方は参考になります。
・会社倒産 or 給与遅配になったら、生活費をどう確保するか
・医療費は保険でおりるか
などなど。
上述の事業継続計画(BCP)は、そもそも通常時でも想定しておくべき内容なので、既に作成してある企業も存在するでしょうから、コロナウイルスに関連する項目を追加してください。
マスクや消毒液を備蓄しておくのは当然でしょう。
マスクは洗えるタイプのものが普及しつつあるため、問題ないでしょう。
一方、消毒液の方は使用すれば無くなってしまうため、重点的に準備しておく必要があります。
M One News 20-38「非常事態が続くことで何が変わるのか?」では、手洗いの大事さを紹介しましたが、手洗いを推奨したゼンメルワイス医師の使用した消毒液は、次亜塩素酸水だったそうです。
https://www.nite.go.jp/information/osirase20200626.html
それによれば、35ppm以上の塩素濃度であれば、20秒後に99.99%以上のウイルスが死滅するそうです。
NITEの発表を受けて、厚生労働省・経済産業省・消費者庁は合同で、次亜塩素酸水の注意事項をまとめました。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/syoudoku_00001.html
リーフレットはこちら。
https://www.meti.go.jp/press/2020/06/20200626013/20200626013-4.pdf
一時期、話題になっていた次亜塩素酸水の空間噴霧の可否は、世界保健機関(WHO)でも米国疾病センター(CDC)でも、「(屋外ですら)有害となりうるから、推奨しない」としています。
加湿器用殺菌剤が販売されたことで1006人もの死者を出した韓国の加湿器殺菌剤事件(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8A%A0%E6%B9%BF%E5%99%A8%E6%AE%BA%E8%8F%8C%E5%89%A4%E4%BA%8B%E4%BB%B6)が念頭にあるのでしょう。
まあ、やめておいた方が無難です。
軽症でも金属片がノドに刺さったように感じ、咳込むとかなり辛いと聞きます。
世界保健機関(WHO)は、中国のデータの分析をもとに、個人差が大きいとしつつも、回復には平均2週間かかるとしています。
もっと症状が重くなると、着替えやお茶を入れるといった日常の何気ない動作でさえも息切れがひどく、終わった後は疲労困憊となってしまうそうです。
この場合、通常、体力の回復まで2~8週間かかると言われています。
さらに、集中治療室(ICU)に入らざるを得ないくらい重篤化すると、せん妄(幻覚・幻聴など)やフラッシュバックが起こり、精神錯乱にまで至ることもあるとか。
呼吸困難になれば、医師に「人工呼吸器を着けなければならない。麻酔をかける必要もある。家族に別れを告げたいですか?」と聞かれるそうですから、運よく治ったとしても、心的外傷ストレス障害(PTSD)が残るのは驚くことではないでしょう。
また当然ながら、病院のベッドで長く過ごすことになるため、筋肉量が減ります。
再び筋肉がつき、歩けるようになる程度に回復するまで、類似例から、数ヶ月~1年半かかるのではないかと言われているそうですよ。
もし経営トップがそうなったら、と考えると、ぞっとしますね。
上記症状はいずれも、個人差が大きいとのこと。
タバコを止め、酒はたしなむ程度にとどめ、運動量を増やすことで、健康を維持して免疫力をキープすれば、回復も早いそうです。
Stay Homeでなかなか厳しいと思いますが、ぜひ心がけたい点です。
2020/06/24、東京都では職場内クラスターが発生しました。
そのニュースに触れ、自社でも対策をとらなくてはと思った人も多いと思います。
参考になるのが、経団連が2020/05/14に発表した「新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン」。
オフィス用のガイドラインがこちら。
東京都は2020/06/26に、さらに詳しく27業種別に分けて発表しました。
https://www.bousai.metro.tokyo.lg.jp/taisaku/torikumi/1008262/1008459/index.html
https://www.bousai.metro.tokyo.lg.jp/taisaku/saigai/1007261/1009628.html(高齢者施設向け)
高齢者施設や共通も加えると、29業種にもなります。
厚労省は、職場内に絞った感染予防チェックリストを公表。
https://www.mhlw.go.jp/content/11302000/000630736.pdf
職場内クラスター防止には、このチェックリストが最も有効でしょう。
こちらは、番外編。
観光庁による「新しい旅のエチケット」。
https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001349264.pdf
誰しもが待ち望むコロナの終息。
こんなエチケットなど気にせず、心おきない旅行を早く楽しみたいものですね。
→ 目次へ戻る
M One News 20-22「コロナ感染の影響と経営者の取るべき行動は?④」では、経営への影響が大きい3大キャッシュアウトへの対策を述べましたが、その次に資金繰りに対する影響が大きいと言っていいであろう『税金』。
特に中間Tax(予定申告)は前期の実績に比例するため、前期と当期の落差が激しければ激しいほど、資金繰りが苦しくなると言えます。
社員雇用維持に努めようとすれば、給与から天引きする源泉税ですら、納付は厳しくなります。
そこで、通称「コロナ税特法」、正式には「新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための国税関係法律の臨時特例に関する法律」等が2020/04/30に公布、同日付で施行されました。
ほぼ全ての国税・地方税。
具体的には、法人税(中間を含む)、消費税(中間を含む)、法人住民税・事業税(中間を含む)、源泉所得税、源泉住民税など。
2条件を満たすことを証明する資料を、届に添付します。
ある期間の売上の減少割合を証明するためには、売上の該当期間の当期・前期の帳簿が必要となります。
一時の納税困難を証明するためには、手元資金残高が不足していること、具体的には通帳コピーや現金出納帳を提出しなければなりません。
資金不足度合いが少ないと、全額納税猶予にはならないかもしれませんよ。
届出書上で、具体的に計算する仕組みになっています。
申告遅れには届不要ですが、納税遅れには届が必要です。
例えば、税務署への届はこちら。
https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/nofu_konnan/pdf/0020004-143_02.pdf
提出期限はその税金の納付期限まで。
既に納付期限が過ぎている税金についても、2020/06/30までであれば遡及適用が認められました。
これを書いている今日、2020/06/30を既に過ぎていますので、「もっと早く教えてくれよ」とお叱りを受けそうですが、顧問先対応に追われていたので、お目こぼしを。
中間Taxを延滞税なしで実質済ませる裏技も、後述のポイント(3)に記載していますので、参考になさってください。
また、住民税などのコロナ納税猶予の県税事務所・市区町村への届提出は、税務署に提出した届コピーを添付すれば、必要資料の提出は省略できます。
つまり、審査は税務署側で終了しているとみなすという、一種の簡略化・効率化の手法です。
(1)納期限ごとに納税猶予届の提出が必要
資金繰りは刻一刻と状況が変わっていくため、1年分まとめて提出とはいきません。
また、手元の資金不足状況も、その時々でかなり変わってくるため、やはりまとめて提出は不可。
つまり、納付期限が近付いてきたら、その税金が支払えるかどうかを判断し、納税猶予届を毎回提出することになるのです。
例えば、源泉所得税は毎月納付期限がきますので(納期特例を除く)、毎月、届を提出します。
源泉住民税は、市区町村ごとに毎月、届を提出しなければなりません。
資金繰りが厳しい企業ほど、届枚数が増え、大変でしょう。
(2)中間Taxは、決算の確定納付期限までしか、猶予できない
ここで中間Taxは、前期Taxを基に計算する予定申告を前提とします。
中間Taxは年税額の仮払いという位置づけなので、精算することになる確定納付期限までしか猶予できないことになります。
確定納付Taxは1年延長できるのですが・・・。
(3)中間Taxは、中間申告を採用すれば、延滞税がかからないこともありうる
中間Taxは、決算を組む中間申告と、よりカンタンな予定申告があります。
予定申告は申告書の提出も省略できますから、納付書が送られてきたら、そのまま納付するだけでOK。
ただデメリットは、前期から業績が大きく落ちたとき、利益水準に比べて割高のTaxを仮払いしなければならない点にあります。
一方の中間申告は、決算を組むために手間・コストがかかりますが、利益水準にあったTax金額と言えます。
さらにコロナ禍で、中間決算を組むのが困難な状態が確定申告書の提出期限まで続けば、中間申告は不要、確定決算だけ行えばよいとされました。
したがって、予定申告ではなく中間申告を採用し、中間決算を組むのが困難な状態が確定決算Tax納付期限まで続けば、中間申告・納税ともに不要となります。
ここで「決算を組むのが困難な状態」が何を指すかですが、国税庁が2020/06/26に更新した「国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ」問2において、具体的に例示されています。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/kansensho/pdf/faq.pdf
・税理士や会計事務所職員がコロナウイルスに感染したこと
・企業の経理担当者 or 会計事務所で、感染や濃厚接触発覚により、通常の業務体制を維持できないこと
・基礎疾患による重症化リスクを抱えていたり、発熱など感染の疑いがあったり、緊急事態宣言など、保健所・医療機関・自治体等から外出自粛要請が出ていること
などが挙げられています。
「決算を組むのが困難な状態」が確定決算期限まで続くかどうか、神のみぞ知ります。
「決算を組むのが困難な状態」の例示はあくまで例示に過ぎないので、他にもいろいろなケースが想定されます。
そのため、税務署・県税事務所・市役所ともに、TELサポートを行っています。
特に税務署は、相談センターを2020/04/21に立ち上げました。
いつもの高飛車な態度とは違い、丁寧に対応してくれますよ。
→ 目次へ戻る
第1波の日本は、諸外国に比べて死亡率が異常に少なく済みました。
以下は、人口100万人あたりの死亡者数です。
気になるのが、原因が全くわからない点。
日本が採った水際作戦・クラスター戦略は、効果的ではあったものの封じ込めという点ではいずれも失敗、検査数はいまだに低いまま、実態すらわからないありさまなので、感染者数は判明しているよりも数十倍多い可能性すらあります。
なのに、死亡者数は極端に少ない。
その点を、海外のメディアは「ミステリー」とまで述べています。
ただ、感染者数が不明でも、発症率が同じであれば、死者数が増加するはずです。
市中感染が始まった頃から、死者数増加のニュースが一向に流れてこないのは、おかしいと思っていました。
素人がおかしいと思う点は専門家でも同様らしく、京大の山中伸弥教授は自身のHPで、ファクターXが存在するに違いないと述べています。
まことしやかに一時期言われたBCGワクチン説は、日本のワクチンがmade in Franceですからね。
しかも、フランスでコロナにより亡くなっている80代の高齢者はワクチン接種を全員行っていた時代の人たち、BCGワクチン説はたぶん違うでしょう。
もう少し、ロジックで考えてみましょう。
死亡率は、以下の方程式で表せます。
日本の死亡率が低いということは、
・感染率が低い
・発症率が低い
・発症者死亡率が低い
のいずれかです。
日本の致死率は2020/06/24時点で5.3%、米国は5.1%ですから、発症率・発症者死亡率ともに除外できます。
とすれば、感染率にファクターXが働いていると推定できます。
異常に少ない結果でびっくりします。
内容を見ると、2種類の検査キットでともに陽性と判定されたケースのみを「抗体保有」としています。
やはり圧倒的に少ない結果です。
抗体が感染してできるものであることを考えると、そもそも感染していないのでは? という疑問がわきます。
先程の感染率が低いのも、抗体保有率が低いことと符合します。
つまり、市中感染は広がっているものの、感染を妨げる何かがあるのではないか、と。
では、そのファクターXは何か。
交差免疫説は、その候補です。
通常、感染すると、初動の防御を行うIgM抗体が現れ、その後、再侵入を監視するIgG抗体が現れます。
ところが、日本のコロナ感染者の中には、IgG抗体が先に現れ、IgM抗体は後から現れたケースが複数例あったらしいのです。
これは、日本人がコロナ類似ウイルスに過去にかかったことによって、一定の免疫を持っていることを意味しているのではないか、と東大の児玉博士は言います。
他にもさまざまな説が飛び交っています。
遺伝子説は、コロナ制圧タスクフォースが採っている説です。
コロナ制圧タスクフォースとは、さまざまな研究分野から科学者が横断的に結集した国家プロジェクト。
今後、日本人の感染者600人の血液を解析し、重症化しやすい遺伝子の有無を調べる予定です。
8割接触削減の根拠となったSIRモデル。
それに基づいて、外出自粛も営業自粛も、ここ数ヶ月行ってきたわけです。
ところが、2020/06/12の大阪府の専門会議で、衝撃的な発言が飛び出しました。
専門家 :「大阪府で感染者数がピークアウトしたのは、緊急事態宣言後の自粛によるものではありませんでした」
吉村知事 :「ピークアウトするのに、外出自粛は影響があったのか無かったのか?」
専門家 :「データを見る限り、関係ありません」
吉村知事 :「緊急事態宣言も営業自粛も、全く効果が無かったということか?」
専門家 :「無かったと思います」
緊急事態宣言を2020/04/07に行う前の2020/3/28に、既に感染者数はピークアウトし、減少に転じていたのです。
思わず、天を仰いだ吉村知事。
気持ちは察してあまりあります。
ただ、結果論なので、短絡的に結論に結びつけるのは禁物です。
ファクターXで感染者数が抑えられているとしても、それは第1波での話。
M One News 20-49「コロナ第2波はいつ来る?」で指摘したように、過去のパンデミックでは、第1波よりも第2波の方がより深刻になる傾向にあるためです。
世界保健機関(WHO)によれば、第1波で被害を受けなかった年齢層や地域が、より被害を受けるそうです。
変異し、より強力になって再上陸するであろう第2波では、ファクターXが再び効くとは限りません。
したがって、いままでは序の口、第2波こそ、本来の相手として恐れなくてはいけないと言えるでしょう。
→ 目次へ戻る
米国物理学協会発行の学術誌に2020/06/16、トイレで水を流したときの飛沫のシミュレーション結果が掲載されました。
少し遡る2020/04に、米ワシントン大学の研究チームが、トイレ経由によるコロナウイルスの感染拡大の可能性を指摘していました。
今回、中国の研究チームは、流体力学を組み込んだコンピューターモデルを使って、水と空気の流れ、それによる飛沫がどう飛び散るかをシミュレーションしたのです。
https://aip.scitation.org/doi/full/10.1063/5.0013318
タンク1つのトイレで、水を流した時の(a)35秒後と(b)70秒後のウイルスの雲の状況を表したのが下図。
いずれも、フタの位置(Y=0)より飛沫は高く舞い上がっています。
こちらはタンク2つの場合。
ウイルス雲がさらに高く舞い上がっています。
感染者のくしゃみや咳だけでなく、嘔吐や排便などの排泄物にもウイルスが含まれていることはわかっており、トイレで感染者が体外に出したウイルスが水を流すだけで舞い上がることをシミュレーションで確認できたのです。
結論として、トイレを流す前にはフタを閉めよう、と締めくくられています。
水を流す前に自動でフタを閉めるトイレも、いずれ開発されるかもしれませんね。
もともと、無症状期に感染力が高いコロナウイルス。
人にうつさないという意味で、マスクエチケットならぬ、トイレエチケットと言えるでしょう。
中国の研究チームと前後して、富山県立大学の研究チームも、下水からコロナウイルスの検出に成功しました。
2020/03/初~4/末まで、富山県・石川県の4つの下水処理場の処理前下水にPCR検査を行い、陽性反応を複数例確認したのです。
この時期は両県ともに感染が拡大しており、時期が一致していたとのこと。
現在、第2波がいつ来るかに注目が集まっていますが、発症しなくても感染拡大状況を把握する手段として利用できますね。
→ 目次へ戻る
2020/06/17、東京都は2回目の休業旧力金の申請受付を開始しました。
https://kyugyo.metro.tokyo.lg.jp/dai2kai/index.html
M One News 20-41「コロナ休業協力金(東京都第2回)の概要とポイント」から追加 or 変更があった点のみコメントします。
(1)必要な休業期間は、2020/05/07~5/25
1日でも欠けると、受け取れません。
(2)第2回の提出書類が簡素化されるのは、第1回と同じ店舗で申請する場合のみ
(3)マイページを登録する必要あり
東京都HPでマイページを登録する流れになっています。IDを作成するのと同じ感覚です。
(4)専門家サポートは、初めての申請 or 異なる店舗での申請のみ可能
専門家サポートはこちら。
https://www.cpa-murata.com/coronasennmonnkasapo-to#ttl-coronasennmonnkasapototoukyoutodai2kai
→ 目次へ戻る
第1波が収束したいま振り返って思うことは、未曽有の事態に遭遇してトップの差が浮き彫りになったということです。
明確なメッセージを発信しつづけた知事と、日和見的な対応に終始した知事とで、発信力が極端に違うことに、Stay Homeで毎日ニュースを見ていて感じた人も多かったのではないでしょうか。
独自の大阪モデルをいち早く提案し、通天閣・大阪城・太陽の塔といった大阪のランドマークをライトアップすることで、現状を見える化するアイデアなど、そのわかりやすさ・行動力に思わず目を見張った吉村洋文大阪府知事。
記者会見で誠意ある自分の言葉でしっかりと信念を語る吉村知事に対し、大阪府民は絶大な信頼を寄せています。
米NY州知事のアンドリュー・クオモ知事も、負けてはいません。
毎日の生中継の記者会見では、良いことも悪いこともあらゆるデータを開示して説明し、どう対処していくか、方針を明示。
そのうえで、「私が全責任をとる」「苦情や非難は私にしてほしい」ときっぱり言い切る。
その反面、CNNキャスターの実の弟がコロナに感染したことを公表したり、リーダーとして苦しむ姿を時折見せたりと、人間味もあります。
事実を隠さず、現実と正直に向き合いながらも、リーダーシップを発揮するクオモ知事は、パンデミックに苦しむニューヨーカーから、圧倒的な人気と信頼を獲得しています。
国のトップでも、その発信力で差が出ました。
M One News 20-23「エリザベス女王演説」では、七つの海を支配したのも当然と思わせる精神を垣間見せた英国女王のスピーチを紹介しましたが、独メルケル首相も、負けず劣らず非常な高評価を得ています。
全国民への映像メッセージを見ると、その理由がよくわかります。
誠意ある話し方・落ち着きのある態度・配慮や気配りなどが、沈着冷静・対話・信頼、そういうものを感じさせるのですね。
