M1村田宏彰公認会計士事務所
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いよいよ明日から始まる、インボイス制度。
これでもかというほどに複雑怪奇な制度、倒産増確実と予想できるほどに影響大、実務上の処理も異常に大変、と三拍子そろったこのインボイス制度の導入により、専門家としては「インボイスうつ」になりそうな今日この頃。
実際、大変さがわかってくると、「こんなにできない」「やってられない」という声が、実務担当者から続出しています。
「どこまでやればいいの?」
そんな疑問に、専門家の立場を離れ、実務レベルで、私見として回答します。
消費税上、仕入税額控除するためには、インボイス保存要件と帳簿記載要件の2つを満たす必要があります。
インボイス保存要件を満たすのは、比較的簡単。
インボイス記載内容を確認して保存するだけのためです。
問題は、帳簿記載要件。
原則の4項目以外に、帳簿のみ保存の特例適用の場合は、その旨を帳簿に記載しなければならないからです。
(注1)原則の4項目:M One News 22-02 https://www.cpa-murata.com/monenews22-02#ttl-2202 の8項目目。
(注2)帳簿のみ保存の特例:M One News 23-08 https://www.cpa-murata.com/monenews23-08#ttl-2308 の4項目目。
つまり端折って言うと、インボイス発行がそもそも無い取引は、特例で、インボイスは不要でいいけれども(当たり前です)、特例適用の旨を帳簿に記載してね、としたわけです。
具体的に言いましょう。
旅費交通費を1件ずつ伝票入力し、伝票摘要に「○○駅→○○駅 JR 公共交通機関特例」と入力しなければいけません。
また、自動販売機でお茶を購入した時も、1件ずつ伝票摘要に「○○市 自販機」と入力しなければなりません。
消費税は、1件1件取引が帳簿に記載されていなければならず、さらに、インボイス不要特例適用の場合は、特例の内容を、インボイス不要の代わりに帳簿に記載することとされているからです。
上記はほんの一部ですが、実務上の大変さのイメージができたでしょうか。
これらが、法律に定められているのです。
上記のように、法律上、定められている以上、国税庁も遵守しなければなりません。
しかし、インボイス保存や帳簿記載が不備な場合に、どのように国税庁は対応するのか。
国税庁のインボイス担当者は、専門誌のインタビュー(2023/01/27)で、以下のように述べています。
「仕入税額控除の適用を受けるためには、原則として、課税仕入に係る一定の事項が記載された『帳簿』及びインボイス発行事業者から交付された『インボイス』の保存が必要となりますので、買手の行った課税仕入れについて、適正なインボイスの保存が無い場合、原則として、仕入税額控除の適用を受けることはできないこととなります。 しかし、買手が社会通念上相当と認められる注意を払っていたにもかかわらず、例えば、相手の故意によって不正なインボイスの交付を受け、買手が仕入税額控除に必要な正しいインボイスを保存できていなかったときなど、その保存が無いことにつき、『買手の責めに帰さない状態』にあると認められる場合には、個々の事実関係を踏まえて、消費税法第30条第7項但し書に規定する『災害その他やむを得ない事情』が適用される場面もあると考えています」 「軽微な記載事項の不足を確認することを目的とした税務調査は実施しておりません」 |
つまり、ポイント稼ぎの税務調査はしないけれども、何かのきっかけで見つけてしまった以上は否認せざるを得ません、ということです。
ある意味、当然のことでしょう。
税務署も、法律に基づいて業務を執行する公務員ですので。
とはいえ、実務上、不可能なレベルを求められれば、経済活動が阻害されます。
法律に基づくからといって、経済活動を阻害するようなことは、国税庁も考えていないはず。
実務上、国税庁が個々の事情を組むのは、「しょうがない」と思える事情が存在するかどうかによるのではないでしょうか。
具体的に言えば、
・社長1人だけなのか、専門の経理人員がいるかどうか。
・できるだけ努力をしているかどうか(最初から努力を放棄しているかどうか)。
などでしょう。
もちろん、他で脱税傾向があると認められれば、合わせて当然に否認されます。
以上は、単なる私見であって、責任は負いませんので、ご留意願います。
また、制度が定着してくれば、国税庁の姿勢もより厳しくなることにも、ご留意ください。
経過措置適用から簡易に移行していけば、これらの面倒からはおさらばできます。
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