M1村田宏彰公認会計士事務所
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M One News 24-08「支払調書電子提出の義務化範囲の拡大」で触れたとおり、法定調書電子提出義務化の範囲が拡大します。
「26/12期はまだ先」と安心するなかれ。
今回の法定調書の枚数で、2年後の電子提出が義務となるか、決まるためです。
つまり、2025年1月に提出する2024年分の給与所得の源泉徴収票が30枚以上であれば、2027年1月提出の2026年分の給与所得の源泉徴収票は、電子提出しなければなりません。
社員が30名未満なら該当しないというわけではありません。
基準となる源泉徴収票の「30枚」は退職者も含むからです。
したがって、在籍者20名くらいで判断したほうがいいかもしれません。
退職者やパートが多い会社は、余裕を持って、早めに電子化を進めた方が無難でしょう。
同様に、セミナー業など講師が多い会社も、支払調書が多くなるため、電子化を迫られそうです。
家賃も同様。
多くの個人大家から不動産を賃借している会社も、ご留意ください。
法人から賃借している場合には家賃は対象外ですが、礼金・更新料は支払調書を提出する必要があります(敷金は対象外)。
多くの会社では、上記3種類の法定調書(「給与所得の源泉徴収票」「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」「不動産の使用料等の支払調書」)が、それぞれ30枚以上になるかどうかで、電子申告義務を判断することになるでしょう。
(1)データ転用を前提に、一気通貫で考える
何といっても、手作業はできるだけ避けるべきでしょう。
手作業は、時間も手間もかかるうえ、ミスをゼロにできないためです(人がやる作業は必ずミスが発生する)。
データ化を1回だけ行えば、その後はそのデータを転用し、処理していく。
その発想が欠かせません。
人手不足が顕著になっている今は特に必要と言えます。
上記の主な法定調書3種類の具体的な処理は、
・給与ソフトからスタートする給与データの国への提出、市への提出
・報酬データの国への提出
・家賃データの国への提出
・それらをまとめた合計表の国への提出
となります。
データ転用のためには、別々に処理するのではなく、ソフトを統一し、一気通貫で一体処理するのが効率的です。
当事務所はTKCソフトで統一しているため、以下、TKCで説明します。
扶養控除等申告書などをWeb収集する「PXまいポータル」を利用すると、年末調整データの入力は社員が行うこととなります。
会社は、社員提出資料の内容を確認するだけ。
そして、給与ソフトで運用している給与データに転用し、年末調整を行います。
源泉徴収票の社員への配布も「PXまいポータル」(「PXまいポータル」には、Web給与明細の機能もある)。
報酬支払先・大家からのマイナンバー収集も、「PXまいポータル」でOK。
ただ、源泉徴収票の国への提出、住民税計算基礎となる給与支払報告書の市への提出は、国税庁のソフト「e-Tax(イータックス)」・地方税共同機構のソフト「eLTax(エルタックス)」への登録や、電子送信の環境(電子証明書やカードリーダー等)を自社で自ら整えなければならないなど、ハードルが高いのも事実。
そのため、希望者には、当事務所で電子申告代行を行っています。
その流れを図示すると、以下のとおり。
上記はあくまでTKCによる推奨フローですが、他ソフトであっても一気通貫処理が基本です。
年末調整・法定調書は、手間が大変な割に間違えてはいけない業務。
残業は、インボイスだけで充分。
ぜひスムーズに効率よく終わらせたいものですね。
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