一方、米トランプ大統領は当初、コロナ軽視の発言を繰り返した結果、初動が遅れ、米国ではいまだに感染者数が増加し続けています。
さらには、世界保健機関(WHO)が2020/03/11にパンデミックと宣言した後、「私はパンデミックと知っていた」と2020/03/17に放言。
最後は、世界保健機関(WHO)と中国に責任をなすりつける始末。
消毒薬を注射すればいいとか、自主隔離する議員をバカにしたりとか。
遅まきながらマスク着用を推奨しはじめた大統領が、「そう言う大統領がマスクを着用していないのは何故?」と記者に問われると、「大統領机には似合わない。マスク着用はマスコミを喜ばせるだけだ」と回答。
どうも「率先垂範」という言葉を知らないようですね。
比較検討することで、リーダーがどうあるべきか、参考になります。
未曽有の事態には、経験は役立ちません。
そもそも経験は誰しも持ち合わせません。
経験が無いからこそ、「未曽有」となるからです。
そのため、コロナ禍でリーダーに問われているのは、次の3点でしょう。
(1)覚悟
情報もリソースも不足する状態で、いかに最善の道を採れるか。
ただでさえ正解が不明な中で、手持ちの手札だけで意思決定をしなければならないジレンマ。
それを乗り越えるのは、覚悟しかありません。
腹をくくる、ということです。
それでも、失敗する可能性は高い。
ただ、チャレンジして失敗するのと、チャレンジしないで失敗するのは、天と地ほども異なります。
前者が成功の可能性は僅かでもあるのに対し、後者の成功確率はゼロのためです。
前回(2019/05)は打ち上げが成功したのに、つい先日(2020/06)の打ち上げは失敗に終わったホリエモンロケット。
コロナ感染対策で町から延期要請された挙句の打ち上げ失敗だったので、なおさら悔しかったことでしょう。
堀江貴文氏も、上記の「チャレンジしたうえでの失敗とチャレンジしない失敗の差」を述べていましたが、経験者が言うと、まるで重みが違います。
(2)考える力
何が正しいかわからず情報が錯綜する中で、リーダーとしてどう動くべきか。
数少ない情報を自分なりに理解し、咀嚼し、正しいかどうかを判断し、行動を決定して、メッセージを発信。
有事のリーダーに必要な3つの資質の中で最もコアな点でしょう。
そして、正しいかどうかの判断の根拠は、まずはデータ。
次にロジック。
コロナ禍は不明なことも多く、専門家ですら、仮説を立ててはデータ検証を繰り返している状態です。
「専門家がこう言っているから」ではなく、専門家の考え方を理解する点こそがポイント。
日頃、社員に「考える力を持て」と言っている社長自身が、コロナ禍で試されているとも言えます。
(3)意思決定の速さ
組織のパフォーマンスを決めるのは、平時は社員の平均値です。
しかし、有事には意思決定のスピードに変わります。
特に、このコロナ禍では毎日のように状況が変化し、昨日の情報が今日役立たないこともしばしば。
情報をウォッチし、判断し、意思決定していく。
意思決定スピードは本来、中小中堅企業の社長の得意とするところでしょう。
意思決定した後の仕上げは、発信力です。
社員数が多くなるほど、社員にメッセージをどのように伝えていくか難しくなるので、クオモ知事や吉村知事のやり方は参考になるはずです。
新型ウイルスで世界中が荒廃する中でワクチン開発により世界を救おうとするストーリーなのですが、米国海軍が協力し、本物の軍艦をロケ使用したことでも話題になりました。
その中で、リーダーについて、こんな言葉が出てきます。
「リーダーだろ(You are a leader)。
Lead!(行動で示せ)」
語源は、その言葉の意味を端的に表すのです。
→ 目次へ戻る
まだ毎日2桁の感染者数が出つつも、毎日3桁の感染者数が発生した一時期よりは、だいぶ落ち着いてきました。
現状は、パンデミック自体は終息していないものの、第1波は収束したと言っていいでしょう。
よく使われる「収束」と「終息」は、意味合いが異なります。
・収束・・・(状況・事態などが)ある一定の状態に落ち着く
・終息・・・物事が終わって、やむ
因みに、世界保健機関(WHO)が定義する「終息」は、『潜伏期の2倍の期間、その地域で発生が無いこと』だそうです。
緊急事態宣言を解除したことで新規感染者数が2桁に増えていますが、ある意味、当然のことです。
人出が増えれば、接触も増え、新規感染者も多くなるからです。
緊急事態宣言解除後にすぐ2桁になったからと言って、別に大騒ぎすることはありません。
目くじら立てている人は、以前は毎日数百人の感染者を出したのを忘れているのか、恐怖感の裏返しなのか、大きなできごとが一段落したら今度はもっと細かいことが気になりだしたのか、のいずれかでしょう。
最後はつまり、うるさいと感じていた家の近所の工事が終わって静かになったとたん、室内の時計の秒針の音が気になりだす、アレです。
要は、事態をコントロールできているかどうかが一番のポイントで、感染経路不明割合などをウォッチしていけばいいのです。
とはいえ、収束してしまったデメリットもあります。
ワクチンや治療薬の開発が滞る点です。
富士フイルムのアビガンは当初、2020/05/末までの承認を目指していましたが、感染者数急減により6月、さらには7月まで延びそうな気配です。
臨床試験では数千人規模の患者数が必要なため、感染者が減れば治験もできません。
いいことばかりではありませんね。
また、もう1点気になることがあります。
それは、患者への差別や偏見。
現在、患者数減少とともに検査数も減っていますが、2ヶ月前は医者が勧めなくても検査希望が多かったのに、いまは医者が勧めても「検査は怖いからいいです」と検査を希望しないケースが増えたとか。
心配だけど若いし、近所でうわさにもなるし、マスコミにも何を言われるか。
若年層にその傾向が高いそうで、隠れ陽性者の増加、ひいては早期の第2波につながる恐れがあります。
検査体制の問題から、検査への心理抵抗の問題に変わりつつあるのです。
第1波の真っ最中は「患者数を増やすな」「医療崩壊を起こすな」など、とにもかくにも全力での対応でしたが、第1波が収束した以上、非流行期における感染対策も変えていくことになります。
何でもそうですが、対策の手間・費用と、それによる効果を比較して、通常は対策を実行するかどうかを決めます。
今後来るであろう第2波と関連付けて考えると、第2波は感染者数が爆発的に増加して初めて事後的に判明するため、その前の非流行期から感染対策を習慣づけておく必要があるでしょう。
手洗い・3密回避・マスク着用などがそれにあたり、具体的には、専門家会議の提言を踏まえ、厚生労働省が2020/05/04に公表した「新しい生活様式」になります。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_newlifestyle.html
そのうち、マスク着用については、M One News 20-48「コロナ感染拡大防止にはマスクが最も有効」を参照。
ただ、真夏はつらいですね。
世界保健機構(WHO)は、2004年の鳥インフルエンザの報告書を2005年に発表しています。
https://www.who.int/influenza/resources/documents/h5n1_assessing_pandemic_threat/en/
その中で注目すべきは、第2章の「過去のパンデミックからの教訓」。
・1918~1919年のスペインかぜ
・1957~1958年のアジアかぜ
・1968~1969年の香港かぜ
の3つのインフルエンザ・パンデミックを振り返ってまとめた教訓で、なかなか参考になります。
かいつまむと、以下のとおり。
(1)パンデミックは予測不可能
死亡率・重症度・広がりのパターンに大きなばらつきがあった。
(2)指数関数的に感染者が増加するため、医療崩壊は常にありうる
(4)ウイルス感染力は、波ごとに異なる
第1波で影響をあまり受けなかった年齢層や地域が、第2波では脆弱になりやすい。
後の波の方がより深刻になる傾向があるが、理由はさまざま。
1918年のスペインかぜでは、2~3ヶ月で収束したが、第2波のウイルスははるかに悪質に変異した。
1957年のアジアかぜの第1波の主な感染者は小学生だったが、第2波では高齢者に広がった。
(7)隔離や移動制限は、感染拡大を遅らせることはできたが、止めることはできなかった
(8)ただ、医療崩壊を防ぐことはできる
(9)ワクチン生産はパンデミック終息までに間に合わなかった
(10)ワクチンを受け取れるのは、国内に生産設備がある国になるだろう
上記教訓の中で、特に注目すべきなのは(4)でしょう。
何故なら、ウイルスは何千・何万にも変異し、その中で(人間にとって)悪質なものが次の波として襲ってくるからです。
1918年のスペインかぜがその典型で、米国の死者数は第1波よりも第2波の方が、4~5倍にも達したのです。
日本でも、1918年の第1波は多数感染・少数死亡(致死率1%)なのに対し、1919年の第2波では少数感染・多数死亡(致死率5%)と、より深刻化しました。
病院・火葬場はどこもパンク状態となり、死亡電報も滞り、新聞の広告欄も黒枠の死亡広告だらけとなったそうです。
とはいえ、現在の医療体制やわかっている対策など、当時とは雲泥の差です。
ワクチンや治療薬も開発されつつありますし、このまま順調にいけば、第2波も恐れるべき理由はないと思いたいものです。
厄介なのは、第2波のウイルスが悪質化している点。
何千・何万にも変異した中で最も悪質なものが流行するからです。
しかも、現在、南米やアフリカの感染者数が爆発的に増えています。
南半球は季節が逆で、寒くて乾燥している時期にあたるため、呼吸器系ウイルスにとっては活動しやすく、感染拡大・変異する環境が整っていると言えます。
半年後、冬に向かう北半球に、南半球から変異したウイルスがブーメランのように戻ってきたとしたら、いったいどうなるのでしょう?
せっかく開発できたワクチンや治療薬も、効かなくなっているかもしれません。
インフルエンザと同時期に流行すれば、死者数はさらに増えます。
いくつかのシナリオを描くことができます。
最悪のシナリオは、半年後、インフルエンザと一緒に流行する上記のシナリオでしょう。
症状も似ているため、区別がつきにくいでしょうし、医療機関に混乱を引き起こすのは間違いなし。
重症化しやすくなる患者層も、高齢者から若年層や中年層に移るかもしれません。
いつ来るのかは「神のみぞ知る」ですが、個人的には最悪を想定し、半年後と見ています。
最悪を想定しておけば、仮に外れたとしても希望を失うことはないし、いつ第2波が来てもいいように、新しい生活様式に慣れておくのが私たちの務めだと思うからです。
最悪を想定する点で付け加えるとすれば、地震が重なることです。
1918~1919年のスペインかぜでは、4年後の1923年に関東大震災が発生しています。
南海トラフ地震は秒読みだと言われていますし、ウイルスと地震の両方に対して、非常用品の備えなどを行ったほうがいいでしょう。
→ 目次へ戻る
米テキサスA&M大学などの研究チームは、マスク着用義務化の効果を検証した論文を2020/06/11に発表しました。
https://www.pnas.org/content/early/2020/06/10/2009637117
武漢・イタリア・ニューヨークの2020/01/23~5/9の感染者数拡大と各地域で採用した対策を分析し、コロナウイルスのパンデミック阻止にはマスク着用の義務化が最も効果が高い、と結論付けたのです。
2つの地域で、社会的距離・ロックダウン・マスク着用の3つの施策の効果を、新規感染者数グラフの時系列推移で表しています。
社会的距離・ロックダウンだけでは、新規感染者数は増加し続けるのに対し、マスク着用により減少傾向に転じています(点線は線形近似値)。
上のニューヨーク市の図でも、ロックダウン後にかかわらず、感染者数減少傾向が緩やかなのに対して、マスク義務化後は、減少傾向が顕著になっていることがわかります。
こちらでは、イタリアも追加して検証。
マスクを着けないときの推定感染者数(黒の点線)と比べ、実際の感染者数(カラー)は明らかに増加が鈍っています
英ケンブリッジ大学などの研究チームも、同様の研究結果を2020/06/10に発表しています。
https://royalsocietypublishing.org/doi/10.1098/rspa.2020.0376
ロックダウンとマスク着用のありなしで感染症数理モデルを使って検証し、ロックダウンとマスク低着用率の組合せでは第2波・第3波を防ぐことはできず、第1波よりも大きくなる可能性すらあると結論付けました。
さらに、人口の50%以上の人が日常的にマスクを着用することで、感染者数増加を抑えることができ(R0<1)、ロックダウンとマスク100%着用の両方を実施するのが最も効果的だと指摘しました。
ロックダウン期間をグレー、マスク着用開始時点を青の点線で表し、マスク着用率0%・25%・50%・100%をそれぞれ (a) (b) (c) (d)でグラフ化しています。
黒の実線は、累積感染者数です。
ご覧のとおり、ロックダウンのみの(a)と、マスク着用&ロックダウンの(d)とでは、明らかに感染者数が異なります(しかも、(d)の単位は(a)の1000分の1!)。
ロックダウンよりも全員のマスク着用の方が感染拡大防止には効果的という結果には、身近すぎて少々意外な気もします。
足元に最も効果的な方法があったということなのでしょうか。
もともと、(医療従事者向けでない一般の)マスクは感染予防としてはあまり役に立たず、感染者のせき・くしゃみなどによる飛沫防止のためにのみ有効、と言われていました。
米国疾病対策センター(CDC)がマスクを推奨していなかったのは、それが理由です。
病人ならともかく、健康な人がマスクをしても意味が無い、と。
ようやく方針を転換したのが2020/03/31、世界保健機関(WHO)に至っては何とつい先日の2020/06/05とかなり出遅れました。
マスクが飛沫飛散防止に役立っているのは、空気流体力学計算でも示されています。
うつらないためにマスクをするのではなく、うつさないためにマスクをするということですね。
ただ、最近はマスクを着ける意味合いが変わってきています。
皆さんも気づいていると思いますが、マスクを着けていないと何を言われるか・されるかわからない、というふうに。
一種の自粛警察ですが、このコロナでは(結果的に)有効です。
コロナウイルスの特性として、発症後よりも、発症前~発症時の方が感染力は高いとされているからです。
発症後は誰しもうつさないように注意するでしょうが、発症前はその意識も無いため、感染拡大防止にマスクが有効というわけです。
→ 目次へ戻る
北九州市も、福岡県と足並みをそろえて、持続化給付金制度を立ち上げました。
https://www.city.kitakyushu.lg.jp/san-kei/09901244.html
正式には「北九州市持続化緊急支援金」と言いますが、国の持続化給付金制度を補足する支援策という位置づけになります。
福岡県の持続化給付金「福岡県持続化緊急支援金」の支給認定を受けた法人・個人に対し、中堅・中小企業20万円・個人10万円を支給。
2020/05/18(月)~7/31(金)
(1)郵送申請のみ
簡易書留必須。
(2)県と市のダブル支給OK!
他の自治体にはなかなか無いですよ。
(3)国の持続化給付金を申請した場合は、支給なし
あくまで、国の持続化給付金を受けられなかった事業者を救済するという位置づけのためです。
(4)判定期間の売上が1ヶ月でも50%以上減少した場合は、支給なし
国の持続化給付金は、判定期間の売上が1ヶ月でも50%以上減少すると申請できるため、支給額も多いことを考えれば、通常は国に申請するでしょう。
国に申請できるのに申請しなかった事業者を、自治体がわざわざ救済する価値は無いというわけです。
(3)と(4)は、県のポイントと同じです(M One News 20-46「持続化給付金(福岡県)の概要とポイント」)。
(5)県の支給認定を受けた後に申請
県の支給認定E-mailなどを添付して、証明します。
そのため、申請期限も1ヶ月遅くなっています。
(6)国の持続化給付金をまず検討し、次に、県&市の持続化給付金を検討する
こちらも大筋は、M One News 20-46「持続化給付金(福岡県)の概要とポイント」を参照してほしいのですが、1点だけ違うのは、県と市がセットという点。
市の分が追加されても、支給額はやはり国の方が多いので、検討順序は国 → 県&市となりましょう。
→ 目次へ戻る
持続化給付金と言うと、国の制度を思い浮かべますが、福岡県でも独自に同様の制度が2020/05/11から始まっています。
https://www.pref.fukuoka.lg.jp/contents/kinkyushienkin.html
正式には「福岡県持続化緊急支援金」と言いますが、国の持続化給付金制度を補足する支援策という位置づけになります。
中堅・中小法人、個人事業者、医療法人、農業法人、NPO法人などで、2020/01~申請直前月のいずれかの月の売上が前年同月比で30~50%減少した場合、法人50万円・個人25万円を支給(Max 年間売上減少額)
2020/05/02(土)~6/30(火)
(1)Web申請のみ
ただし、PC・スマホを所有していない人のために、窓口申請(予約制)でも可。
(2)国の持続化給付金を申請した場合は、支給なし
あくまで、国の持続化給付金を受けられなかった事業者を救済するという位置づけのためです。
(3)判定期間の売上が1ヶ月でも50%以上減少した場合は、支給なし
国の持続化給付金は、判定期間の売上が1ヶ月でも50%以上減少すると申請できるため、支給額も多い(Max 4倍)ことを考えれば、通常は国に申請するでしょう。
国に申請できるのに申請しなかった事業者を、自治体がわざわざ救済する価値は無いというわけです。
(4)国の持続化給付金をまず検討し、次に、県の持続化給付金を検討する
上記から、国 → 県の順序で検討すべきということになります。
注意しなければならないのは、「国の持続化給付金を申請していないこと」。
つまり、国の審査の結果、支給不可となった場合、国も県も支給をうけられないことになります。
例えば、売上△40%で国に申請してしまった場合ですね。
また、国は2020/05/01~2021/01/15が申請期間であるのに対し(M One News 20-26「持続化給付金の概要とポイント」)、県の方は2020/05/02~6/30と、申請期間が同じではありません。
そのため、これから売上減少が本格化する企業では、売上予想に失敗すると、国も県も結果的に支給を受けられないことに注意する必要があります。
くれぐれも、最初の方針検討は慎重に行ってくださいね。
→ 目次へ戻る
三鷹市は、コロナ対策として第2弾緊急対応方針を2020/05/12に公表、補正予算を決定しました。
https://www.city.mitaka.lg.jp/c_service/086/086593.html
その中で事業者に特にかかわるものが、家賃給付金。
正式には「小規模事業者経営支援給付金」と言いますが、国の家賃支援給付金とは別の、三鷹市独自の支援策です。
コロナウイルスにより、売上が減少し、資金繰りが苦しい状況となっている小規模事業者の事業活動継続を支援する
事業のために2020/04/01時点で建物 or 土地を賃借しており、2020/03~5の任意の月の前年同月比売上が20%以上減少した小規模事業者に対し、三鷹市内全ての事業所の家賃合計額半額の3ヶ月分(つまり、1.5ヶ月分。Max 30万円)を支給
(注1)小規模事業者
・製造業 :従業員20人以下
・サービス業(宿泊業・娯楽業) :従業員20人以下
・商業・サービス業(上記を除く):従業員 5人以下
(注2)「従業員」は、労働保険対象者で、一日の営業に最低必要な人数
(注3)業容拡大・創業1年未満の事業者には、配慮あり
2020/05/18(月)~9/30(水)
(1)郵送申請
ただし、窓口提出でも可とのこと。
(2)倉庫、駐車場の賃借は対象外
(3)支給はいつ頃?
2週間以内
(4)臨時の従業員は除く
小規模判定で重要となる「従業員数」に家族や役員を入れないのは当然としても、パート・アルバイトを戦力化している企業にも配慮しています。
ただし、パートでも店長などの役職を与え、事実上社員化している場合は、従業員にカウントすることとしています。
→ 目次へ戻る
外出自粛が感染拡大に必須なのは、皆さんご存じのとおり。
しかし、この措置、特にロックダウンは、心を恐ろしいほど圧迫します。
その理由は、「感覚遮断」にあります。
外の世界から切り離され、環境に働きかけることができなくなったり、あるいは外からの刺激が無くなったりすると、きちんとものを考えられなくなり、不安障害が発生し、錯乱や幻覚なども起きます。
さらに、身体的にも違和感を覚えるようになります。
実際、独房に入れられた囚人や、南極に長期滞在する研究者、潜水艦の乗組員などにも、同様の症状が出ることがわかっています。
ある実験では、全ての光を遮断した無音室に入った人は、わずか15分程度で幻覚を見るようになるのだとか。
そして、感覚遮断から解放された後に、計算・方向感覚・論理などのテストをすると、著しく能力が低下しているケースが多いそうです。
「感覚遮断」の研究は、朝鮮戦争で捕虜になった米兵に対する中国による思想洗脳を発端として盛んになりました。
例えば、赤ちゃんサルを親から離した実験では、発達が遅れることが示されました。
ルーマニア・チャウシェスク時代の孤児を対象にした研究では、脳の発達には他者の存在が必要なことが明らかになっています。
ロックダウンも、一種の「感覚遮断」。
ましてや、コロナウイルスは目に見えず、万人に効果的な治療薬もワクチンもまだ存在しません。
恐怖心がさらに不安障害を煽るというわけです。
ある意味、DVが増えているのは当然と言えましょう。
したがって、コロナウイルスによる死には、3種類あると言えるでしょう。
まず、感染発症による病死。
次に、感染拡大防止による経済死。
3つ目が、上記のメンタル死です。
しかも、この3つは相関関係にあります。
病死と経済死は逆相関関係ですし、3つ目に関係する恐怖心は免疫力を低下させ、発症リスクを増加させます。
恐怖心で判断を誤り、経済死につながることすらあります。
そして免疫力は、特定の食品でアップすることは無いそうです(もちろん、規則正しいバランスの取れた食事が大前提)。
とすれば、メンタル制御をいかに行うか、より具体的には、恐怖心をいかにコントロールするかが重要になってくると言えそうです。
なぜなら、発症リスクを上げないというだけでなく、必要以上に怯えてしまうと、本当に対策が必要なものが見えなくなってしまうからです。
恐怖を覚えるのは、当然のことです。
1918~1919年のスペイン風邪による死者は、ほぼ同時期の第一次世界大戦の死者の4~5倍にも達しますし、コロナウイルスによる病死者数は、既にベトナム戦争による死者数を上回りました。
知ってか知らずか、いや、人類の発展に伴って感染症も発達してきたと言えますから(M One News 20-12「パンデミックの歴史」)、DNAにその恐怖が刻み込まれているのかもしれません。
人間の五感でとらえられないものの代表例は、放射線(物理的)・化学物質(化学的)・病原体(生物的)ですが、科学が発達して可視化されても、得体のしれないものは、やはり怖いものです。
その恐怖心を減らすには、いくつかの方法があります。
(1)正しい情報を得る
正しく怖がるには、正しい情報を入手しなければなりません。
信頼性のあるニュースSourceを見たり、人間が反応しやすいネガティブ情報を見に行く時刻を決めたりするなどは、M One News 20-19「恐怖にどう反応するか」 で触れたとおり。
(2)自分ができることに集中する
自分でコントロールできないことにあれこれ悩んでも、事態は好転しません。
それどころか、不安感が増していく悪循環に陥りかねません。
これでは、百害あって一利なし、です。
自分ができることに集中しましょう。
そうすることで活力が生まれ、自分の意義・存在価値を再認識し、誇りや自尊心を高めることができます。
(3)祈る
米トランプ大統領は、2020/03/14に翌3/15を祈りの日にすると宣言しました。
祈るという敬虔なイメージと、放言しまくりのトランプ大統領のイメージが、どうにも結びつかないのですが、歴代大統領は従来から、クリスチャンとして神のもとでの一致団結を呼びかけています。
「祈る」行為は、もともと恐怖から生まれたという説があります。
人間がかなわない、洪水・干ばつ・嵐などの怖い自然を拝むことから生まれ、だんだんわかることが多くなってきて物事がうまく行くようになると、祈りは「守ってください」「ありがとうございます」の2種類の意味を含むようになりました。
私は宗教をあまり信じない不信心者でありますが、何かしらの大いなる力、Something Greatは信じています。
宗教を毛嫌いするどんな経営者でも、初詣は行きますし、縁起を担いだり、酉の市で熊手を購入したりしていますので、誰しも多かれ少なかれ、その傾向はあるのでしょう。
本題に戻ると、祈ることで恐怖心や不安感が和らぐのです。
もちろん、(1)(2)を行ったうえでの話です。
セットということですね。
メンタルでもう1つ重要な概念が、「レジリエンス」。
もともとは物理学用語で、外力による歪みを表す「ストレス」に対して、外力による歪みを跳ね返す力として「レジリエンス」が使われ始めました。
精神医学では、自発的治癒力の意味合いで、脆弱性の反対概念として使用されています。
脆弱性は心がポキッと折れる状態を言いますので、
レジリエンスはここではその反対、楽観性と言っていいでしょう。
楽観性には2つあります。
気質的楽観性と、現実的楽観性です。
気質的楽観性は、例えば、明日は今日よりも必ず良くなると根拠もなく感じられる傾向を指します。
信じ込むのではなく、努力しなくても無意識にそう思っている能天気な性格と言ってもいいかもしれませんね。
現実的楽観性は、例えば会社の渡り廊下で同僚に手を振ったのに無視された場合、「自分のことを見えていなかったのかな」と原因を考え、「別の時に声をかければ、話ができるだろう」と肯定的に思える傾向を言います。
それにより、ネガティブなことが起こったときに、ただ落ち込むのではなく、冷静沈着に現実を直視し、効果的な問題解決を図るために、何が大事かを考えることができます。
恐怖心を減らし、逆境の中で何をできるかを考える。
正解がないコロナ禍だからこそ、このレジリエンス概念が重要になってくると言えないでしょうか。
ご存じ、ユダヤ人精神科医ヴィクトール・フランクルがアウシュビッツ強制収容所から生還した後に著した本。
読売新聞が2000年に行ったアンケート「21世紀に伝えるあの一冊」で世界の名著部門第3位になった名作です。
いつガス室に送られるか、先が見えない極限状態で、力尽きてしまう囚人も多い中で、音楽会を催して楽しんだり、美しい夕焼けに心奪われ感動するなど、人間性を失わなかった囚人だけが生き延びました。
過酷な運命に打ちのめされていては、そうした喜びを感じ取ることはできない。
運命に毅然とした態度を取り、どんな状況でも一瞬一瞬を大事にすること、それが生きる力になると、フランクルは言います。
また、人間は仕事のやりがいや家族愛など、さまざまな使命感を持って生きています。どんな状況でも、今を大事にして自分の本分を尽くし、人の役に立つこと、そこに生きがいを見出すことが大事だとも言っています。
私たちは、自由で自己実現が約束されている環境こそが、幸せであると思っています。
しかし、病気や災害下では、その希望は潰えます。
コロナ禍も例外ではありません。
世界幸福度ランキングで8年連続ダウンを続けている日本。
G7でも最低です。
そんな日本人が自らの幸福感を見直すべきチャンスを、このコロナ禍が与えてくれているのかもしれません。
そう思い、高校生時代に読んで魂をゆさぶられた本を、いま再度、読み返しているところです。
ただし、1956年版(翻訳1956年、ISBN:4622006014)ではなく、1977年版(翻訳2002年、ISBN:4622039702)の方が良さそうなので、そちらがおススメです。
興味があれば、ぜひ読んでみてください。
→ 目次へ戻る
2020/05/27、コロナ対策として、第2次補正予算案が閣議決定されました。
https://www.meti.go.jp/main/yosan/yosan_fy2020/hosei/hosei2.html
歳出額31兆円・事業規模としては117兆円、1次補正予算と合計すると、事業規模233兆円とGDPの4割以上となる過去最大規模となっています。
これが全て借金で賄われるのですから、後が怖いですね。
それはともかく、第2次補正予算案の中で最も事業者に影響があると思われるのが、家賃支援給付金。
3大キャッシュアウト(M One News 20-22「コロナ感染の影響と経営者の取るべき行動は?④」)のうち、唯一手当らしい手当てがされていなかった家賃に対する対策で、誰もが待ち望んでいました。
コロナウイルスにより売上急減に直面する事業者の地代・家賃負担を軽減し、事業継続に役立てる
以下の要件に該当するテナント事業者の、中堅企業・中小企業・小規模事業者・個人事業者等に対し、以下の金額を支給
【要件】
2020/05~12のいずれかの月の売上が前年同月比で50%以上減少
or
2020/05~12の連続3ヶ月の売上が前年同期比で30%以上減少
【金額】
申請直近月の家賃をベースに下記で算定した金額の6ヶ月分
(1)オンライン申請のみ
持続化給付金同様、オンライン申請が原則のようです。
原則があれば例外もあるでしょうが、その「例外」が何かは詳細の公表を待ちましょう。
(2)申請はいつから?
2020/06/12の国会成立を目指すそうなので、成立後、必要書類などの詳細公表と申請受付がHPでなされることでしょう。
早ければ、2020/06/13にも。
(3)支給はいつ頃?
売上を証明するだけでよかった持続化給付金に比べ、必要書類は多くなります。
そのため、2週間程度で入金とされている持続化給付金よりは長くなりそうです。
したがって、申請から3週間~1ヶ月はみておいた方がいいでしょう。
支給開始は早くて2020/07/上ではないか、ということですね。
(4)必要書類(予想)
持続化給付金と同様と仮定すると、以下のとおり。
売上の元帳等は、いずれか該当する方の要件の月の分を添付することになります。
また、地代家賃の元帳は、会計ソフトに入力しないと印刷できません。
そのため、月末に支払ったらすぐ、(地代家賃だけでも)入力してください。
上記はあくまで予想なので、国会成立後にHPで公表される詳細を確認してください。
スムーズに受給できるといいですね。
→ 目次へ戻る
当初は、コロナウイルスの影響により収入が大きく減少した世帯などに生活支援として30万円給付する予定でしたが、迷走の末、国民一律10万円で2020/04/30に補正予算が成立した、国の「特別定額給付金」。
https://kyufukin.soumu.go.jp/ja-JP/
コロナウイルスによる影響緩和として、緊急経済対策の一環
2020/04/27時点の住民基本台帳に記録されている者に対し、1人10万円を、その世帯主に支給
住民票のある自治体の郵送開始日から3ヶ月以内
(1)世帯主に家族全員分が入金
DV避難している人にも配慮されています。
(2)申請期限がまちまち
申請期間は、自治体の申請書郵送開始日から3ヶ月以内とされていますが、その郵送開始日がまちまちのため、申請期限は自治体によって異なることになります。
自治体ごとの郵送開始状況はこちら。
https://kyufukin.soumu.go.jp/doc/kyuhu-post.pdf?ver=20200521.01
郵送されてくる申請書に具体的日付が書いてあるはずですが、忘れないように、早めに手続きした方がいいでしょう。
(3)郵送申請がおススメ
常識だとオンライン申請の方が早そうですが、処理する自治体自身が郵送申請の方が早いと言っています。
これは、オンラインだとゼロからチェックを始めるため(しかも2人で!)。
郵送方式なら、印字して追加記入してもらって返送することで、印字内容のチェックは不要というわけです。
オンライン申請なのに、マイナンバーカードの情報を何も利用していないということ。
何のためのマイナンバーカードなのでしょうか。。
(4)申請書類で「受給しない」にマークしない
一番誤りやすいところです。
自治体が作成した申請書の一例がこれ。
このように、受給しない人に✔をつける形になっているのです。
通常は、受給する人に✔をつける形にするでしょう。
驚きますね。
そもそも、受給しない人は申請書を出さないだけのはず。
もし仮に4人のうち1人が受給しないのであれば、受給するのを前提として、受給しない人だけ受給の文字を消すなど、わかりやすくすべきでしょう。
間違えやすいと報道されていましたが、これを予想できる人はいないと思います。
しかも、市区町村ごとに用紙形式がすべて異なるようなのです。
国の申請書見本があるにもかかわらず、です。
各市区町村の担当者は自己満足しているでしょうが、社会的には膨大なロスが発生しています。
支払いたくないから、あえて間違えやすいようにしたのではないか、と勘繰ってしまいますね。
ひっかからないように、ご注意願います。
まあ、竹本IT担当大臣がハンコ文化について聞かれたとき、「印鑑を使わないと納得しないというような、人間同士・日本人同士の感覚がある」と述べていましたからね。。
国のIT担当トップがこれでは、役所をむやみに責められないかもしれません。
残念ながら、ITリテラシーの低さを自ら暴露する形となりました。
市区町村に問い合わせてください。
「銀行口座の記入があるのに受給しないになっている」のはおかしいとして、TEL確認してくれる市区町村もあるようですが、自身のことですからね。
40万円(家族4人の場合)の価値はあるはずです。
→ 目次へ戻る
2020/05/06までだった国の緊急事態宣言の延長を踏まえ、東京都でも緊急事態措置として自粛要請期間を延長したときに2回目の休業協力金も準備すると、小池知事が表明していましたが、2020/05/19にその概要が公表されました。
https://www.tokyo-kyugyo.com/dai2pre/index.html
2020/06/17に申請方法の詳細が公表されると同時に、受付も開始されます。
コロナ感染拡大防止対策で、東京都の緊急事態措置(休業要請)に全面協力する中小企業・個人事業主の支援
中小企業・個人事業主等に50万円(複数店舗は100万円)支給
2020/06/17(水)~7/17(金)
(注1)6/17に申請専用サイトが立ち上がる予定
(1)オンライン申請がおススメ
ただ、第1回と異なり、Web申請・郵送申請・窓口申請の3方法が用意されるようです。
(2)必要な休業期間は、2020/05/07~5/31(予定)
1日でも欠けると、受け取れません。
ただ、前倒し解除されれば、必要とされる休業期間も短縮されるはずです。
(3)「休業」は営業時間短縮でOK(飲食店)
(4)本社が都外でも、都内施設を休業すれば、対象
(5)第1回を申請した事業者は、第2回の提出書類は簡素化
(6)専門家の事前確認があれば、スピード受給を期待できる
第三者の目を通すことで、東京都も審査を簡略化でき、スピード受給が可能になります。
しかも、専門家には東京都から直接支払われるため、申請者は立替えすら不要!
当事務所では専門家として、申請サポートを実施(無料)。
2020/06/17にならないと詳細が不明ですが、第1回と同様のサポートを行う予定です。
因みに、第1回に対するサポートの詳細はこちら。
https://www.cpa-murata.com/coronasennmonnkasapo-to#ttl-coronasennmonnkasapototoukyoutoippann
詳細が公表され次第、HPでサポート方法をご案内します。
→ 目次へ戻る
テレワークの快適さを知ってしまえば、通勤しなくなります。
通勤しなくなると、ビジネス街の人口は減りますから、テナントや飲食店は不利になります。
逆に、住宅街のテナントや飲食店は有利になるでしょう。
テレワークのデメリットに、公私の区別がつきにくく、集中力を保てないという点があります。
したがって、サテライト・オフィスやハブ・オフィスが発達するでしょう。
通勤地獄を避けられるうえ、メリハリもつけることができるためです。
従来、営業は人の説明が前提でした。
しかし、今後は動画・VRでの説明が多くなり、マニュアルもPDFでダウンロードするのが一般的になるでしょう。
話し方がうまい営業マンよりも、技術的なことがわかる営業マンの方が評価されるということです。
ただ、得手不得手は人によって異なります。
したがって、役割分担が進むと思われます。
営業であれば、
・見込み客探し
・コネクションづくり
・クロージング
・フォロー
いままで1人で行っていた各ステップを、スキルのうまい人がそれぞれ担当するというふうに。
また、不動産賃貸業なら、不動産の物件案内は、動画やVRでもできるはずです。
大家自身に自分で工夫して動画を撮る才覚があれば、賃貸仲介市場は縮小することでしょう。
スマホで簡単に撮れますから、やる気の問題です。
サテライト・オフィスやハブ・オフィスが進めば、小さな本社で足りるはずです。
家賃軽減という点からも、社員からの支持という点からも、その方がベターでしょう。
サテライト・オフィスが可能なら、別荘オフィスも可能ではないでしょうか・・・。
まあこれは、ある程度自分の仕事をコントロールできる立場にならないと無理だと思いますが・・・。
短期的に手は打っても、最も大事なことはやはり、売上をどう上げるかです。
(1)コア事業以外は閉鎖
利益を出していないのなら、この非常時にはもはや、やり続ける余裕は無いはずです。
選択と集中でコア事業に回帰する。
閉鎖した事業に従事していた社員は、コア事業に配置転換する。
(2)視点チェンジ
需要が蒸発してしまっている宿泊業。
にもかかわらず、ほぼ満室営業を続けているホテル「Whykumano」(in 那智勝浦)。
その宿泊パック名は「オンライン宿泊」。
いやいや、さすがにオンラインで宿泊は無理でしょう、と思ったあなたは、以下の体験記事を参照してください。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200502-00000003-withnews-sci
1人¥1,000と売上は僅かですが、その狙いは別にあります。
それが何であるか、なぜ人気なのか、自分ならさらにどう改善するか、考えてみてください。
(3)業態転換
簡単に転換先が見つかるわけではないのは、百も承知です。
逆に、簡単に見つかるなら、既に行わなければならないことをやっていなかっただけのこと。
コロナが終息しても、売上はV字回復で戻るわけではなく、レ字回復になると思われます(つまり、徐々に回復していくということ)。
そして、生活様式が変わるため、回復した売上レベルを7~8割と予想し、それを前提とした収益構造で考えるべきでしょう。
通販なり、テレワークなり、その便利さを知ってしまって馴染んで習慣化してしまえば、元に戻ることはありません。
ピーター・ドラッカーは、「未知なる未来のために現在の資源を使うことが、本来の意味における企業家特有の機能である」と言っています。
「長期指向の企業の経営成績は、他の企業より売上で46%、利益で36%多い」という、マッキンゼーの調査結果もありました。
経営が未来を見すえれば、富を生み出す力は強まるのです。
コロナ禍は、日頃仕事にいそしむ経営者にとっては、「経営」を考えなおす千載一遇のチャンスかもしれませんね。
→ 目次へ戻る
東京商工リサーチによると、コロナ関連の倒産件数は増えつつあります。
ただ、この件数には、負債総額1000万円未満の倒産や、自主廃業は含まれておりません。
「長期化しそうだし、もう歳だからこの際たたもう」と考える、会社や個人はかなり多いと思われますので、実際の倒廃業はもっと多いことでしょう。
廃業するにも、個人は届を1枚提出するだけですが、法人は清算を行うこととされており、この清算手続のハードルが高いのです。
実務的には、お店はたたむけれども会社は残しておく「無期休業」(つまり、休眠)の形を取る法人が多いことでしょう。
経営の選択肢をできるだけ増やしておくことがポイントです。
ワクチン開発には時間がかかることから、感染拡大と外出自粛を繰り返し(M One News 20-14「コロナ感染の終息はいつ?」)、需要が蒸発する状態が長く続くと想定されるためです。
とすれば、繰り返し述べているように、融資を最大限受けることで手元資金を厚くし、3大キャッシュアウトを減らす努力を最大限行うこと(M One News 20-22「コロナ感染の影響と経営者の取るべき行動は?④」)。
株価が下がったからこれ幸い、などと呑気に投資するべきではありません。
そのおカネは、本業見直しに使うべきです。
大家、社員、取引先、家族、銀行・・・。
経営上、何を最も大事にすべきものは何なのか。
優先順位を付けて行動してください。
https://logmi.jp/business/articles/322814
腹をくくるということです。
ある米不動産サイトで2020/03/末に行われた調査では、「4月末に支払うべき家賃が払えない」と答えた人はニューヨークで約40%もいたといいます。
4/末を過ぎましたが、どうなったのでしょうか・・・。
ある経営者から質問を受けました。
大家に借金があるケースと無いケースとでは、大家に引き下げ交渉の余地があるかどうか(M One News 20-22「コロナ感染の影響と経営者の取るべき行動は?④」)は理解できるが、どうやって借金があるのがわかるのだろうか、と。
借金の存在があるかどうかは、不動産登記簿謄本でわかります。
つまり、不動産が担保に入っている場合、不動産の登記簿謄本の乙欄に担保権が記載されているのです。
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji02.html
そして、謄本はWebで取得可能。
https://www1.touki.or.jp/
もっとも、返済が終了しているが、抵当権を外す登記を(実害が無いために)まだ行っていない場合や、そもそも担保には入れていないが、不動産とは関係ない別の借金があり、資金繰り上、家賃収入を当てにしている場合などの大家の個別事情はわからなかったりするので、ひとつの目安に過ぎないのですが・・・。
銀行が返済猶予に応じるようになったのは、朗報ですね。
大企業用の雇用調整助成金以外に、中小企業用として、直接給付の新制度創設が現在、検討されています(M One News 20-36「雇用調整助成金の問題点と対応策②」)。
ただ、法案成立がいつ頃になるかは不明で、そもそも詳しい内容すらわかっていません。
したがって、拙速になるような行動は避けたほうがいいでしょう。
具体的には、解雇はもちろんのこと、(中小企業は)雇用調整助成金申請、給付を当てにした資金繰りなどは慎み、状況の見極めができるまで静観すべきということです。
国の最終目的は雇用維持にあるため、(社員からの)退職や(会社からの)解雇など雇用契約が無くなってしまえば、助成金の対象から外れてしまいます。
そのため、給料が一部遅配になってでも、雇用契約維持を心がけるべきです。
もちろん、社員には(生活給でもあるため)理解を求める努力は必要でしょう。
場合によっては、住宅ローン返済猶予の方法を、社員に知恵づける必要もあるかもしれません。
→ 目次へ戻る
現在、人類は世界的な危機に直面しています。
いずれ、嵐は過ぎ去って、日常が戻ってくるでしょうが、その日常は現在とはもはや同じではありません。
ありとあらゆる可能性が次々に試され、数年かかる法案も短時間で成立し、緊急対策が実行に移される状況が続いています。
何もしないリスクの方が大きいためです。
それが非常事態の本質です。
今や、世界は大がかりな社会実験の場と化しています。
そんな状況が続けば、変化は当たり前になり、「前例」という言葉は死語にすらなるかもしれません。
1348年の仏南部マルセイユで黒死病(ペスト)が流行すると、住民は仏北部に逃げ、ウイルスが拡散し、2年以内にヨーロッパ人口の半分が死亡しました。
ペストは、その後のヨーロッパ社会に大きな影響を与えます。
体が黒くなって死ぬため、神はこのようなむごたらしい病気を放置するはずがないと、キリスト教への尊敬の念が薄れる一方、信仰が足りないからと自分を鞭打つ信徒が現れます。
死亡して少なくなった農民の賃金が上昇して農奴から解放される農民が増え、宗教画一色だった美術の世界も、絵の題材が変わり始めます。
こうして社会構造が変わっていき、ルネサンスを加速させたのでした。
変化の波に直面して私たちが直面するテーマは2つあります。
その1つは、全体主義的な監視&罰金の体制を選ぶのか、それとも、個々のエンパワーメントを選ぶのか、です。
中国は初動こそ遅れましたが、強権を発動し、GPSアプリ・監視カメラ・軍隊(医療チーム)の力を借りて封じ込めに成功しました。
市民に検温とその結果報告を義務づけ、GPSアプリをインストールさせたスマホを念入りにモニタリングし、街中に検温体制をしいて、発熱すれば、その数日前に遡って、GPSアプリで行先と濃厚接触者を特定し、全員、強制隔離する(自粛などと生易しいものではありません)。
感染患者が近くにいればアラートを出すアプリも、広く出回っているそうです。
人権を無視する代わりに、かなり効果的です。
旧ソ連のKGBもなしえなかったことでした。
韓国も、ほぼ同様の体制を敷くことで、感染爆発を抑え込むことができました。
罰金で有名なシンガポールは、現在、公園をボストン・ダイナミクス社の四足ロボット「スポット」が巡回し、社会的距離を開けるように公園利用者に呼びかける実証実験を行っています。
そのような監視体制に対して、個々の市民に委ねるエンパワーメントを選ぶこともできます。
ここでは、エンパワーメントを「人びとに夢や希望を与え、勇気づけ、人が本来持っているすばらしい、生きる力を湧き出させること」と定義付けます。
その前提は、潜在能力を持っていること。
コロナなら、感染症の知識がそれにあたるでしょう。
具体的には、外出自粛や社会的距離、その必要性と効果、発症したときには軽症・中症・重症の度合いによって回復にはどのくらいかかるのか、などを正しく理解する必要があります。
ただ、一人ひとりの感染症知識にはバラつきがあります。
営業自粛指示(要請ではない)をしたパチンコ店に行列ができるのは、その一例。
そのため、西欧諸国が罰金を高くしてロックダウンの実効性を高めているのです。
でもきっと、どの首相も「ビッグ・ブラザー」が欲しいと、心中では思っていることでしょう。
現在、手洗いの大事さを疑う人はいません。
しかし、医者が手術前に手を洗うようになったのは170年前、日常の手洗いの重要性が広く知れ渡るのは僅か40年前なのです。
手洗いの大事さを発見したハンガリー医師ゼンメルワイスは、働いていたオーストラリアの病院で、医師よりも助産師が赤ちゃんを取り上げる方が、産褥熱での死亡率が半分と、はるかに低いことに気づきます。
原因を一つずつ取り除いて得た結論は、医師は死体解剖後、手洗いしないで出産に臨んでいたというもの。
ゼンメルワイスは、「死体の微粒子」が母親たちに移されているのではないかという仮説をたて(パスツールの病原菌説は数十年後)、手洗いを奨励したのです。
死亡率は下がったのに、医療界からはバッシングを受け、失意のうちに世を去ったゼンメルワイスが評価されるのは、死後になってからでした。
私たちが現在、手洗いを自然に行うのは、ビッグ・ブラザーが監視しているためではありません。
ウイルスや細菌が病気の原因になる事実を知っており、石鹸が病原体を取り除くことを知っているからです。
「石鹸警察」が怖いわけではなく、手洗いの正しい知識を一人ひとりが持っているからなのです。
とすれば、他の知識も正しく身につけることが大事になってくると言えます。
そうして初めて、自分の生活や環境を自分自身でコントロールする力を持てるようになるでしょう。
正しい情報を得て判断力を磨き、専門家や当局に信頼を寄せれば、将来について不安が低減されるはずです。
世界ではロックダウンが解除されつつありますが、ロックダウン中は、強烈な悪夢を見る人が多くなったというニュースがありました。
ロックダウンを「自由を制限される」ととらえるから悪夢を見るのであって、ロックダウンを「自由を取り戻すための闘い」と考えれば、将来の希望が持てるはずと思うのは、私だけではありますまい。
それは、正しい知識と当局への信頼がベースにあって初めて、できることです。
そのためには、情報公開が必須。
信頼できる統計にアクセスできるようになれば、国が真実を述べているか、現在の対策が正しいかどうかがわかるからです。
変化の波に直面して私たちが直面するは2つ目のテーマは、グローバルな国際協調を選ぶか、それとも国家主義的な自国第一主義を選ぶのかです。
コロナウイルスの感染爆発、その結果引き起こされた経済危機の背景には、グローバルな現在の状況が存在します。
危機の解決には、グローバルな連携しかありません。
サプライチェーンはグローバルに展開しているうえ、ワクチン供給スピードも国際協調で促進されるからです。
しかし、米トランプ大統領は、人類の未来より「偉大なるアメリカ」の方が大事だと、以前から公言しています。
実際、米国はEUからの入国禁止を一方的に行いました。
盟友国への一切の事前通告なしに、です。
ワクチンにも、ナショナリズムの影がつきまといます。
開発されても供給不足になるのは確実な状況下で、まずは自国民に供給しようとするからです。
前例もあります。
2009年のH1N1インフルエンザのパンデミックのとき、最初にワクチンを開発したのが豪州の製薬会社だったため、豪州国内や契約を結んだ裕福な国の需要が優先され、それ以外の国の注文は後回しにされたのです。
そして現在は、さらに問題が複雑化しています。
称賛される科学者は誰で、特許はどこが取り、収益は上げるのは誰かという問題から、コロナ危機後の復興において経済的・政治的優位に立つという、国家安全保障の問題へと発展しているのです。
米トランプ大統領は、独製薬会社キュアバック社に対し、新ワクチン開発費として10億ドル資金提供する代わりに、本社を米国に移すよう提案したと、2020/03にすっぱ抜かれました。
狙いは明らかです。
ワクチンの独占権を得ようとしたのです。
盟友国として、あるまじき行為です。
キュアバック社は拒否したのですが、事態に慌てた欧州委員会は、8500万ドルの財政支援を約束しました。
一方、中国企業も1億3330万ドルで独製薬会社バイオエステック社の株式を取得するなど、自国優先の動きが続いています。
しかし、国際協調しなければ、危機が深刻化するのは明らかです。
この2つのテーマで、私たちは今後、どのような選択をしていくことになるのでしょうか。
→ 目次へ戻る
2020/04/20、米ニューヨーク商業取引所で、原油先物価格が史上初めてマイナスとなりました。
簡単に言うと、原油を買うとお金をもらえるというわけです。
コロナウイルスにより、世界の石油消費が一気に冷え込む中で、原油貯蔵施設が2020/05に満杯になるかもしれないとの懸念が広がったため、おカネを支払ってでも引き取ってもらいたいと生産者は考えたのです。
5月物先物の最終取引日が翌日に迫っていたという事情があるとはいえ、「需要が蒸発した」ショックがいかに大きかったかを物語るできごとと言えるでしょう。
米国労働省は、2020/04の雇用統計を2020/05/08に発表しました。
その中で特筆すべきは、14.7%という失業率。
これは、7人に1人が失業状態にあることを表します。
リーマンショック時の10.0%を軽く超え、1930年代の世界大恐慌以来、最悪の失業率となりました。
しかも、まだ底ではないと誰にも言えないのです。
それは、1929/10/24(木)のウォール街の株式大暴落で始まりました。
投機業者の自殺者は11人に及び、ウォール街は不穏な空気に包まれ、警官隊も出動する事態に。
翌25日(金)にブローカーや銀行家が買い支えることで、いったんは持ち直ししたものの、翌週28日(月)・29日(火)に再び暴落。
暗黒の木曜日・悲劇の火曜日と後に呼ばれる、株式大暴落の影響は、株式保有者だけであろうと、楽観的な人もいました。
しかし、株の損失を埋めるために、さまざまな分野・地域から投資家たちは資金を一斉に引き上げ始め、それが企業の業績悪化による倒産へとつながり、そして融資焦げ付きによる金融破綻が相次ぐと、一気に雇用整理が広がります。
取り付け騒ぎがあちらこちらで起き、とうとう1933/02には全銀行が営業停止。
世界大恐慌の底は1932/秋~1933/春と言われますが、1929年に比べるとGDPは5割近く減少、株価は8割以上下落し、工業生産は1/3以上ダウン、失業率は25%にものぼりました。
何と4人に1人が失業!。
それも驚きですが、1929年に始まった世界大恐慌の底は、実に4年後だったのです。
当時の米国大統領フーヴァーは、自由放任・財政均衡政策を取っていたため(つまり、何もしなかったということ)、対策が後手後手に回りました。
情景を描いてみましょう。
働き手が失業すると、まずは貯金で食いつなぎますが、そう長くは続きません。
貯金を使い果たすと、家賃の支払いや住宅ローン返済ができなくなり、家を追い出されます。
親戚の家に身を寄せる人もいますが、失業の長期化でいづらくなり、同じく家を出ます。
こうして、ホームレスが仕事と住む場所を求め、都市をさまよい歩き、各都市の公園には木切れで作った掘立小屋が並んだそうです。
その集落は、無策のフーヴァー大統領をあてこすって、「フーヴァー村」と呼ばれました。 ニューヨークのセントラルパークにも、このフーヴァー村が誕生したといいます。
そして、小屋を建てられない路上生活者のかぶる新聞は「フーヴァー毛布」と呼ばれ、ガソリンを買えない人は自動車を馬に引かせました。
底を打った後、経済は徐々に回復していくことになりますが、それでも一進一退を続け、結局、1929年の水準に本格回復するには、GDPは12年、株価に至っては25年もかかったのです。
不況を長引かせないために、そして大量の失業者を生まないために、初期段階で迅速な手を打っていくことがいかに重要か、よくわかります。
→ 目次へ戻る
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07.html
悪評ぷんぷんの雇用調整助成金。
まるで、四角の鉄板を丸いマンホールのふたに使おうとしているかのような、ちぐはぐ感が満載です。
しかし、雇用調整助成金の重要な改善点が2点、一昨日の2020/05/14、安倍首相の記者会見で発表されました(厚労省HPにはまだ反映されていません)。
いままで最低賃金をイメージして決められていた上限額を、実態に近づけました。
まだこれでも足りない人は大勢いると思いますが、少しは不足感が緩和されるはずです。
休業手当を受け取れなかった従業員に、国から直接給付する新制度の創設です。
(1)ポイント
・手続がカンタン
労働者が会社から休業票(離職票と同じ形式?)を受け取って、自らハローワークに申請することになりそう。
審査も簡単だから、スピード受給を期待できます。
・月額給与の8割を給付(Max月33万円=15,000円 / 日×22日)
失業手当は5~8割(Max 8,330円 / 日)だから、それよりも多い。
・手厚い
当初、雇用保険の特例制度「みなし失業」適用検討を始めたとニュースで流れていましたが、そのみなし失業よりも手厚くなっています。
戦力になっている労働保険未加入のアルバイト・パートも受給できるようになったうえ、コロナ禍の長期化で本当の「失業」をした場合、失業手当を受けられなくなるデメリットも回避できます(失業手当をいったん受給すると、その後、6ヶ月間は働かないと、受給資格が得られない)。
(2)懸念点
新給付金制度は中小企業に限られ、大企業は雇用調整助成金を利用すると想定されているようです。
そのため次のような懸念が生まれます。
・既に雇用調整助成金制度で申請済みの中小企業はどうなるのか?
散々苦労して申請したのに、後から新給付金制度で申請した会社の社員の方が先に受給できたということになりかねません。
切り替えが可能なのかどうかも不明。
・休業手当を支払わない大企業はどうなるのか?
アルバイト・パートを戦力化している大企業は多いが、休業手当を支払っているとは限りません。
休業手当を6割以上支給しないと、雇用調整助成金は受給できないし、中小企業用の新給付金制度はそもそも適用できません。
結果、弱い立場の労働者だけが不利を被ることになりかねません。
この2点は、後報を待ちたいところです。
まだ雇用調整助成金を申請していない中小企業なら、話はカンタンです。
新制度を使うのが、ベストでしょう。
社員に休業手当を無理に支払わなくてもよいことになるためです。
ただ、詳細は未定ですので、注意深くウォッチしていく必要があります。
全国社労士連合会は、申請手順等を2020/4/21にYoutubeにアップしています。
(1)概要
https://www.youtube.com/watch?v=hGdch_5lFVY&feature=youtu.be
(2)申請手順
https://www.youtube.com/watch?v=rtdetE7fCOo&feature=youtu.be
(3)教育訓練加算
https://www.youtube.com/watch?v=BCnTJu7kmC8&feature=youtu.be
厚生労働省も負けじと、申請書の作成方法をYoutubeにアップ(2020/05/08公開)。
https://www.youtube.com/watch?v=EQfBvFVI7as
https://www.youtube.com/watch?v=XVcfLhVmh30
こちらは、国土交通省の宿泊業の雇用関係助成金のビデオ(2020/05/01公開)。
https://www.youtube.com/watch?v=hHNYj34c7aY&feature=emb_logo
https://www.youtube.com/watch?v=XNHbU1Us4ts&feature=emb_logo
いずれも改正前制度についてですが、ご参考までに。
→ 目次へ戻る
地域別に武漢型(オレンジ)と欧州型(青)の流行を表したのが、上記のグラフ。
欧州では、国によって型の流行パターンが異なります。
国境封鎖はあれど、地続きなのにずいぶん違うのが興味深いところです。
日本は左下の下から2番目ですが、当初はダイヤモンド・プリンセス号で武漢型が感染拡大、後に海外帰国者により欧州型が感染拡大した状況がよくわかります。
ウイルスの厄介な点は、変異していく点。
武漢型・欧州型の2分類はざっくりすぎる分類ですが、オプションも含めると、実際、これまでに数千もの変異が発生しているとか。
ワクチン開発では、この変異を考慮に入れて行う必要があるのですから、一筋縄では行かないのは明らかです。
インフルエンザのように、A型・B型などと分けて開発することになるかもしれませんね。
ワクチン開発に時間がかかるとすると、自然感染の拡大スピードを抑えるしか、道はありません。
つまりは、外出自粛です。
社会的距離を取って、3密を避ける。
時間を稼いで、ワクチン供給を待つのです
ただ、それでは経済活動もストップしてしまうため、もちません。
ストレス増大というだけでなく、倒産や生活困窮に追い込まれては、「自粛」などとは言っていられないからです。
結局、社会的圧力で政府は外出自粛を解かざるを得ないでしょう。
圧力で解くか、なし崩し的に同じ状況になってしまうかはわかりませんが・・・。
世界では、経済活動再開の動きがみられます。
タイ、ドイツ、フランス、イギリスは外出制限を緩和し、米国も経済活動再開時期を模索し始めています。
ところが、制限を緩和したドイツでは、「基本再生産数(R0)」が緩和の2020/05/06時点では 0.71 と、感染拡大を抑え込めていたのに、わずか数日で 1.1 に上昇してしまいました。
1.1 は、感染者数が増えていくことを意味しますが、数日でそうなるとは早すぎて驚きです。
M One News 20-14「コロナ感染の終息はいつ?」で触れたインペリアル・カレッジ・ロンドンの論文どおり、感染者数が増えたらロックダウン、減って緩和したら感染者数upの繰り返しになりそうです・・・。
治癒した人の抗体を調べたら、抗体がたくさんある人とほとんどない人がいるというニュースが数週間前に流れていました。
武漢で都市封鎖が行われている頃、治癒しても再び陽性になる確率が14%もいるニュースでギョッとしたことも思い出しました。
韓国も(検査数が多いために)再び陽性と判定された人が多数いますが、韓国疾病予防管理局(KCDC)は、「偽陽性」の可能性が最も高いと20202/05/07に結論づけたそうです。
KCDCによれば、素早い判定が可能として韓国で採用しているRT-PCR法は、感染力のあるウイルスと感染力のない(いわば死んだ)ウイルスを区別することができていない可能性があるとのこと。
情報が錯綜しています。
何が本当なのか確かめようがありません。
ただ、感染しても抗体ができないのなら、集団免疫の達成度は危ぶまれます。
人口の6割が感染しても、(治癒して)抗体ができなければ、免疫はつかず、感染率は高止まりし、死者は発生し続けるからです。
そう考えていくと、ワクチンが大量供給され、人為的な集団感染の状況を作り出すことができたときに、初めて終息すると言えるでしょう。
ワクチンが開発されても、大量生産されて世界に行き渡るには時間がかかるため、3~5年かかる可能性すらあります。
→ 目次へ戻る
M One News 20-14「コロナ感染の終息はいつ?」で、終息の一形態として、集団免疫に触れました。
「集団免疫」は、感染者の周りの人々が既に抗体を持っているために、新規感染者が少しは出るものの、感染拡大を結果的に抑えられる状況をいいました。
そして、新型コロナウイルスの感染率は、2.5とされています。
M One News 20-16「感染爆発の怖さ」で使用した図を再度、使用します。
真ん中の赤の人が感染者で、周りの人に何人に感染するかを表します。
つまり、1人から2.5人に感染するということです。
感染拡大を抑えるためには、このウイルスの感染率を 1 未満に抑えなければなりません。
感染症病理学では「基本再生産数(R0:アールゼロ)」と言うそうですが、1 を超せば感染者数が増加していく状況を表し、1 を割れば感染者数が減少していく状況を表します。
ウイルスの感染率が 1 を割れば、感染拡大は収束に向かうと言えますから、感染率と周りの人々の免疫率から逆算すると、周りの免疫率が60%を超えたときに、収束に向かうと言えるでしょう。
つまり、逆数ですね。
基本再生産数が 1 になる免疫率(=1 - 1/感染率)を、5種類の感染症で表にすると、以下のとおり。
したがって、コロナ(Covid-19)の場合、人口の6割が感染すれば、感染拡大は抑え込めることになります。
しかし、6割も感染したのでは、致死率1%としても、世界人口77億人×6割×1%が死亡となり、1918~1919年のスペイン風邪に匹敵する4620万人が亡くなる大惨事となります。
そこで、治療薬とワクチンの開発状況が重要になってきます。
(1)治療薬
治療薬は、抗ウイルス薬と抗炎症薬の大きく2つに分けられます。
前者は、重症化を防いで回復を促し、後者は、重症患者に見られる過剰な免疫反応を抑制して臓器不全に陥るのを防ぎます。
米ギリアド社の「レムデシビル」も、富山化学の「アビガン」も、抗ウイルス薬にあたります。
ただ「レムデシビル」は、効果あったという報告だけでなく、偽薬を投与したときと結果は変わらなかったという報告もあり、本当に効能があるかどうかは不明です。
「アビガン」は、動物実験で催奇性が確認されており、妊婦や妊娠する(させる)可能性がある場合には、男女ともに避妊を確実に行う必要があるとされています。
他にも、スイス・ロシュの「トシリズマブ」や仏サノフィ&米リジェネロンの「サリルマブ」など候補は複数あり、医療現場では片っ端から試しているのが実情です。
(2)ワクチン
ワクチンは、過去に経験した病原体に対して、抗体を作り、免疫力を高めます。
軽く感染させて免疫力をアップさせますが、病気そのものにはならないように作られています。
つまり、疑似体験をさせることで、「本番」に備えるわけです。
その開発は、動物実験の後、第1フェーズ~第3フェーズの3段階で、臨床試験が行われます。
ワクチンは健康な人に投与されるものですから、ワクチン投与で大きな健康被害が出てしまっては、元も子もないからです。
現在、臨床試験に入っているワクチンは、WHO(世界保健機構)によると、以下の6つ。
トップを走っているのは、英オックスフォード大学のジェンナー研究所が開発中の「ChAdOx1 nCov-19」。
安全性確認済みという点で、他のワクチン開発の先を行っています。
2020/04/下に1100人を対象とする第1フェーズの臨床試験を開始、5月に5000人を対象とする第2フェーズの臨床試験を予定。
人間に最も近いとされるアカゲザルの実験で、有効性も確認されています。
最速で2020/09にも量産開始の可能性もあるということですが、過度な期待は禁物でしょう。
類似のヒトコロナウイルスの2002年のSARS・2012年のMERSで、約1600人の死者を出しているにもかかわらず、いまだ有効なワクチンが存在しないからです。
また、軽く感染させるだけでなく、何らかの原因で抗体がウイルスの感染・炎症化を促進させてしまうリスクも、開発中ワクチンにはあります。
実際、SARS禍における開発中ワクチンの動物実験では、効果が無かったどころか、かえって重症化する結果になりました(このときは、ワクチン開発前にSARSが治まってしまいました)。
そのため、慎重に開発を進める必要があるのです。
トライ&エラーで時間を要するのは、誰でも容易に想像できることでしょう。
ワクチン開発の過去の事例では、おたふくかぜのワクチンが史上最速で承認されたと言われていますが、それですら、ウイルスサンプル収集からワクチン認可までに、4年を要したのです。
→ 目次へ戻る
2020/05/01から申請受付が始まった、国の持続化給付金。
https://www.jizokuka-kyufu.jp/
緊急事態宣言を受けて、売上が前年同月比で50%以上減少した月がある場合に、年間売上減少額を補填するもの。
まだ申請していない事業者のために、その申請ポイントを、M One News 20-26「持続化給付金の概要とポイント」に引き続き、追加します。
(1)コロナ休業協力金は、売上比較時には除外
東京都などのコロナ休業協力金は、売上から除外可能(申請要項のいずれもP.6)。
https://www.meti.go.jp/covid-19/pdf/kyufukin_chusho.pdf(中小企業)
https://www.meti.go.jp/covid-19/pdf/kyufukin_kojin.pdf(個人事業者)
売上を前年同月で比較する以上、今年だけ入っていては、同じ土俵上で比較できなくなるからです。
休業協力金入金済で、持続化給付金をこれから申請する場合、要注意です。
(2)e-Tax受信通知は不要
【法人】
必要書類の前期申告書別表一(一)に電子申告日時が印字されていれば、e-Tax受信通知は不要
です。
経済産業省の申請要項 P.16にも記載してありますので、ご覧ください。
https://www.meti.go.jp/covid-19/pdf/kyufukin_chusho.pdf
公的書類としては、e-Tax受信通知が申告済みを証明する書類となるのですが(そのため、例えば銀行融資には必要)、今回の持続化給付金申請においては、簡略された模様です。
タイトルが「メール詳細」となっているために一見わかりにくく、電子申告添付書類や消費税申告でもこの「メール詳細」があったりして何種類もあるため、混乱を避けたのでしょう。
【個人】
個人も同様です。
必要書類の前年申告書第一表に電子申告日時が印字されていれば、e-Tax受信通知は不要です。
電子申告日時が印字されるかどうかは、申告ソフトによって異なりますが、少なくとも当事務所で決算申告・確定申告をお引き受けした関与先は、電子申告日時を印字するTKCシステムを使用するため、e-Tax受信通知は不要となるのです。
もちろん、添付して申請してもいいのですが、受信通知は申告書ファイルの後ろの方にファイリングしてあり、何種類もあることが多いため、混乱を招かないよう、アナウンスする次第です。
(3)給付額は端数も支給されることになった
従来、10万円未満の端数は切り捨て支給されていましたが、端数も支給するよう要望が多かったため、端数も支給される形に2020/05/08に変更されました。
https://www.meti.go.jp/press/2020/05/20200508005/20200508005.html
そのポイントは3点。
・遡及適用
・申請済みの事業者は、再申請不要
・過去申請分は追加支給となるが、いつからの申請分から満額1回の支給になるかは、現時点では不明
国と当事者の温度差が浮き彫りになったと言えましょう。
しかし、申請開始1週間で要望を取り入れ、改正する機動性は、評価できますね。
緊急事態宣言は2020/05/06から5/31まで延長されましたが、コロナ休業協力金とは異なり、現在のところ、第2弾は無さそうです。
残念!
→ 目次へ戻る
緊急事態宣言のおり、休業要請対象として含めるかどうか、国との調整でもめた挙句に外れた理美容店は、その後、東京都独自に支給する休業協力金の対象に含まれることとされ、今日2020/05/07から申請受付が始まりました。
https://www.tokyo-kyugyo.com/ribiyo/index.html
「東京都理美容事業者の自主休業に係る給付金」を正式名称とするこの給付金の内容は、上記に詳しいですが、概要とポイントを以下のとおり、まとめました。
新型コロナウイルス感染拡大防止をより一層強化するため、自主休業した理美容事業者の支援
中小企業・個人事業主に、15万円(複数店舗は30万円)支給
2020/05/07(木)~6/15(月)
2020/05/下~
(1)電子申請のみ
郵送は例外的にOK。
窓口での申請は不可。
(2)必要な休業期間は、2020/04/30~5/6
1日でも欠けると、受給できません。
(3)専門家の事前確認があれば、スピード受給となる
2020/04/22から既に始まっている休業要請業種への協力金同様、スピード支給の工夫が図られています。
それは、専門家の事前確認です。
つまり、第三者の目を通すことで、資料が1回できれいにそろう確率が高くなり、スピード受給が期待できるのです。
しかも、専門家には東京都から直接支払われるため、申請者は立替えすら不要!
「専門家」とは、具体的には青色申告会・税理士・公認会計士・中小企業診断士・行政書士を指します。
当事務所としては、スピーディーにサポートする体制を整えました。
https://www.cpa-murata.com/coronasennmonnkasapo-to#ttl-coronasennmonnkasapototoukyoutoribiyou
申込みをお待ちしております。
→ 目次へ戻る
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07.html
M One News 20-22「コロナ感染の影響と経営者の取るべき行動は?④」で触れた雇用調整助成金。
3大キャッシュアウトのうち最も大きな人件費をまかなう救世主であるはずの当制度ですが、報道でご存じのとおり、悪評ぷんぷん。
何しろ支給実績は、僅か0.1%!
3時間並んでやっと取った相談予約日が2週間後であれば、誰でも怒ることでしょう。
ハローワーク崩壊と言っていい今の状況の理由と対応策は、おいおい触れるとして、まずは目的から。
景気変動で業績悪化により、会社が行う雇用調整(休業・教育訓練・出向)に対して助成金を支給することにより、従業員の雇用を維持する。
特に、コロナ感染拡大防止による休業でも、社員の雇用維持と生活の安定を図るため、拡充する。
図にすると、以下のとおり。
労働基準法で最低限、60%支払わなければならないと定められているため、休業した場合、会社は本来の給与の何割(任意)かを休業手当として支給します(青のライン)
国の助成率は、赤のライン。
・~60%: 90%
・60%~:100%
そして、休業要請を受けた企業が100%支給すると、給与全体の助成率が100%まで上がり、会社負担はゼロとなります(ⓐ)。
(1)上限オーバー分は会社負担
月額上限は、@\8,330×20日=166,600円
この上限額は、最低賃金をイメージしています。
パートならいざ知らず、社員全員が最低賃金の会社などあるのでしょうか。
(2)審査基準が厳格
過去に一部のIT企業が、テレワークで営業しているにもかかわらず休業を装って不正受給した影響で、審査が厳しいままです。
(3)書類が煩雑
・計画書の提出が必要・・・全休で予定も立たないのに必要?
・事前の計画書の内容が非常に煩雑・・・いかにもお役所仕事
・同じ内容を何回も記入・・・ムダ
・全社員のサイン・押印が必要・・・休業しているのに?
これらの点は若干簡素化される方向ですが、持続化給付金に比べるとまだまだ多い。
また、書類は簡素化しても、審査基準自体を緩めないと何も変わらないのが、わからないのでしょうか。
(4)入金が数ヶ月先
資金繰り上、大問題です。
(5)中堅・大企業向け
1分単位の労働時間記録が無い会社が遡って作成すると、偽装したことになり、不正受給になります。
仮にタイムカードで記録していても、タイムカード打刻時刻から始業時刻までの間の給与を支払っていないと、未払い残業代の話になってしまいます。
このように、労働時間管理がきちんとできている中小零細企業など、ほぼありません。
リーマンショックで当制度が機能したのは、労働時間管理ができている中堅・大企業だったから。
とても中小零細企業向けの制度ではない、と言えるでしょう。
(6)日々、条件・要件が変わる
今回のコロナ禍でまっさきに影響を受けたのは、飲食業・旅行業・ホテル業の中小零細企業。
その中小零細企業に、中堅・大企業向けの制度を適用させようと、条件・要件をコロコロ変えても、現場が混乱するだけです。
(7)社会保険労務士の連帯責任
いちばん問題なのがこの点。
不正受給と判断され、補助金300万円を会社が返金すべきところ、既に支払いに充てたため、会社が返金できないとします。
となると、社会保険労務士自身が返金しなければなりません。
社会保険労務士が不正に加担していたとされると、その社会保険労務士が申請した他の30社の補助金もすべて返金しなければならなくなります。
他の30社は、自分の不正行為でもないのに返金は到底納得できないため、連帯責任を負う社会保険労務士が返金を求められることになりかねません。
専門知識が必要であり、プロのサポートを受けなければならないにもかかわらず、社会保険労務士からすると、とても怖くて引き受けることができず、「一見さんお断り」となってしまうのです。
かくして、社会保険労務士難民が発生します。
従来あった制度の延長で対応しようとしたのが、そもそも間違いの始まり。
労働管理が正確に行われているのが前提の制度には、ブラックと言われがちな飲食業には不向きであるからです。
コロナ感染対策用に、新たに助成金制度を作成すべきであるのは明らかでしょう。
とはいえ、法案成立にまた時間がかかってはかなわないので、いまある制度での対応を考えてみましょう。
(1)心理的に当てにしない
上記のように、問題だらけの雇用調整助成金。
「受給まで1ヶ月、2020/05に始まる電子申請なら2週間を目指す」と加藤厚生労働大臣は言いますが、できるわけがないと、どの社会保険労務士も口をそろえます。
管理ができている中堅・大企業で支給まで2ヶ月なら、管理が不備になりがちな中小零細企業では、支給に何ヶ月かかるか、わからないからです。
ましてや短縮なんて、というわけです。
できるだけ当てにせず、もし支給されたら棚ぼた的にラッキーと考えるべきでしょう。
(2)自分で制度の目的・概要を理解し、書類を作成してみる
プロの力を最終的に借りなければいけないとしても、人事面はいつの時代も、経営の最重要課題の1つ。
売上が立たない今なら、割く時間はあるはずです。
自分で作成してみることで、労働基準法の概念がわかり、学ぶことは多いことでしょう。
(3)引き受けてくれる社会保険労務士を探す
日頃から顧問としてお願いしている会社なら問題ありませんが、社会保険顧問がいない会社は、『難民』になっています。
しかし、悲鳴を上げている会社に一肌脱ごうとする社会保険労務士は、数少ないですが、いるのも事実。
引き受けることができるかどうかは、そのときの社会保険労務士のキャパシティ余裕度にかかっているため、確約はできないものの、一肌脱ごうという社会保険労務士を紹介できますので、ひと声おかけください。
(4)休業ではなく、業態転換などを検討する
最も大事な点がココ。
紙幅がないため、後述します。
→ 目次へ戻る
山形県でも休業協力金の申請がスタートします。
https://www.pref.yamagata.jp/ou/shokokanko/110001/keieishienkin.html
詳細は2020/05/07(木)に公表されるようですが、その概要とポイントは以下のとおりです。
→ 目次へ戻る
東京都に次いで、神奈川県でも休業協力金がスタートしています。
https://www.pref.kanagawa.jp/docs/jf2/coronavirus-kyoryokukin/index.html#
詳細は上記HPを参照してください。
その概要とポイントは以下のとおりです。
→ 目次へ戻る
次は千葉県。
https://www.chiba-shienkin.com/
詳細が決まりましたので、概要とポイントをアップデートします。
7要件はこちら。
https://www.chiba-shienkin.com/requirement.html
休業要請業種はこちら。
https://www.pref.chiba.lg.jp/kenfuku/kansenshou/ncov/soti-7.html
飲食店は入っていません。
→ 目次へ戻る
東京都同様、埼玉県でも休業協力金の制度ができています。
正式名称は「埼玉県中小企業・個人事業主支援金」といいます。
http://www.pref.saitama.lg.jp/a0801/koronashien.html
詳細は上記をご参照願います。
補正予算成立後に詳細が決定されますが、現段階の情報でまとめた、概要とポイントは以下のとおりです。
→ 目次へ戻る
2020/04/27、経済産業省から持続化給付金の申請のガイダンスが公表されました。
いつからの申し込みになるのかはまだ確定していませんが、今日2020/04/30、補正予算が成立し、明日2020/05/01からの申込みになる方向です。
https://www.meti.go.jp/covid-19/jizokuka-kyufukin.html
概要とポイントは以下のとおりです。
(1)Web申請
コロナ休業協力金(東京都)と同様、Web申請が基本(紙申請も可)。スマホでも申請可能です。
(2)必要書類は3点のみ(個人事業者は4点)
・前期申告書
・50%以上減少した月の売上台帳等
・通帳コピー
・身分証明書(個人事業者のみ)
(3)速い!
2週間程度で給付通知書を発送し、口座に入金。
想定とは言え、「2週間」と言及しているということは、かなり現場に人員をそろえているのでしょう。
必要書類がシンプルなのも、審査作業を早くできる原因です。
「スピード感を大事に」と麻生財務相が述べていたとおりです。
(4)△50%以上の売上減少月の選定は任意
2020/01~4の中から選ぶ売上減少月は、事業者の任意に任されています。
したがって、なるべく多くの売上減少が発生している月を選んだ方がトク。
ほとんどの事業者は2020/03よりも2020/04の方が売上減少となっているでしょうから、2020/04売上集計後、申請することになるでしょう。
外出自粛要請が2020/05/06で終わらなさそうであることを考えると、2020/04はまだ売上もそこそこあり、2020/05の方が減少額は大きそうだと、事業者によっては予想できるかもしれません。
その場合は、2020/06に申請してください。
もっと言うと、2020/01~12の中で選ぶのが、最も受取額は多くなります。
もっとも、財布と相談しながらですが・・・。
「2週間で入金」されるなら、資金繰り予定もしやすいはず。
慌てるあまり、受取総額が減ってしまわないよう、ご注意ください。
→ 目次へ戻る
国土交通省から、賃料減免の覚書が示されています。
これは、2020/04/01に国土交通省がビルの所有者などの不動産関連団体に、賃料支払い猶予などの柔軟な対応を要請したことを受け、国土交通省の2020/04/17の事務連絡で示されたものです。
M One News「コロナ感染の影響と経営者の取るべき行動は?④」で、家賃引き下げに成功しても、文書を取り付けるのは、大家の心理上、難しいのではないか、とコメントしました。
ですが、大家との合意を証拠に残しておくという点で、書面化できるのであれば、それに越したことはありません。
税務上も、契約外で行った経済的価値移転(贈与)は寄付金扱いされるのが原則のため、(特に大家側は)あったほうがベターでしょう。
寄付金扱いされると、ほとんど損金に落ちないということです。
つまり、家賃が100を70に減らした場合、大家の売上(賃貸料収入)が70というのが、常識的な感覚ですよね?
ですが税務上は、売上100&寄付金△30と考え、寄付金の損金枠はあまりないために、家賃減免に応じたのに税金が高止まり、という到底納得できない状態になるのです。
大家がテナントに対し、既に発生済みの賃料の減免(債権免除等)を行う場合も同様です。
税務署が書面を確認することもあるので、書面化しなかった場合は、その経緯(話し合いの日付・内容等)をメモしておいてください。
→ 目次へ戻る
2020/04/22から始まった、東京都のコロナ休業協力金の申請受付。
正式名称は「東京都感染拡大防止協力金」といい、東京都が2020/04/10に緊急事態措置の一環として発表しました。
https://www.tokyo-kyugyo.com/
詳細は上記にアクセスすればわかりますが、その概要とポイントは以下のとおりです。
コロナ感染拡大防止対策で、東京都が実施した緊急事態措置(休業要請)への協力に報いる
中小企業・個人事業主に50万円(複数店舗は100万円)支給
2020/04/22(水)~ 6/15(月)
(1)オンライン申請がおススメ
申請は、オンラインと郵送の両方がありますが、オンラインの方がおススメです。
理由は、速い!
それに尽きます。
何しろ、写メでいいのですから。
受付側も、紙でドサッと届くよりは、処理しやすいことでしょう。
(2)必要な休業期間は、2020/04/16~5/6
1日でも欠けると、受け取れません。
ただし、飲食店は営業時間短縮でOK。
(3)専門家の事前確認があれば、スピード受給を期待できる
申請が殺到するであろうことは容易に予想できますが、資料不足多数もまた予想でき、受給がどんどん遅くなりかねません。
しかし、第三者の目を通すことで、資料が1回できれいにそろう確率が高くなり、スピード受給が期待できます。
しかも、専門家には東京都から直接支払われるため、申請者は立替えすら不要!
「専門家」とは、具体的には
・青色申告会
・税理士
・公認会計士
・中小企業診断士
を指します。
(4)許認可
飲食店など許認可を要する業種の場合、許認可証コピーも必要です。
(5)緊急事態措置時点の営業実態がわかる資料とは
必要資料リストには、直近の申告書に加え、「直近の月末締め帳簿」と記載してありますが、これが複式簿記による正式な帳簿であると、スピード支給の目的を達成できません。
緊急事態措置前の実態を表す資料なら、前月の売上の総勘定元帳で十分と思われます。
→ 目次へ戻る
ますます困難な日々を過ごしている皆さんに語りかけたいと思います。
現在、コロナウイルスにより、多くの悲しみがもたらされ、多くの人々が経済的な困難に直面し、私たちの生活に多くの変化が起こっています。
そのような状況下でまさに不可欠な役割を果たしている人々に、感謝の気持ちを伝えたいと思います。
医療の最前線にいる国民保健サービスの職員の皆さんは、私たちのために日々、家を離れて献身的な働きを続けてくれています。
皆さんの懸命な働きのおかげで、ふだんの生活を取り戻す方向に向かうのだと、全ての国民がきっと、私と同じ感謝の気持ちを抱いているはずです。
そして、自宅にいる人々にも、感謝を伝えたいと思います。
自宅に留まっていることで、多くの弱い人々を守ることにつながりますし、愛する人を失った家族が受けた苦しみを他の人々が受けずに済むからです。
私たちは皆、一緒にコロナウイルスと闘っています。
私たちが団結し、毅然として現状に立ち向かうのなら、必ずやこの危機を克服できるでしょう。
ですから、皆さんに安心していただきたいのです。
そしていつか、この困難をいかにして乗り越えたのかを、皆が振り返り、誇りに思う日が来ることを願っています。
私たちの後の世代の人々から、この世代の英国人も、他のどの世代の英国人にも負けず劣らず、とても強かったと言われるように。
自制心や、もの静かだが快活な精神、強い連帯意識といったものは、いまなお我が国民の特徴です。
私たちが私たち自身に感じているこうした自尊心は、単なる過去の一部ではなく、私たちを方向付け、現在と未来を形作っていくものなのです。
連合王国がひとつとなって医療・介護従事者たちに拍手を送ったできごとは、この国の精神の象徴として記憶されるでしょう。
現在、英連邦の国々や世界中のあらゆる場所で、人々が力を合わせ、他の人々を助けるという感動的な光景を見ることができます。
食べ物や医薬品を届けてあげたり、隣に住む人を気遣ったり、事業内容を救援活動に変えたり、というふうに。
外出自粛は、ときにつらいものです。
しかし、信仰の有無にかかわらず、多くの人が気づいているはずです。
急ぐのをやめ、ゆっくり落ち着いて祈りや瞑想をすることが、人生について立ち止まって考える良い機会になるのだと。
(中略)
私たちは過去に何度も困難に直面してきましたが、今回は違う点があります。
それは、医学の目覚ましい進歩とお互いの思いやりを武器に、他の国々と一緒に困難に立ち向かっているという点です。
私たちは成功するでしょう。
そしてその成功は、私たち全員1人1人のものになるでしょう。
耐えるべきことはまだありますが、より良い日々が戻ってくることを、心の支えにしましょう。
きっとまた、友人や家族に会えるでしょう。
私もまた皆さんにお会いします。
それまでどうぞお元気で。
(英エリザベス女王(93歳)、2020/04/05)
→ 目次へ戻る
M One News No.20-18「コロナ感染の影響と経営者の取るべき行動は?②」で、売上を回復させるよりも固定費を下げた方が効果的であることを、
M One News No.20-20「コロナ感染の影響と経営者の取るべき行動は?③」では、役員報酬の下げ方を、
お伝えしました。
固定費はそれでいいのですが、事業存続の観点からは、キャッシュフローを最優先で見ていく必要があります。
キャッシュアウト要因は一般的に、固定費以外に借入返済があるので、要約すると3つに絞られます。
それは、人件費・家賃・借入返済です。
それぞれの対応をまとめたのが、以下の表。
ある社長は、税務顧問と社会保険顧問以外の全契約を解約したうえで、家賃交渉に入りました。
ぜひその果敢な決断を見習って、生き延びることに焦点を置いてください。
くれぐれも、根拠のない希望的観測にすがらないようにしましょう。
そして、最悪を想定しつつ楽観的に行動する。
口を酸っぱくしても、まだ言います。
2020/03/27に助成率が67%から90%(中小企業)にアップした雇用調整助成金。
社員雇用維持に使わない手はありません。
上記一覧のうち、Ⅰ雇用の維持-1 です。
かいつまんだのが、以下。
ポイントは、後から入金する点。
社員の生活保障で給与を支払う財源としては、当てにできないということです。
キャッシュフロー上、ご注意願います。
特別なポイントがあるわけではありません。
あえて言えば、必死さが最大のポイント。
つまり、人が集まるビジネス(具体的には、M One News 20-15「コロナ感染の影響と経営者の取るべき行動は?」参照)では、誰が見ても、売上激減が予想できます。
ということは、大家も予想できるということ。
特に、飲食店・旅行業・ホテル業・学校への納入業者の窮状は、繰り返しTV等で放映されていますから、大家の心理的下地は整っています。
後は、テナント側の必死さだけです。
ひとつ頭に入れておいた方がいいのは、大家の財務事情。
つまり、大家に借入金がある場合、その返済財源に不動産賃貸収入を考えているはず。
したがって、不動産賃貸収入が減れば、借入返済が不足することになります。
借入金がある大家とない大家とでは、交渉のスムーズさも違うであろう、ということです。
大家の立場からは、もしテナントが倒産すれば、家賃収入はゼロになってしまうから、ゼロよりは少しでもあったほうがいいはずです。
ただこれは、テナント側の論理。
振りかざさないように注意してください。
支払猶予ではなく、家賃引き下げに成功した例では、2割、多くて5割という結果報告をいただいています。
文書ではなく、口頭で取り付ける方が、引き下げへの抵抗感は少ないでしょう。
通常、借入返済のリスケジュールでは、返済延期によって返済が確実化できるかが問われ、それに沿って事業計画を作成します。
ただ今回のコロナでは終息の兆しが見えず、返済の確実化は約束できません。
そのため、コロナにおける返済リスケジュールのポイントは、生き延びる点に焦点を置いて、説明資料を作成していくことになりましょう。
どんな大胆な手を打って生き延びようとしているのか、その姿勢しか融資先は見ることができません。
同情の下地がある点は、家賃交渉時と同様です。
果断と必死さ。
頑張ってください。
→ 目次へ戻る
最近トンと聞かなくなった「ウサギ小屋」。
日本の住宅の狭小さを揶揄する言葉でした。
現在はブタ小屋くらいには大きくなっているはずですが(笑)、それで閉じ込められ感が減るわけではありません。
そこで参考になるのが、米宇宙飛行士ニック・ヘイグ氏の話。
ニック・ヘイグ氏は、国際宇宙ステーション(ISS)で204日間、過ごしました。
滞在中、ISSは地球を3000回転以上周回したそうですが、いくら壮大な風景でも、3000回も観れば、飽きるでしょう。
彼は言います。
「毎日のルーチンをすること。
予定を組んで、それを守ること。
1日の過ごし方を自分で決め、自分自身をコントロールすること。
そのうえで、元気を取り戻すことは何か、考えてみる。
具体的には、日常から逃げ出す。
私の場合、映画を見て気分転換する、誰かとつながることだった。
家族や友人とTV会議をしたり、仕事のプロジェクトに取り組んだりするのも、効果的。
ぜひ皆さんも、私の経験を踏まえて、自分をコントロールしてほしい」
そう語る彼の顔は、晴れ晴れと快活そうで、とても家に閉じこもっている顔ではありませんでした。
言葉よりも表情が非常に印象的で、バーバル・コミュニケーション(言葉による伝達)より、ノンバーバル・コミュニケーション(言葉以外の伝達)の方が伝達力が高いのを、改めて思い知らされた気がします。
ISSにおける居住スペースはクローゼットほどの広さしかなかった、ニック・ヘイグ氏。
日本だけでなく、世界の人々の参考になるのではないでしょうか。
これはメンタル面ではありませんが、もう1つ注意点が。
閉じこもると、どうしても運動量が落ちるため、免疫力が低下していき、感染しやすくなるという悪循環に注意する必要があります。
自分で筋力維持を心がけなければなりません。
特に高齢者は、寝たきり2週間で7年分の筋肉を失うのだとか。
ある介護ヘルパーによれば、椅子に座り足を上下動するだけで、かなり衰えをカバーできるそうですよ。
ご参考までに。
→ 目次へ戻る
M One News No.20-18「コロナ感染の影響と経営者の取るべき行動は?②」で、役員報酬は業績悪化が顕在化しなくても下げられるとお伝えしました。
原則ゼロでいいと思いますが、M One News 20-14「コロナ感染の終息はいつ?」で触れたとおり、長期的視点も持たなければならないのも、また事実。
では、どのくらい下げられるのでしょうか?
最初に考えるべきポイントは、社会保険。
役員報酬ゼロだと、社会保険加入とは言えませんので、社会保険加入が途切れてしまうことになりかねません。
そのため、実務上は数万円の役員報酬を設定することが多いようです。
2点目のポイントは、生活費です。
長期的視点を持つということは、生活費分だけCash収入がないと、貯金を取り崩ししなければならなくなります。
短期で終息するならともかく、もし長期にわたってコロナウイルスが猛威をふるい続けるのなら、貯金取崩しもそうそう持ちません。
したがって、生活費から逆算して役員報酬金額を設定するのが現実的と言えるでしょう。
オーナー代取だけなら、自分の分だけを考えれば済むことですが、他に第三者の役員がいる場合は、そうもいきません。
その場合、一律ではなく、地位に応じて下げ幅を決めるべきでしょう。
参考になるのが、東日本大震災時に多く策定されたBCP。
BCPとは、Business Continuity Planの頭文字で、事業継続計画のこと。
このBCPにおける役員報酬決定においては、セーフティネットとして機能させる観点から、生活費水準は保証しつつ、地位の上の人ほど下げ幅を大きくする手法が採られるのが一般的。
もちろん、地位が上の人ほど、給与水準も高いという大前提がありますが・・・。
英ジョンソン首相がICU(集中治療室)に運ばれたニュースが入ってきました。
いままで国のトップとして、実際より元気を装わなければならなかったでしょうから、思ったよりも重症だった可能性があります。
トップが倒れるということは、指令を出す権限者がいなくなるということですから、国の存亡に関わりかねません。
実際、中世までの戦争は、それが発端になることもあったようです。そうでなければ、武田信玄が「3年死を秘すべし」と遺言を残すこともなかったでしょう。
中小中堅企業にとっては、他人事ではありません。
ではここで、経営者に2つの質問。
東大医科学研究所などのアンケート結果(母集団11,000人)では 4割しか知らないので、知らなくても恥ではありません。
いまからでも調べましょう。
これが前述のBCP(事業継続計画)ですが、少人数になるほど、社長の役割が大きくなる傾向があるので、実際には難しいでしょう。
とはいえ、難しい(=廃業リスク)と認識するだけでも、大きな一歩です。
東日本大震災では、オーナー系は引き下げに応じるが、外資系は引き下げに応じないという傾向がありました。
今回のコロナでもまた、繰り返されることでしょう。
外資系が応じない傾向にあるのは、決定権が日本支社長にないためという事情もありますが、そんな事情はテナント側には関係ありませんからね・・・。
国の行うIT導入補助金もいいですが、自己負担率は1/2。
それに対し、何と100%助成され、自己負担率がゼロ!の制度があります。
東京都が行う「事業継続緊急対策(テレワーク)助成金」がそれ。
https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2020/03/05/27.html?_fsi=c6PWJEGJ
地方自治体が行う支援まとめサイト J-Net21 の東京都から、たどることもできます。
→ 目次へ戻る
コロナウイルスの最も怖いところは、底が見えない恐怖に人を追いやる点。
恐怖心が理性を圧倒するところが、人間の本質であるためです。
正常な思考は停止し、感情的な思考だけで処理をしてしまう・・・。
具体的に、損害が見えるわけではなく、収束の兆しすらない中で、見えない敵が日常に潜む恐怖。
不安になってつい点けてしまうTVやWebでは煽るニュースが多く、特にツイッターやYoutubeは煽り加減が大きい。
そのため、パニックやデマが発生します。
このように恐怖が理性を圧倒するのは、人間が2つの方法で情報に反応するからです。
人間は、新しい情報に対し、感情優先で本能的に反応するよう、進化してきました。
そして、最も強力な感情的記憶や認識に基づいて判断を下します。
そのため、危険を実際以上に過大評価するのです。
この思考プロセスを、ノーベル賞受賞者の認知心理学者のダニエル・カーネマンは、「速い思考」と呼んでいます。
直感システムと言ってもいいでしょう。
無意識で、素早く、感情的で、その人の経験やイメージで、大きく揺れ動きます。
2つめは、事実を探求し、理性で判断しようとする「遅い思考」(ダニエル・カーネマン)。
分析システムとも言います。
自己を現実に適応させるために働きかけ、論理的で、慎重で、現実的です。
この2つのシステムのどちらが優先されるかは、状況次第。
ここで、ある問題を考えてみましょう。
最初に出した答えが100円なら、答えているのは直感システムです。
その後、考え直して、正しい答え(50円)にたどり着いたなら、分析システムが働いたことになります。
直感システムは高速で動くため、たとえ虎が喉元めがけていきなり飛び掛かってきても、瞬時によけて助かるかもしれません。
しかし、直感システムは答えを間違えることもあります。
そしてそこにこそ、真実があるのです。
ですが一般に、感情は理性よりも強力です。
私だけでなく、皆さんにもその経験はおありでしょう。
国家も例外ではありません。
コロナ禍で最も重要な2ヶ国と言える中国と米国が、非難しあっているのを見ると、残念ながら、「遅い思考」よりも「速い思考」に走っていると言わざるを得ません。
確かに米国も中国も、感染拡大の最も重要な初期行動で、適切な対応をしたとはとても言えないでしょう。
米国CDC(米疾病対策センター)は、汚染された検査キットを全米に配布してしまい、テスト結果が陽性か陰性かわからなくなるという大失態を犯しました。
一方、最初にコロナウイルスの警報を鳴らした医師をデマだと処分し、その後、情報改ざんしている中国に至っては、そもそも正しい情報が何かすらもわかりません。
実際、中国は先日、無症状の感染者数を初めて公表しました。
いままで感染者数の統計に入れていなかったというのです・・・。
しかし、事実を直視し、体制を整えなくては、事態はひどくなるばかりでしょう。
大規模災害対策では、CSCAが必須と言われます。
・Command & Control(指揮、統制)
・Safety(安全)
・Communication(情報伝達)
・Assessment(評価)
前例がない中でいつどのように警報を鳴らすべきなのか、どのような優先順位をつけてリソースをどう振り分けるか、知識はあっても経験がない、活動計画・作業マニュアルを作りたくても時間がない、そんな状況の中でどう動くか・・・。
そのような課題山積みの現場の状況を、東日本大震災やその後に続く原発危機を経験した日本では、誰しも聞いたことがあるはずです。
人間はネガティブな情報に反応しやすいと言われます。
何十万年にわたって培われてきた自己保存本能のなせる業です。
その本能があるから生き延びてきたとも言えますが、パンデミックにおいては、足を引っ張ってしまいます。
「速い思考」で、正しい行動が取れなくなるからです。
現在、コロナ禍には収束の気配すら見えず、日本ではこれから起こる最悪の事態に、誰もが身構えています。
そんな状況の中では、悪いニュースだけが目につき、感情が不安定になって、いわばジェット・コースターのように激しい高ぶりや落ち込みが起きかねません。
したがって、次の2点を心がけたいものです。
(1)ニュースは信頼性のあるSourceを見る
・ジョンズ・ホプキンズ大学
・東京都 など
メディアのニュースには、主観が入っていることが多く、知らず知らずのうちにそれに左右されてしまうから、避けたほうがいいでしょう。
(2)メンタル面でニュートラルを意識する
ニュースを見る前に、マインドフルネスを心がけましょう。
朝、起きぬけにTVを付けるのは最悪です。
無防備な状態で悪い主観を植え付けられないからです。
ニュースを見る時刻を決め、能動的にニュースを見に行く。
受動的にニュースを見るのは避けましょう。
特に子供は、何の備えも無いから、要注意。
親は、ながらTVをしないように、注意しましょう。
経営者は、不安感を外に出すべきではありません。
どっしり構えて、行動するときは素早く手を打つ。
社員に広がりがちな動揺や不安感は早めに払しょくすることをこころがけてください。
緊急事態宣言は2020/05/06まで実施されますが、実施期間が終わったら、コロナ禍が自動的に終息するわけではありません。
外出自粛は感染拡大を抑えるために実施するだけで、それで終息する根拠は何もないのです。
個人的には、何回も感染の波を繰り返す可能性が高い気がします(M One News 20-14「コロナ感染の終息はいつ?」)。
根拠のない希望的観測にすがるのはやめましょう。
自分をコントロールして、事実のみを知り、
理性を働かせ、正しく怖がるのがポイント
→ 目次へ戻る
報道されている街の声を聞いていると、全般的に若者ほど危機意識がないようです。
いまだに人が多い原宿竹下通りを見ると、実感します。
どの国でもそうなので、年齢に伴うものなのでしょう。
若さの特権というわけです。
危機意識を植え付けることが最もなすべきことだと考えれば、
・アナウンスの繰り返し
・外出先候補の閉鎖
が採るべき手段でしょう。
因みに、東京都はキャバレー・ナイトクラブ・バー・酒場を名指ししましたが、ゲームセンター・パチンコ店も加えないと、片手落ちです。
(現時点ではなされていない)緊急事態宣言を出せば、若者に対しても危機意識を高められます。
そのうえで、ピンポイントで閉鎖指示を出していく。
若者でも重篤化してICUに入っているニュースも流れているので、相まって効果的でしょう。
M One News 20-15「コロナ感染の影響と経営者の取るべき行動は?」で、お伝えしたポイントはこちら。
・短期的視点だけでなく、長期的視点も持つべき
・次の3点の行動を取るべき
・キャッシュポジションを厚めに
・流動性を高めに
・固定費を減らす
以下、もう少し突っ込んで説明します。
原則として、キャッシュポジションを厚めにするという観点から、内部資金取崩しよりも、外部資金調達を優先すべきでしょう。
具体的には、公庫特別貸付やセーフティネット貸付です。
内部資金吐き出しとしては、預金解約以外に、保険積立金解約があげられます。
保険には、保障目的と貯蓄目的とがありますが(あえて節税目的とは言いません)、過去に貯蓄目的で、がん保険や逓増定期保険に加入した企業も多いことでしょう。
赤字が見込まれるなら、解約して、解約益と赤字をぶつけることで、結果的に無税でCashが手に入ることになります。
実質返戻率がピークを過ぎた保険も同様。
もし、まだ実質返戻率が低ければ、解約返戻金を担保に借り入れる契約者貸付で、資金調達するのもいいでしょう。
次は、固定費削減について。
特に、現金商売は、固定費が高めであることが多いと言えます。家賃しかり、人件費しかり。
設備産業も同様です。
仮に、売上が8割減だとします。
貸付けよりも助成金をという悲鳴があがっていますが、コロナ禍が長期化するなら、売上ダウン補填よりも、固定費削減の方が現実的。
そして、固定費で最も大きいのは、人件費と家賃。
まずは、大家との家賃交渉から始めるべきでしょう。
国交省が不動産業者に柔軟対応要請しましたが、あくまで支払猶予。
削減までこぎつけられるかどうかは、交渉にかかっています。
それに成功しても、人件費にも手を付けなければならないかもしれません。
ただそれでも、ホテルなどの設備産業は厳しいと思われますが・・・。
現金商売は、支払よりも入金の方が先だから、日頃は資金繰りが楽なはず。
それが、今回のコロナ禍で入金がストップすると、1ヶ月後の支払時に、途端に資金繰りに窮することになります。
支払には、経費だけでなく、借入返済も含まれることは言うまでもありません。
借入返済のリスケジュールも含め、即座に行動を起こさないと、1ヶ月後に倒産に直面するから、早め早めの行動を心がけたいものです。
自社倒産はもちろん、コロナによる倒産にも巻き込まれないように気をつけなければなりません。
・売掛金が多額な取引先
・売上比率が大きい取引先
については、特にその取引先の動向に目を光らせてください。
社長や経理担当者が暗い顔をしていたり、行方不明になる時期があれば、それは危険信号と言えるでしょう。
コロナ禍で、役員報酬を下げられるのでしょうか?
健全な経営責任意識を持つ経営者なら、真っ先に考えることでしょう。
税務上、認められているのは、資金繰りがひっ迫しているときのみ。
役員報酬から税金を差し引かれて受け取っても、会社を維持するために、また会社に入金するのであれば、資金を回しているだけで、税金だけを支払うことになりかねないからです。
他にも、役員として社会的な責任を果たすために、減俸するパターン。
減俸する客観的理由があり、詫び状やプレスリリースなど外部に知らせている事実があれば、認められます。
したがって、資金繰りがひっ迫すれば、役員報酬ダウンが認められますが、では、このコロナ禍で業績悪化した場合はどうでしょう?
まず注意しなければならないのは、業績悪化=資金繰りひっ迫とはならない点。
・他に不動産賃貸収入があり、資金繰りがひっ迫しない
・もともとCashを潤沢に保有している
これらのケースでは認められない(課税される)と思われます。
では、コロナ禍で近い将来、資金繰りひっ迫が確実に予想できる場合は?
これは意見の分かれるところ。
法律上はダメです。
ただ、リーマンショック超え確実の未曽有の事態になりつつあるから、将来の確実な資金繰りひっ迫に備えて、役員報酬をあらかじめ下げておくのは認められると、個人的には考えます。
ここでの留意ポイントは、税務調査が後出しジャンケンであるという点。
予想どおり資金繰りひっ迫になればまだしも、コロナ禍の急速な終息などで、資金繰りひっ迫にならなかった場合は、税務トラブルに発展するリスクが高いと言えます。
そこを踏まえて、経営判断する必要があるのです。
それでも、倒産よりはマシというのが、個人的見解です。
https://www.cpa-murata.com/coronavirus
こちらに支援策をまとめてありますが、一般的な中小企業・中堅企業では、以下の優先順位となるでしょう。
Ⅱ1 公庫融資
Ⅱ3 セーフティネット
Ⅰ1 助成金
Ⅳ2 納税猶予
第1波への対応は、これで何とかしのぎたいものです。
→ 目次へ戻る
(1)ひととおり蔓延したとき
M One News 20-14「コロナ感染の終息はいつ?」で触れた「集団免疫」。
それを感覚的につかめる動画がありました。
https://imgur.com/a/8M7q8
また、M One News 20-14「コロナ感染の終息はいつ?」では、終息するときとして
・ひととおり蔓延したとき
・ワクチンが供給されたとき
の2点を挙げましたが、もう1点ありました。
(3)ウイルスが変異したとき
ウイルスが変異して、感染力が落ち、終息に向かうことは、ありうることのようです。
ただ、これに期待するわけにはいきません。
変異するということは、せっかく開発したワクチンへの耐性がつく可能性があるからです。
そうなると、終息時期はもっと延びます。。
実際、国連のグテーレス事務総長は「途上国で数百万人が感染すれば、ウイルスが変異し、ワクチンが効かなくなる」と、国連加盟国に財務支援を要請しています。
ジョンズ・ホプキンズ大学によれば、地域感染はイラクを中心とした中東だけでなく、中南米やアフリカにも拡大しつつあります。
→ 目次へ戻る
NewYorkの集中治療医の、医療崩壊に直面している悲痛な叫びを聞いていて、特に印象的だったのが「いまの東京は、3週間前のNYと同じだ。本当にあっという間だった」。
実際、感染者数の爆発カーブは、昔、習った指数関数をほうふつとさせます。
そのため、何十年前の高校数学を思い起こし、Excelでシミュレーションしてみました。
使った数字は、感染率と累乗のみ。
コロナの感染率は、2.5だそうです。
右図の真ん中の赤い人が感染者を表し、そこからうつる割合を、周りの人の赤化状況で表しています。
因みに、インフルエンザの感染率は1.5。
コロナと同じウイルス群のSARSは3.5。
エボラ熱は、2.0。
したがって、SARSよりは低いが、インフルエンザやエボラ熱よりも、コロナの感染率は高いことになります。
この感染率2.5に、外出自粛率として調整率を掛け、1日ごとにその率で広がるものとし、表を作成してグラフ化。
結果は、26日あたりから増え始め、あれよあれよという間に爆発的増加。
右上の実際のコロナ感染者数グラフと、何と酷似していることでしょう。
爆発的に増えてから対応するのでは遅く、初動の対応こそが大事ということを教えてくれます。
因みに調整率は、オレンジが△2.5%で、グリーンが△5%。
非常に興味深いのが、2.5%減らすだけで感染者数が半減し、5%減らすだけで4分の3も減らせるという点。
感染率を抑えるためには、現在、外出自粛しかありませんが、ちょっと心がけるだけで、これほど異なるのです。
発症率・致死率が同一と仮定すると、感染者数と死者数は比例します。
いつの間にか感染し、無症状 or 軽症の保菌状態で人にうつしていってしまう。
ちょっとした「ま、いいか」という自分の気の緩みで、どこかで誰かが死ぬかもしれないのです。
感染経路がわかっている人数は、脅威ではありません。
検疫と隔離という対策を取ることができ、封じ込めが可能になるからです。
怖いのは、感染経路が不明な感染者。
東京都の感染経路不明人数はこちら。
諸外国の増え方を見るにつけ、抑えることができているとは思いますが、着実に増えているので、いつ感染爆発してもおかしくない状態です。
怖いですね。。
感染者数が爆発的に増えていたのに、抑えることができた韓国。
https://ourworldindata.org/grapher/covid-confirmed-cases-since-100th-case?country=KOR
M One News 20-14「コロナ感染の終息はいつ?」で、濃厚接触者追跡と娯楽施設閉鎖というシンガポールの対策を紹介しましたが、韓国でもほぼ同様な対策を実施しています。
それは、感染者や濃厚接触者の徹底追跡と、大量の検査件数、そしてデータベース公開の3点。
韓国では、入国時の空港においてスマホにGPSアプリを全員インストールすることが義務付けられており、それによりGPS追跡が可能になるだけでなく、陽性隔離中の健康情報を報告できます。
検査を大量に実施し、仮に陽性者が出れば、隔離。そのうえで、陽性者発生地域に住む人のスマホに警告音で通知。
クラスターが発生すれば、濃厚接触の場所をデータベース上で公開、誰でも自分は濃厚接触したかどうかを調べることが可能になっています。
全土に網羅された800万台の防犯カメラ映像、クレジットカード利用履歴も組み合わせ、感染者や濃厚接触者を徹底的に追跡し、データベース化して、国民に公開しているのです。
プライバシーを侵害しかねませんが、非常に効果を上げているのは事実です。
中国も同様のカーブで感染者数を抑えられているように見えますが、情報操作がなされているのは明白と言われていますので、あてにはなりません。
もしかすると韓国は、感染爆発(オーバーシュート)が発生しながらも抑えることができている、現時点では唯一の国かもしれません。
もちろん、日本ではこのまま感染爆発が無く、抑え込めることができるのが一番なのですが・・・。
それもひとえに、
・一人一人が外出自粛の意味合いを正しく理解して実施するか
・感染経路を徹底的に追跡できるか
にかかっていると言えましょう。
→ 目次へ戻る
人が集まることを前提としたビジネスには、短期的に大きなダメージとなります。
具体的には、レストラン・居酒屋・カフェ・バー・ナイトクラブ・ホテル・劇場・映画館・ギャラリー・ショッピングモール・博物館・コンサート・スポーツジム・貸会議室・会議主催業者・航空会社・公共交通機関・クルーズ会社・学校・デイサービス・各種店舗などです。
他にも、フリーランス、子供のホームスクールを強いられる親、高齢の親の世話をする子供、経済的余裕が無い人などにも、負担とストレスがかなりかかるでしょう。
店舗は通販に力点を移したり、スポーツジムはマンツーマンの事前予約制に切り替えたり、家庭用フィットネス器具を販売してオンラインセッションを開始するかもしれません。
会議室は広い間隔でイスが置かれ、映画館やスポーツジムの座席は半分取り払われ、居酒屋はおひとりさま席が増えるといった具合で、それぞれが対応しなければならないでしょう。
海外では通勤を含む外出禁止令が厳格に実施されていますが、日本では(自粛要請は続いても)通勤禁止までは無いだろうと思います。
給料すら振り込まれなくなれば、日本経済は息の根が止まってしまうからです。
娯楽施設閉鎖も無いと予想しています。
補償の問題に直結するためです。
換気や間隔空けなどの工夫で対応できるのであれば、そちらに誘導しようと、政府は考えるはずです。
パンデミックが始まってしまった以上、ワクチンが供給されない限り、コロナ感染は終息しないとみなし、経営者としては、長期戦になるのを覚悟で臨む必要があるでしょう。
緊急対策で公庫から借入れするのも一法ですが、短期的視点だけでなく、長期的視点も持つようにした方がいいということです。
(1)キャッシュポジション
具体的にはまず、キャッシュポジションは厚めにすべき。
借り入れできるなら、借りておく。
何だかんだ言っても、キャッシュが無ければ、即倒産してしまうためです。
(2)流動性
次に、資産の流動性を高める。
ソフトバンクは、最大4兆5000億円もの資産を売却し、負債削減や自社株買いに充てると2020/03/23に表明しました。
株価急落を受けてとの見方がもっぱらですが、投資会社は安いときに買って高い時に売るのが本来。
世界同時株安の現在、株価対策よりもコロナ対策として、投資家の孫社長は資産売却を考えたに違いありません。
ソフトバンクと桁は違うでしょうが、眠っている長期資産は、現金化しておくのが望ましいと言えます。
(3)固定費削減
3点目は、固定費を減らす。
売上に連動する変動費ならまだコントロールできる可能性が高いが、固定費は売上に関わらず、かかってくるもの。
売上がダウンした時は、かなりの重しになります。
上記のように、短期的には各自が負担を強いられますが、長期的には適応するでしょう。
あらゆるところに体温スキャナーが置かれ、店や会社の入り口で体温が37.5℃以上の人にはゲートが開かないとか、GPS機能により感染のホットスポットにいたと判明した場合には入場を拒否される、といった具合です。
実際、シンガポールでは徹底した濃厚接触者追跡を実施、実名以外の詳細なデータを公表していますし、イスラエルの諜報機関モサドは、携帯のGPS機能を使って、テロリスト追跡と同じ方法で、濃厚接触者の追跡を始めるのだとか。
人々の行動も変わるでしょう。
家に閉じこもる経済が発達し、通販売上が伸びるのはもちろんのこと、5Gを前提としたWeb会議、発展中のバーチャル技術を利用した映画・コンサートが増えることでしょう。
スマホGPS追跡機能を事前登録しておかないと、飛行機やクルーズ船に乗れなくなるかもしれません。
過去2週間以内に感染ホット・スポットにいたら、搭乗拒否されるというわけです。
代わりに、詫び状が検査機関の地図と一緒に送られてきて、その後きちんと検査に行ったかどうかを追跡される。
こういった煩わしい監視は、世界同時テロの9.11以降に強化された保安規定と同様、自由獲得の小さな代償とみなされるでしょう。
経営計画を策定するときと同じです。
最悪を想定しつつ、楽観的に行動する
これに尽きます。
終わりの見えない状況は、東日本大震災のときにもありましたが、展望が見えずにストレスが続く、あの時の辛さは、皆がまだ覚えているところ。
ぜひ今回にそれを活かしたいものです。
P.S.
欧州では、家にいるストレスから家庭内暴力が増え、相談専用のTEL回線が設置されたそうです。
中国でも、外出禁止で夫婦仲が悪くなり、都市封鎖解除と同時に離婚手続窓口の受付待ちが1ヶ月にもなったとか(コロナ離婚)。
うーむ、笑えませぬ。。
→ 目次へ戻る
(1)ひととおり蔓延したとき
蔓延すると、感染者も多いものの、免疫を獲得した回復者もまた多いことになり、免疫者がいわばバリアになって、感染が緩やかになり、新規感染者をゼロに近づけることが可能になります。
これが『集団免疫』の概念で、天然痘は1977年に根絶できました。
ただ、大部分が感染しなければ成立しないため、ワクチンの存在が大前提です。
つまり、ワクチンが存在しない現状では、医療崩壊が現実化し、死者数も膨大に上るでしょうから、到底受け入れられないでしょう。
集団免疫を唱えていた英ジョンソン首相自身がコロナ感染したのは、皮肉としかいいようがありませんね。
(2)ワクチンが供給されたとき
ワクチンが開発され、臨床試験が終わり、供給体制の整ったときが、終息時期であるのは、言うまでもありません。
ただ、ワクチンの開発から実用には18カ月以上を要するといわれるため、ワクチンの開発状況にかかっていると言えます。
バイオ医療研究や治療法に関して、ミルケン・インスティテュートは、新型コロナに関する治療法やワクチンの開発状況の一覧を公開しました。
https://milkeninstitute.org/articles/milken-institute-covid-19-tracker-update-identifies-dozens-new-treatments-and-vaccines
治療法・ワクチン等の一覧表はこちら。
https://milkeninstitute.org/sites/default/files/2020-03/Covid19-Tracker-3-36-20-FINAL.pdf
ここでは、71の治療法と47のワクチンの開発プロジェクトの概要が、開発元やFDA(アメリカ食品医薬品局)承認の有無、開発段階や出典などが一覧で確認できます。
(1)治療法
P.3のNo.24に、富士フィルムなどが開発し、新型インフルエンザやエボラにも使われた治療薬「アビガン」が記載されており、臨床試験に既に入っています。
一覧表P.1では(No.1)、武田製薬が開発中の治療法「TAK-888」(回復した患者から摂った血小板由来の、重篤患者への治療法)が、患者に投与できるまで6~18カ月と予想されています。
米ギリアド・サイエンシズ(Gilead Sciences)が開発した抗ウイルス薬「レムデシビル(remdesivir)」(一覧表P.4 No.26)も、有望だと考えられており、米ネブラスカ大学医
療センターで臨床試験中です。
(2)ワクチン
一方、現在、開発から実用に18ヶ月以上を要するといわれるワクチンは、臨床試験前のものがほとんどです。
しかし、体液性の免疫を利用するmRNAベースのワクチンは早急に開発できることが知られていて、一覧表P.12 No.35のModernaの「mRNA 1273」が、医療従事者向けの臨床試験準備を進めています。
ただ、ジョンズ・ホプキンズ大学の論文によれば、一時的にしか効果が無いそうで、やはり本格的なワクチン開発が待たれます。
インペリアル・カレッジ・ロンドンの研究チームは、感染爆発(アウトブレイク)と社会的距離戦略についての論文を、2020/03/16に公表しました。
https://www.imperial.ac.uk/media/imperial-college/medicine/sph/ide/gida-fellowships/Imperial-College-COVID19-NPI-modelling-16-03-2020.pdf
集中治療室(ICU)の患者数が増えると、政府は思い切った社会的距離戦略を実施し、患者数が低下すると緩和するであろうと予測したシミュレーション結果です。
オレンジ線は、集中治療室の入院患者数。
青線は、一斉休校を含む社会的距離戦略を指します。
具体的な定義は、全ての世帯が学校・職場・世帯外の人との接触を75%減らすとしています(つまり、都市封鎖)。
そして研究チームは、社会的距離戦略を約3分の2の期間、実行する必要があると結論付けました。
ざっくり言えば、2ヶ月都市封鎖して1ヶ月解除ということです。
イメージはこんな感じ。
つい先日まで、自粛疲れから気が緩んで出かけてしまった人も多かったでしょうから、さもありなん、といったところでしょうか。
ただ、1年半も続くのかと思うと、思わず絶句してしまいます。。
日本は、海外から感染爆発がないと思われていますが(ここ数日は黄信号)、同様に感染拡大の低いのがシンガポール。
こちらでは、各国の感染者数と感染スピードを見ることができます。
https://ourworldindata.org/grapher/covid-confirmed-cases-since-100th-case
縦軸に感染累計者数、横軸に感染日数をとったグラフです。
うち、感染スピードの速い米・伊・スペイン・仏と、感染スピードの遅い日・シンガポールを選んであります。
ワクチン実用化まで1年半、ただ一時的でも効くワクチンの臨床試験が始まっていることや、有望な治療法もあることなどを考えれば、
終息は早くて2020/秋、遅ければ2021/秋
ということになりましょう。
日本政府は、オリンピックを2021/夏に延期しましたが、開催できるどうか、予断を許しません。
再延期になるかはひとえに、ワクチンの供給状況にかかっていると言えるでしょう。
→ 目次へ戻る
2020/03/25~27の3日間、40人以上の新規感染者が連日報告され、2020/03/28~29の両日には60人以上に新規感染者数が膨れ上がった東京。
小池都知事が口にした「首都封鎖(ロックダウン)」は、現実化するのでしょうか。
実際、世界最大の感染者数を抱えることになった米国NY州などでは、会社への通勤を含む外出禁止令で、2億人が影響を受け、レイオフ(一時解雇)が広く行われています。
失業保険申請は330万人と、リーマンショック直後の5倍もの規模だそうです。
パリ・マドリード・ロンドンでも都市封鎖、イタリア・インド・ロシアに至っては、全土で外出禁止令が出ました。
違反者への罰金は何と35万円!(イタリア)。
ロシアの「プーチン大統領が全土にライオンと虎を800頭放った」という噂には笑ってしまいましたが・・・。
この、Webで出回っていた写真は誰が流したのでしょうか。
プーチン大統領傘下のハッカー部隊かもしれませんね。
冗談はともかく、実際、イタリア・フランス・米国では、会社への出勤も不可。
では、日本はどうなのでしょうか。
仮に、財務担当者が外出禁止となれば、給料すら振り込むことができなくなるからです。
そこで気になるのが、2020/03/13に公布、翌日の2020/03/14に施行された改正『新型インフルエンザ等対策特別措置法』。
その趣旨は、言うまでもなく、コロナウイルス対策。
全文はこちら。
https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=424AC0000000031
条文を読み込んでみましたが、性善説に立っており、強制力はなく、要請にとどまるようです。
特措法に基づく緊急事態宣言がなされても、諸外国と違うということですね。
諸外国は実行義務があるのに対し、日本は努力義務があるにとどまります。
「不要不急な外出はやめて」という表現は、努力義務を表しています。
ですから、通勤には支障がありません。
もちろん、テレワークが実行可能な企業には、努力義務が課されます。
電通本社がテレワークなのに、営業マンが外回りしているのは、職種によって「不要不急」を判断しているのでしょう。
とすれば、緊急事態宣言が出されても、会社への通勤、病院への通院、食料品買物などは、何ら問題なしと言えます。
旅行はもちろん不可ですが、出張でも代替手段があるのなら、代替すべく努力してください、ということです。
小池都知事は、危機感をあおる目的で「首都封鎖」を口にしたのでしょう。
完全外出禁止となる、社会インフラが麻痺するような事態は、誰もが避けたいと思っているはずです。
→ 目次へ戻る
太古の昔から、人類はパンデミックに悩まされてきました。
狩猟社会から農耕社会へ移行して民族の交流が始まることで、疫病(感染症の流行)の歴史もまた始まっています。
文明化して都市化が進み、より貿易が加速すると、疫病の規模も大きくなります。
感染症の世界的大流行、それが『パンデミック』です。
2020/03/11にWHO(世界保健機関)にパンデミックと宣言された新型コロナウイルス(COVID-19)。
Visual Capitalistは、この新型コロナを含む過去のパンデミックの死者数を、インフォグラフィックで可視化しました。
https://www.visualcapitalist.com/history-of-pandemics-deadliest/
球体の大きさで死者数を表し、時系列に並べています。
死者数で並べたのがこちら。
時代を変えて何回も流行してきたことがよくわかります。
新型コロナは17位ですが、侮るなかれ。
終息の気配が見えないから、どこまで増えるのかまだ不明のためです。
当記事でも、on going(進行中)として、数字が毎日書き換えられています。
これ以上死者数が増えないことを祈ってやみません。
→ 目次へ戻る
初期症状がインフルエンザに似ているからといって、「とりあえず病院に行けば何とかなる」と、患者が病院に殺到し、医療従事者が取り扱えるキャパシティを超えると、病院は処理しきれなくなります。
下のグラフは、感染爆発で患者が病院に殺到し、必要とされる集中治療室(ICU)のベッド数のシミュレーション。
一番下の平らな赤い直線が、病院にある実際のICUベッド数です。
どんな手を打とうと、圧倒的に足りません。
そうなると、医療現場ではトリアージを迫られます。
トリアージとは、患者の重症度に基づいて、治療の優先度を決定して選別を行うこと。
映画「パールハーバー」では、「僕まだ死なないよね?」と不安に駆られている重傷の兵隊のおでこに「大丈夫よ」と優しく声をかけながら、手持ちの口紅でバツ印をつけていった看護婦のトリアージのシーンが、強烈な印象を残しました。
しかし、トリアージは戦線復帰の戦時の優先順位付け方法であって、平時にそれを採用するかどうかは、また別の話。
重症の人を先に救うのか、軽症の人を先に手当てするのか。
ICUベッド数が足りないときに、どんな基準で割り当てるのか。
これだけでも影響は大きいのに、治療のために患者に接触せざるを得ない医師や看護師なども感染すれば、数十人の医療チームが、そっくりそのまま2週間自宅待機となってしまいます。
ただでさえ足りないキャパシティがさらに落ち、残った医療従事者も疲弊し、より影響は大きくなるのです。
結果、待っているのは、医療システムの崩壊です。
したがって、医療キャパシティを超えないように、感染スピードを緩めることが大事となるのです。
緑が、医療崩壊を起こさない望ましい感染拡大です。
とすれば、症状が軽い場合は、医療機関にすぐ行かないで、まずは自宅療養を心がけることになりましょう。
医療崩壊を促進しかねないだけでなく、自分のコロナ感染リスクすらあるからです。
→ 目次へ戻る
中小・中堅企業では、経営トップがその企業のキーマンになっていることが多いことでしょう。
そのため、経営トップや経営幹部が感染しないことが、何より重要と言えます。
企業存続の観点だけでなく、社員雇用維持という社会的観点からも必要です。
ただそうはいっても、正しい情報を入手しないと、何かと不安になるものです。
ネガティブ情報に人はより強く反応する傾向があるため、誤った判断を下してしまいがちです。
ついデマに惑わされたり、流通が止まっていないのに買いだめをしてしまうのは、その証拠。
経営幹部が誤った判断を下すと、悪影響が大きくなるから、ぜひ留意していただきたいところです。
ということで、まずは感染状況の把握から。
各メディアがそれぞれ特集ページをつくり、状況把握に役立つようにしていますが、リアルタイムのジョンズ・ホプキンズ大学の集計がいいでしょう。
ジョンズ・ホプキンズ大学は、世界屈指の医学部を抱える米国の大学です。
https://www.arcgis.com/apps/opsdashboard/index.html#/bda7594740fd40299423467b48e9ecf6
2020/03/30 11:41時現在の感染者数・感染地域・死者数は、以下のとおり。
(1)人によって症状が違う
コロナウイルスの厄介なところが、人によって症状が異なるところ。
代表的な症例が発熱ですが、臨床医師によれば、代表的とはいえ、8~9割しかないそうです。
倦怠感のある人もいれば、腹を下す人もいるし、咳が出る人もいます。
これはよく知られていることですが、無症状の人すらいます。
(2)インフルエンザに初期症状が似ている
初期症状はインフルエンザと似ているのに、感染率はインフルエンザの1.7倍で、致死率に至ってはインフルエンザの10倍。
(3)重症化が速い
そして、特に厄介な3点目が、重症化が速いという点。
普通に話ができる状態だったのに、数時間後には人工呼吸器をつけないと呼吸ができないほど重篤化。
発症者の2割は入院が必要で、5%はICU(集中治療室)に入らないと助からない。
なぜ、人によってそのような差が出る理由もわからない。
わかっているのは、高齢者や基礎疾患がある人は重篤化しやすい、という経験値のみ。
ただ、21歳の基礎疾患が無い女性でも亡くなっているので、誰であっても油断禁物と言えましょう。
因みに、重篤化した時には既に面会謝絶のため、遺族は看取ることすらできず、遺族のメンタル・ケアも医療従事者にふりかかってくるのですから、医療従事者は大変です。
(1)消毒
手洗いは必須。
過去の欧州でペストが大流行した時に、ポーランド人とユダヤ人には発症例が少なかったそうですが、その理由は手洗いなどの消毒の習慣と言われています。
日本で感染爆発(オーバーシュート)が無いのも、手洗いの習慣があるのでは、と言われています。
ハグの習慣が無い点は、言うまでもありません。
マスクは気休めに過ぎません。
医療従事者ですら感染しているのですから。
飛沫感染を防げると言いますが、それならアイバイザーもしなくては。
口を開けている時間よりも、目を開けている時間の方が何十倍にも上るはずです。
それよりも注意しなければならないのが、コンタクト・レンズ装着時。
事前によく手を消毒することが大事ですが、メディアで聞いたことがありません。
(2)社会的距離を保つ
平たく言えば、出かけない、集まらない。
米国ニューオーリンズでは、祭り「マルディグラ」が20/02/下まで開かれていたため、現在、爆発的に感染者数が増えています。
タイでは、ムエタイの試合が数試合行われた後、やはり爆発的に感染者数が増加。
日本では、2020/03/022にK-1試合が国と県の自粛要請を振り切って強硬開催されましたが、大丈夫なのでしょうか・・・。
2週間後にその答えが出ます。
→ 目次へ戻る
昨日、M One News 20-06 確定申告期限延長の注意点で、振替納税日が未発表と案内したばかりですが、2020/03/11の今日、振替納税日が国税庁HPで発表されました。
(1)単なる延期
引落し日が2回設けられるわけではなく、単に一律に延期されるだけのようです。
(2)資金繰りに留意
コロナウィルスによる売上ダウンは現在、飲食業・旅行業・旅館業で顕著ですが、今後、全業種に広がってくることが予想されます。
4/下ならまだしも、5/中~下が引落し日だと、資金繰りが厳しい事業主は増えるでしょう。支払いが1~2ヶ月遅いケースが多いためです。
国は、無担保・無保証の融資制度を手当てすると明言していますが、その前に、自身だけで乗り切れるかどうか、自助努力が求められます。
納税猶予制度もありますが、単なる延期に過ぎませんので・・・。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/kansensho/pdf/0020003-044_02.pdf
→ 目次へ戻る
「振替納税」とは税金の自動引落しの方法ですが、税金のクレジットカード納付が可能になり、ポイント獲得を狙ったりなどで、振替納税をとりやめ、クレジットカード納付に切り替える人が増えてきました。
クレジットカード納付については、M One News 20-07で説明しましたので、ここでは、振替納税のとりやめの方法と注意点を説明します。
廃止届が特にあるわけではありませんので、戸惑う方もいらっしゃることでしょう。
通常は、新規依頼書を転用し、余白に「とりやめ」と目立つように赤字で書くだけです。押印は三文印でOK。
用紙はこちら。
https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/nofu/pdf/0019004-075_3.pdf
記入後、税務署に提出します。具体的には、ポストに投函。
ご自身の管轄税務署は調べてくださいね。返信用は不要です。
新規申込時と同様、3/15までに投函すれば、4/下の振替納税から適用されます。
言うまでもないことですが、自動引落しをやめれば、納付手続は今後、自分で行わなくてはなりません。
うっかり忘れると、ペナルティが待っていますので、ご注意を。
コロナウィルス感染拡大防止で振替納税が延長されたにもかかわらず、その新しい振替納税日が今日現在、まだ発表されていません。
混乱が予想されるため、早め早めの手続きが望ましいでしょう。
→ 目次へ戻る
2017/01からできるようになった、クレジットカードによる税金納付。
キャッシュレスに伴ってポイントが普及してきたため、クレジットカードで税金を納付する人が増えてきました。
方法はカンタン。こちらにアクセスして手続きするだけ。
https://kokuzei.noufu.jp/
(1)24時間365日OK
現金納付には無いメリットです。
(2)ポイントがたまる
さらに、クレジットカードのポイントもたまります。
(3)一時的な預金残高不足に困らない
インターネットバンキングでは、預金残高分しか納付することはできません。
クレジットカード納付なら、クレジットカード利用代金が引落しになるまで、財源手当ての余裕が生まれます。
もちろん、最後には財源を用意しなければなりませんが・・・。
(1)手数料がかかる
少額とは言え、手数料がかかるため、総支払額は増えます。
Webサイトでわかるように、手数料の目安は0.76%ですので、もしポイントを集めている人がいるなら、それ以上のポイント付与がなされれば、トクという結論になります。
ポイント付与率は1%のところが多いので、トクになるケースが多いと思われます。
(2)領収書が発行されない
現金納付は領収書が発行されますが、クレジットカード納付では領収書が発行されません。
そのため、正式な支払証明は、税務署が発行する納税証明書を入手する以外にありません。
この納税証明書の発行には、日数がかかることを想定しておいた方がいいでしょう。
他の人の分もクレジットカード納付できるので、家族の税金を支払えば、ポイントもたまりますよ。
ポイントを集めている人にとっては、税金を支払うのがうれしくなる唯一のケースですね(笑)。滅多にないですよ(笑笑)。
→ 目次へ戻る
既にニュースで報道されているとおり、確定申告会場におけるコロナウィルス感染拡大防止のため、確定申告期限が延びています!
2020/02/27に速報で流れた後、2020/03/06に同日付官報で告示されると同時に、国税庁HPで延長手続きの内容が公表されました。
さらなる詳細が出るのを待っていましたが、現時点で出ていないため、申告期限延長の注意点をお伝えします。
・所得税の申告・納付
・青色届
・繰戻し請求
・青色専従者給与届・変更届
・減価償却届・変更届
・国外財産調書
・財産債務調書
・消費税の申告・納付
・贈与税の申告・納付
(1)個人のみ
今回の期限延長の発端は、確定申告会場における集団感染を防ぐことです。
確定申告会場には個人しか行かないため、法人には影響ありません。
気持ち的には、法人も延長してくれればいいのに、と思った法人関係者も多いことでしょう。
なぜなら、12月決算会社の株主総会は、これから開催の山場を迎えます。
株主総会で決算承認されないと、申告もできないためです。
1月決算会社も、経理部から感染者が出れば、経理部全員が濃厚接触者になってしまい、経理部閉鎖で決算作業ができないため、他人ごとではありません。
(2)振替納税日
申告・納付などは明確になりましたが、唯一不明なのが、振替納税日。
振替納税日も延長にすると国税庁は明言しているものの、日付が未定です。
まだ未定の理由は、全国の金融機関の実務にかかっているからと思われます。
従来の振替納税日は所得税が2020/04/21(火)・消費税が2020/04/23(木)ですが、それも延びるのか、それとも、新しく設定され、2回のどちらで引落しがかかるのか。
メガバンクは対応が早いでしょうが、小規模の信用組合などは、準備に人手が足りないかもしれません。
国税庁がなかなか発表できないのは、そういった事情もあることでしょう。
(1)税務コストup
申告期限が1ヶ月延長されるということは、申告受け入れ態勢を税務署が維持し続けなくてはいけない、ということを意味します。
確定申告会場では多くのアルバイトが働きますし、税務署員の残業代増加、そういう人件費のアップは、すべて税金で賄われます。
また、高齢な納税者には短気な人も多く、その対応でストレスを被る署員もいます。
短期間だから我慢できたのに、さらにもう1ヶ月延びるのか! 勘弁してくれ、というのが現場の偽らざるを得ない心境でしょう(会計事務所もそうです)。
(2)法人の税務調査件数ダウン
通常、確定申告期間中は多くの人手が必要なため、税務署の所得税担当部署以外の部署からもサポートに入ります。
会場で納税者が突っ込んだ質問をすると、正確な回答がもらえず、「税務署員なのに何故答えられないの?」という疑問を持った経験者も多くいることでしょう。
それは、専門外のためです。
立場上、「よく知らない」とも言えず、新人署員にとってはドギマギする修練の場でもあります(笑)。
話を戻して、例えば、法人部門の署員は確定申告期間中、所得税にサポートに回り、3/15が過ぎると、自分の部署に戻って、本来の業務、つまり法人の税務調査に入ります。
3/下~4/上に税務調査先に調査する旨のTELをかけ、調査に入り、5/末までに結果を上司にあげ、7/1に異動となります。
それが今回は、4/16まで1ヶ月延びる。
いままでは2ヶ月以上あったのに、今回は1ヶ月強しか時間はありません。となると、法人の税務調査件数はよくて半分、下手すると1/3に減らさざるを得ません。
税務調査は、現在、怪しいところに焦点を絞って入っています。
昔のように、何年に1回入る、という形にはなっていません。
その余裕がなくなってきているというよりも、情報収集体制が整ってきていることが背景にあります。
なので、胸をなでおろす法人もいるかもしれませんね(笑)。
コロナウィルス感染拡大で何が起きるかわかりません。
ウィルス開発に半年程度かかるのなら、収束に向かい始めるのは、いつ頃なのか。
現在、株は暴落していますし、オリンピックを含め、今後どのような展開になるのか、予測不可能です。
その状態でできるのは、
・できることは終わらせ、動けるようにしておく(申告を終わらせる)
・感染のかかるリスクは極力減らす(出かけない、集まらない)
・デマに惑わされないようにする(科学的根拠を考える)
くらいでしょう。
確定申告に関して言えば、スマートホンによる申告もできるようになっているので、これを機会にチャレンジしてみるのも手ですよ。
→ 目次へ戻る
ご存じのとおり、コロナウィルス感染が、感染経路の追えない蔓延期に入り、ここ1~2週間の感染拡大を防ぐことが極めて重要である、と国の方針は、従来の水際対策から転換しました。
といっても、「ここ1~2週間が瀬戸際」と国の専門家会議の見解が出たのは、全国小中高等の一斉休校を国が要請する2020/2/27の3日前の2020/02/24ですから、対応が早いと評価すべきなのか、遅いと評価すべきなのかは、意見が分かれるところでしょう。
専門家会議の見解のポイントは、「残念ながら、もう感染を防ぐことはできない。感染拡大のスピードを抑えられるかどうかだけだ。それはここ1~2週間にかかっている」。
感染を防げないのなら、治療薬開発時間を開発チームにいかに長く与えるかが、私たちに現在できることと言えましょう。
つまり、私たちは感染拡大スピードを少しでも落とす努力をしなければならない、ということです。
それには、手洗いといった個人の対策と、イベント中止・テレワークなどの複合的な社会的距離戦略(平たく言えば、「出かけない、集まらない」)が必要です。
ただ、外出を控えれば控えるほど、経済への影響は大きく、事業者に多大な損失が出るのは明らかです。
現時点で業績への影響が大きい業種は、特に飲食店業・旅行業・旅館業などですが、1~2ヶ月後から資金繰りが苦しくなると思われます。
多くの企業では、支払が1~2ヶ月後のためです。
感染拡大のスピードによっては、業績ダウンが、今後数ヶ月でさらに全業種に広がるのを覚悟しておいた方がいいでしょう。
そのためまずは、現時点で考えられる対応をまとめました。
分 類 | 内 容 |
資金繰り | 日本政策金融公庫からの借入れ枠 |
助成金 | 売上10%以上ダウンの会社が対象で、休業補償として給与の2/3(中小企業)を助成(「雇用調整助成金」) |
税 金 | 繰戻し・・・当期赤字で前期黒字だった場合、前期の税金の一部を還付できる制度。 |
第2弾緊急対策を追加すると、安倍首相が2020/02/29に表明しているので、2020/03/10頃には新たな対策が発表されるでしょう。
業績へのネガティブな影響が広まれば、第3弾へと続くと思われます。
→ 目次へ戻る
確定申告の相談で税務署に行くために平日にお休みを取らなければならないと思っているあなた!
日曜日に税務署が開いています!!
内容 | 開庁日 |
確定申告の相談、申告書の受付 | 2020/02/24(月・休日) 3 / 1 (日) |
ただ、一部の税務署だけなので、ご注意を。詳しくはこちら。
https://www.nta.go.jp/information/other/data/r01/kakushin_kaijo/index02.htm
朝一番で行かないと、相談はすぐいっぱいになってしまいますよ。
マスクもお忘れなく。
→ 目次へ戻る
人間ドックを受けてきました。
2年ぶりと思ったら、病院によると3年ぶりだとか。
時の経つのは早いものです。
3年ぶりのせいか、4つも再検査項目が出てきてしまいました。
うち1つは、膵臓(すいぞう)。
膵管(膵臓で作られる消化液の膵液を十二指腸に送るパイプ)が、2mmから3mmへ太くなったとのこと。
たった1mm太くなっただけなのに、腫瘍の可能性もあると脅され、精密検査をすることに。
実は、私の父は膵臓癌で亡くなっており、義理の父も膵臓癌で還らぬ人になっているのです。
膵臓癌は遺伝性があるうえ、部位別罹患率も男性で4位と高いわりに、治療が難しく、5年後生存率はわずか4%しかないとか。
実際、父の場合、ガンとわかったときには、既にステージ4! 手の施しようもなかったのでした。。
そんな中、時間をかけていくつもの精密検査を行い、数ヶ月の間、怯える日々が続いたのですが、結果は無事、シロ。
ほっと胸をなでおろしたのもつかの間、健康保険が効く検査も効かない検査も合わせ、かなり高額だった検査費用を何とかして医療費控除できないだろうか、と思い、調べてみました。
ご存じ、医療費控除とは、本人と家族の年間医療費の支払額が、一定金額を超えると、超えた金額を所得から差し引けるという制度です。
そしてその目的が「治療」と「出産」に限定されています。
健康診断や人間ドックは「治療」ではないので、医療費控除の対象にはなりません。
再検査や精密検査も同様です。
その検査で「重大な疾病」が見つかって「治療」が始まって初めて、治療費は医療費控除の対象になるのです。
ここでいう「重大な疾病」とは何でしょう?
がん、脳血管障害、心疾患は当然として、生活習慣病、具体的には脂質異常症や糖尿病も、該当すると思われます。
平たく言えば、人間ドックを受けた結果、異状が見つかり、治療に入れば、まず医療費控除の対象になるでしょう。
因みに、日本人間ドック学会では、以下のように判定区分を公表しています。
https://www.ningen-dock.jp/wp/wp-content/uploads/2013/09/ac338c5caeb772b77a32f56332791305.pdf
私は、要精密検査の“D2”と判定され、MRCP(下腹部のMRI)を含む精密検査をしたが、結果はシロ、治療要とは判定されませんでしたので、医療費控除できないということになります。
では、仮に治療要と判定され、そのまま治療に入り、“E”状態になったら?
そうなればもちろん、人間ドックから再検査費用、精密検査費用、PET検査費用などすべてが、医療費控除の対象になります。
注意しなければならないのは、治療要と判定されたのに、治療に入らなければ、医療費控除の対象にならないということです。
医療費控除の目的はあくまで「治療」促進にあるためです。
“E 治療中”の治療費は医療費控除の対象になるとしても、“D1 要医療”“D2 要精密検査”など、治療開始前の検査費用は?
それも、医療費控除の対象になります。検査結果を治療に利用するためです。
今回、3年ぶり(家族に怒られました)の人間ドックでしたが、いくら検査費用が高額でも、健康には変えられませんので、結果オーライですね。
反省すべきは、自分の健康への配慮。無くなって初めてわかるありがたさ、と言いますものね。
皆さんもご注意を。
→ 目次へ戻る
医療費控除は、「治療」or「出産」に関する支出が対象となりますが、実際には迷うことも多いのではないでしょうか。
そこで、医療費控除できるもの・できないものを、まとめてみました。
税金に直結するので、漏れが無いよう、しっかり集計したいものです。
→ 目次へ戻る
昨年末に世界を驚愕させた、カルロス・ゴーンの逃亡劇。
ゴルゴ13の世界を真っ先に連想しましたが、実際、元グリーンベレーが逃亡劇を演出したとか。
そして、その費用は何と22億円!
ある人に言われました。
「逃亡費用に22億円もかけたのか!」
公認会計士の立場からは、ちょっと見方が違います。
22億円は、現金が出ていくという意味で、ある意味、キャッシュフローの考え方。
それとは別に、保釈金15億円が日本の裁判所に没収されています。
この15億円はバランスシートの考え方。
つまり、合計では37億円かかったとみるべき。
キャッシュフローとバランスシート、いずれの考え方も必要なのです。
まさに、経営に会計思考が必須とされるゆえん。
同じようなことが、事業経営でもあります。
例えば、会社移転。
会社移転時には、旧オフィスの原状回復費用がかかります。
一般的には、敷金と相殺され、お釣りが戻ってくると思われていますが、スタートアップ用オフィスで敷金が無い場合や、造作をかなり作りこんでいて敷金をオーバーするケースなどは、思わぬ出費を強いられます。
相殺されるからと無視するクセがついていると、足をすくわれることになります。
したがって現在、上場企業では、原状回復費用は未払計上され、会計上も計上必須となっています。
では会計上、計上されていればいいかというと、そうでもないところが、実務上の悩ましいところ。
その代表格が、保証債務。
中小零細のオーナー企業では、銀行借入れにオーナーが保証していることが多いもの。
この保証債務は会計上、計上されていません。
未確定で計上しようがないためですが、経営上いわば隠れた債務をきちんと認識しておかないと、やはり痛い目に合いかねません。
後継者に経営をバトンタッチする場合やM&Aで会社を売る場合は、必ず問題になるので、注意したいところです。
相続も同様。
財産だけでなく、保証債務も相続の対象です。
怖いのは、財産のように「分割」の考え方が無いこと。
つまり、相続人全員が自動的に保証債務を負ってしまうことになるのです。
いつのまにか知らない人の保証人になっている事態もありうるわけです。
連帯保証なら、貸付者は借入者に取り立てに行くのではなく、連帯保証人に取り立てに行っていいことになっているから、おカネがある人から取り立てる方が、回収効率がいいのは言うまでもありませんね。
保証債務は隠れた債務ですが、表に出ている債務も気をつける必要があります。
例えば、サラ金からお金を借りている親は、通常、家族にバレないようにと秘密にするのが一般的。
相続放棄すればいいかと思うかもしれませんが、相手はその一枚上を行きます。
親が亡くなってから3ヶ月が相続放棄期限で、その3ヶ月を過ぎると、自動的に相続したとみなされます。
それを待って取り立てを始めるサラ金業者もいるそうです。
ヒドいと思うかもしれませんが、完全に合法なので、自分で気をつけるしかないということですね。
→ 目次へ戻る